「高さ12フィートの塀に囲まれた庭も通り抜けている」1855年、英国の雪に一列で続いた悪魔の足跡

「高さ12フィートの塀に囲まれた庭も通り抜けている」1855年、英国の雪に一列で続いた悪魔の足跡 都市伝説・陰謀

1855年2月、イングランド南西部のデヴォン州。大雪の翌朝、村人たちは雪の上に見慣れない足跡が続いているのに気づいた。長さ10センチほどの、蹄(ひづめ)のような形。それが四つ足の動物らしい二列ではなく、きれいな一列になって、畑を横切り、家の戸口まで来て、また去っていく。同じような跡は川の河口をはさんだ町や村、あわせて30か所以上から報告された。

人々はこれを「悪魔の足跡」と呼んだ。ロンドンのタイムズ紙も取り上げ、当代一流の博物学者まで説明に乗り出したが、170年たったいまも「これだ」という答えは出ていない。屋根の上を歩いた、100マイル続いた――そうした話のどこまでが当時の記録にあるのかを確かめながら、事件と海外の反応をまとめる。

事件の概要

🗓️ 発生日:1855年2月8日の夜〜9日の朝(その後の数夜にも報告がある)

🌫️ 場所:イングランド・デヴォン州のエクス川河口一帯(エクスマス、トップシャム、リンプストン、ドーリッシュ、テインマスなど)。ドーセット州でも数件

👤 関係者:被害者はいない。足跡を見つけた住民、地元の牧師、新聞への投書者、博物学者リチャード・オーウェンなど

🔍 状況:大雪のあと、蹄に似た形の足跡が一列に続いているのが各地で見つかった。屋根や高い塀の上にもあったと伝えられる

🕯️ 結末:動物説・いたずら説・気球説などが出たが、どれも決め手がなく、正体は分かっていない

舞台はイングランド南西部、イギリス海峡に面したデヴォン州の南東部。エクス川が海に注ぐ河口の両岸には、小さな港町や村が点在している。1855年の冬はイギリス全体がひどく冷え込み、2月8日の夜にもまとまった雪が降った。イングランド南部は大雪が珍しい土地で、雪の上に残った動物の足跡を見慣れている人は多くなかった。

翌朝から「妙な足跡がある」という話が町から町へ広がった。足跡は庭や畑だけでなく、家の玄関先や納屋のそばにも続いていた。信心深い人の中には悪魔の仕業だと考える者も出て、地元はちょっとした騒ぎになった。

判明している事実

足跡の形と大きさ
後年まとめられた記録では、足跡はおおむね長さ約4インチ(約10センチ)、幅約3インチ(約7.5センチ)。間隔は8〜16インチ(20〜40センチ)で、ほとんどが一列に並んでいた。当時の地元紙に載った記事は、大きさを「長さ3インチ、幅2インチ」とし、形を「ロバの蹄のよう」と書いている。報告によって数字に幅があることは、最初から押さえておきたい。

報告は30か所以上、総延長は推定40〜100マイル
足跡が見つかったと報告された場所は、デヴォン州内の30か所あまりと、ドーセット州の数か所。河口の東岸のエクスマスから北のトップシャム、さらに幅のある河口をはさんだ西岸のドーリッシュやテインマスにまで及んだ。全部をつなぐと40〜100マイル(約64〜160キロ)になると見積もられている。ただし、それを一本の道として端から端までたどった人はいない。「一晩で100マイル」は、離れた場所の報告を足し合わせた最大の見積もりだ。

屋根や塀の上にも続いていたという報告
足跡は家や干し草の山を避けずにまっすぐ越え、雪の積もった屋根や高い塀の上にもあった、直径4インチ(約10センチ)ほどの排水管に入って出てきた、という報告まである。先の地元紙は「高さ12フィート(約3.7メートル)の塀に囲まれた庭も、植木や小道を傷めずに通り抜けている」と書いた。一方で、足跡が雪に「焼きごてで押したように焦げていた」という話は、後年の再話に出てくるもので、当時の記録で裏付けられた事実ではない。

新聞と専門家が説明に乗り出した
ロンドンのタイムズ紙は2月16日、「異常な出来事」という見出しでこの騒ぎを報じた。週刊の絵入り新聞イラストレイテッド・ロンドン・ニューズには3月にかけて投書が続き、比較解剖学者のリチャード・オーウェンはアナグマ説を出した。同じ紙面には、ネズミのような小さな動物の足跡を描いた図も載っている。

