「火を付けたのは当時12歳の少年」消防士の命を奪った大学図書館の放火、34年かかって解けた謎

「火を付けたのは当時12歳の少年」消防士の命を奪った大学図書館の放火、34年かかって解けた謎 未解決事件

1987年2月、アメリカ・ワシントン州のエバレット・コミュニティ・カレッジで、図書館が一晩で焼け落ちた。消火のために燃えさかる館内へ入った消防士ゲーリー・パークスさん(48歳)は、背後から回り込んだ炎に退路をふさがれ、帰らぬ人となった。火は何者かが故意に付けたものだった。ところが連邦の捜査チームまで乗り込んだのに、犯人は見つからないまま年月が過ぎた。

34年後の2021年、ようやく答えが出た。火を付けたのは、当時まだ12歳の少年だった。夜の図書館に盗みに入り、マッチを擦って、そのまま闇に消えていたのだ。

事件の概要

🗓️ 発生日:1987年2月16日(未明〜早朝)

🌫️ 場所:アメリカ・ワシントン州エバレット、エバレット・コミュニティ・カレッジの図書館

👤 殉職者:エバレット消防局の消防士ゲーリー・パークスさん(48歳)

🔍 状況:閉館後の図書館で放火。2階建ての館内にあった本4万8千冊以上と雑誌2万冊が燃え、消火中に消防士6人が炎に閉じ込められた

🕯️ 結末:2017年、当時12歳だった男性が関与を認め、2021年に第1級殺人で有罪答弁。同年5月に禁錮10年の判決

最初に火に気づいたのは、パトロール中の警察官だった。「キャンパスから高さ12メートルほどの炎が上がっている」と無線で知らせたときには、図書館はもう手のつけられない状態だった。本と雑誌がぎっしり詰まった2階建ての建物は、ほとんど燃料の塊のようなものだったという。焼けた蔵書の中には、17世紀初めに刊行されたウォルター・ローリー※の『世界の歴史』の希少本も含まれていた。

※ ウォルター・ローリー:16〜17世紀イングランドの探検家・廷臣。ロンドン塔に