1994年に当時の資料が一冊にまとめられた
イギリスの研究家マイク・ダッシュは、1994年に雑誌『フォーティアン・スタディーズ』※で、当時の新聞記事や地元の牧師の書簡などを集めた資料集を発表した。ダッシュの結論は、足跡は一種類ではなく、一部はいたずら、一部はロバやポニーなど身近な動物、一部は野ネズミによるものだろう、というもの。それでも本人は、すべてが説明できたわけではなく謎は残る、と認めている。

※ フォーティアン:説明のつかない現象の記録を集めた米国の作家チャールズ・フォートにちなむ呼び名。こうした現象を扱う研究や雑誌に使われる。

主な仮説

仮説1:ありふれた動物の足跡が、雪のせいで見慣れない形になった

いちばん支持されているのがこれだ。オーウェンはアナグマを挙げ、何匹もの動物の跡が混ざっているのだろうと考えた。のちにダッシュが重く見たのは野ネズミで、後ろ足をそろえて跳ねるネズミの跡は、前後がつながって割れた蹄のように見えることがある。ウサギやノウサギの跡も、雪が少し溶けたり風で崩れたりすると輪郭がぼやけ、蹄形に見えやすい。弱点は、屋根の上や細い排水管の中といった報告を説明しにくいこと。もっとも、それらの報告自体がどこまで正確だったかは分からない。

仮説2:外れた気球が、係留ロープの金具で雪をこすった

作家のジェフリー・ハウスホールドが1985年の本で紹介した説。地元の人から聞いた話として、近くのデヴォンポート海軍造船所から実験用の気球がうっかり放たれ、垂れ下がった係留ロープの先の金具(シャックル)が雪に点々と跡を付けた、というものだ。一列に並ぶことや、塀や屋根を越えることはこれで説明できる。ただ、気球が何十マイルもあちこち曲がりながら、どこにも引っかからずに飛んだとは考えにくい。この話が出てきたのも事件から130年後で、当時の記録には見当たらない。

仮説3:別々の足跡と噂がつなぎ合わされて「一本の道」になった

ダッシュの資料集から浮かぶのは、そもそも「一晩で何十マイルも続いた一本の足跡」は存在しなかったのではないか、という見方だ。各地でそれぞれ別の動物の跡が見つかり、評判が広がるにつれて「うちにもあった」という報告が加わり、そこにいたずらも混ざった。米国の懐疑論者ジョー・ニッケルも、目撃者によって足跡の描写がばらばらだったことを指摘している。ただ、この説は報告の一部を疑うことで成り立っていて、どれが誤りだったかまでは特定できない。

仮説4:寒波の下でだけ起きる気象・雪の現象

1855年2月はイギリスでも記録に残る厳しい寒さだった。乾いた細かい雪に、風や朝の日差しがはたらいて、小さなくぼみが規則的に並んだのではないか、という考えだ。風が雪を転がして筒状の塊を作る「スノーローラー」のような現象も引き合いに出される。ただし、具体的にどんな気象条件で蹄形の跡が一列に並ぶのかを示した研究は見当たらず、いまのところ推測の域を出ない。

海外の反応

1. 謎の名無しさん
デヴォンの話は知ってたけど、ほかの国や遠い島でも似た報告があるとは知らなかった。風とか気象の現象であんな跡ができたりしないのかな。数メートルなら分かるけど、何マイルも、しかも人のいない場所まで続くとなると、動物じゃない気がしてくる。

2. 謎の名無しさん(>>1への返信)
スノーローラーみたいな気象現象かもね。風で雪がひとりでに転がって、ロールケーキみたいな筒になるやつ。転がったあとには筋のような跡が残る。

3. 謎の名無しさん(>>2への返信)
自分も気象の線だと思う。イングランド中部の気温の長期記録だと、1855年2月の平均はマイナス1.7度で、平年より5.4度も低い。これより寒い2月は1895年と1947年くらいしかない。しかも9日前後がその月でいちばん寒かった。毎日の公式な気象記録がまだ始まってなかったのが本当に惜しい。

4. 謎の名無しさん
いたずらで十分説明できると思う。誰かが靴の裏に馬の蹄を付けて、一列に歩いただけ。昔の田舎なら、そのくらいの暇人はいくらでもいただろ。

5. 謎の名無しさん(>>4への返信)
なるほど、蹄の靴をはいて世界中を股にかけた、体重ほぼゼロで高い塀も跳び越える160年前のいたずら者か。解決済みにしよう。悪魔の足跡の謎はあなたが解いた。

6. 謎の名無しさん
正直、最初に浮かんだのは猫。何マイルもふらふら歩いて、前足の跡に後ろ足を重ねて一列にして、高い塀にも細い柵の上にも登って、人の家の戸口まで来る。そんな動物、猫しかいない。ただ、深い雪に沈まないのだけは説明できない。痩せた猫でもずぶずぶ沈むはず。

7. 謎の名無しさん(>>6への返信)
で、その猫に誰が蹄をはめたんだ。しかも元スレの南の島の件は、当時猫なんかいなかった島だぞ。

8. 謎の名無しさん
この謎のいちばんの問題は、「証拠」があっちこっちに散らばってること。どれが本当でどれが盛った話なのか、もう見分けようがない。もし窓枠の上とか細い排水管の中の足跡が本物だったなら、いたずらでは無理。でも、それが本物だったと誰が確かめたのか。

9. 謎の名無しさん(>>8への返信)
最初は誰かが本当に正体の分からない跡を見たんだと思う。それが噂になると、普通の足跡を見ただけの人まで「うちにもあった」と言い出す。雪の上の足跡なんて見分けにくいうえに、すぐ消える。記憶はあとからいくらでも書き換わるし。

10. 謎の名無しさん
1855年に足跡を端から端まで歩いてたどった人なんて誰もいない。あちこちで見つかった短い足跡を、あとから「一本につながっている」とみなしただけ。100マイルという数字はそこから出てる。

11. 謎の名無しさん(>>10への返信)
同じ夜に何マイルも離れた場所で、というのも怪しい。数マイル先で足跡が見つかったと聞いて、「そういえば同じような形のを見た。たしか同じ朝だった」と思い出す人がいれば、それだけで成立してしまう。

12. 謎の名無しさん
雪の日にしか現れないってのが面白い。でも考えてみれば、雪の日だから見えただけかもしれないんだよな。土の上なら誰も気づかない跡が、毎晩どこかに付いてるのかも。

13. 謎の名無しさん
イングランド南部で、雪の上に蹄みたいなU字の跡が並んでるのを見たことがある。たぶん、ある条件で雪が溶けると、ウサギやシカの足跡がああいう形になるんだと思う。そのときも周りにウサギの足跡がたくさんあった。南部は大雪が少ないから、雪の上の動物の跡を見慣れてない人が多いのも大きい。

14. 謎の名無しさん(>>13への返信)
ウサギの足跡の写真を、風で少し崩れたところを想像しながら見てみるといい。あの年はとくに寒かったから、雪はさらさらの粉雪で、風の影響を受けやすかったはず。

15. 謎の名無しさん
ウサギ説がいちばんありそうだとは思う。ただ、地元の人たちはその足跡に見覚えがなかったわけで、近所のウサギの跡くらいなら分かりそうなもんだ。普段は冬眠していて雪の上に跡を残さない小さな動物が、あの寒さで出てきた、とかはないかな。

16. 謎の名無しさん
ウサギやネズミで片付けるなら、高さ12フィートの塀はどうするんだって話になる。ノウサギはびっくりするほど高く跳ぶらしいけど、それでも3メートル半は無理がある。そもそも塀の上の足跡が本当にあったのかは別の問題だけど。

17. 謎の名無しさん
馬を飼ってたから言えるけど、馬の足跡は蹄鉄を付けてても、雪の上には蹄の裏側の形まで残る。U字の線だけにはならない。それに体重があるから、深い雪だとずぼっと丸い穴が開く。当時の人も馬の跡ならすぐ分かったと思う。

18. 謎の名無しさん
イギリスにヘラジカがいるかは知らないけど、「きれいに一列」って部分を除けば、ヘラジカの足跡の話を聞いてるみたいだ。何マイルも歩くし、人家の玄関先まで平気で来る。さすがに屋根には登らないけど、1855年の報告がどこまで正確かって話だし。

19. 謎の名無しさん(>>18への返信)
ヘラジカの足跡は10センチどころじゃなく、もっとずっと大きい。そもそもイングランドにも南の島にもヘラジカはいない。屋根の上のヘラジカ、絵面としては見てみたいけど。

20. 謎の名無しさん
野生化したヤギの蹄の跡の写真を見比べてみたら、悪魔の足跡のスケッチにかなり似てた。ヤギなら塀でも屋根でも平気で飛び乗る。犯人候補としては悪くないと思う。

21. 謎の名無しさん
「19世紀のイングランドの田舎で、カンガルーが逃げ出した」が「現実的な説」の側に入ってる時点で、どれだけ難問か分かる。

22. 謎の名無しさん(>>21への返信)
しかもそのカンガルーの話、地元の牧師が怖がる教区の人たちを落ち着かせるためにした話で、本人も自分では信じてないって新聞への投書で認めてるんだよな。正体よりも、まず住民のパニックを鎮めるのが先だったんだろう。

23. 謎の名無しさん
前に読んだ話だと、気球が係留から外れて、垂れたロープの先の錨みたいな金具が雪をこすって跡を付けた、ってことになってた。一列に並ぶのも、塀や屋根を越えるのも、それなら説明がつく。

24. 謎の名無しさん(>>23への返信)
その気球の話、1855年の新聞じゃなくて、1985年に出た本で紹介された話じゃなかったっけ。地元の言い伝えとして出てきたらしいけど、130年後に出てきた話というのはちょっと気になる。それに、何十マイルも木にも建物にも引っかからずに飛んだとは思えない。

25. 謎の名無しさん
子どもの頃、年上のいとこに「バネ足ジャック」の話で脅されたのを思い出した。ヴィクトリア朝のイギリスで噂になった怪人で、夜道で人を襲っては、ものすごい跳躍で逃げていくやつ。

26. 謎の名無しさん(>>25への返信)
異常に高く遠くまで跳べた、って言われてるんだよな。12フィートの塀も屋根もひとっ跳び。悪魔の足跡と組み合わせたら、一本のホラー映画が撮れそう。もちろん冗談だけど。

27. 謎の名無しさん
2009年にも、同じデヴォン州の北部にあるウールズリーで、庭の雪に蹄みたいな跡が見つかったって話がある。見に行った生物学者は「悪魔がウールズリーに来たとは思わない。個人的にはウサギかノウサギだと思う」と言ってた。そのくせ「正体をめぐって学者どうしでちょっとした論争になっている」とも言ってて、そこがちょっと笑える。

28. 謎の名無しさん
個人的にいちばん不気味なのは、元スレで紹介されてた南インド洋のケルゲレン諸島の件。1840年に探検隊を率いたジェームズ・クラーク・ロスが、雪の上に蹄のような跡を見たって話。木も生えない孤島で、どこから来たんだって。デヴォンとつながっているかは分からないけど。

29. 謎の名無しさん
小学校の図書館にあった「世界のふしぎな話」みたいな本で、この事件を読んだ。挿絵の一列の足跡が怖くて、しばらく夢に出た。大人になってまた出会うとは思わなかった。

30. 謎の名無しさん(>>29への返信)
同じく。ああいう本は全部のページが怖かった。自分は人体発火のページを読んでから、毎晩寝る前に「今夜燃えたらどうしよう」と本気で心配してた。悪魔の足跡も、あのシリーズの定番だったな。

未解決の謎

悪魔の足跡がいまも謎のまま残っているのは、足跡そのものが不思議だからというより、記録が一つにまとまらないからだ。大きさは「長さ3インチ」とも「4インチ」とも書かれ、形も「ロバの蹄」から「U字」までまちまち。屋根の上や排水管の中にあったという報告は、誰がどのくらい近くで確かめたのか分からない。1855年当時、写真に撮った人も、石膏で型を取った人もいなかった。雪が溶ければ、証拠は数日で消えてしまう。

いちばん無理のない説明は、ダッシュの資料集が示すように、一晩で何十マイルも歩いた一匹の何かではなく、野ネズミやウサギ、ロバやポニーといった身近な動物の跡と、いくつかのいたずらと、噂の膨らみが重なった、というものだろう。記録的な寒さと、大雪に慣れていない土地。条件がそろえば、見慣れた動物の跡でも「見たことのない足跡」に見える。

それでも、この説明で全部が片付くわけではない。河口の両岸のあれほど多くの場所で、同じ時期に、似たような一列の跡が報告されたのはなぜか。地元の人がウサギやロバの跡を本当に見分けられなかったのか。170年前の雪の朝に何があったのかを確かめる方法は、もう残っていない。2009年にウールズリーの庭で見つかった跡のように、いまも雪の朝にはときどき「蹄の跡」が話題になる。その正体をきちんと確かめられれば、1855年の謎にも少しは近づけるのかもしれない。

出典:r/UnresolvedMysteries 元スレ / Mike Dash「The Devil’s Hoofmarks: Source Material on the Great Devon Mystery of 1855」 / Dark Histories / 英語版Wikipedia「Devil’s Footprints」

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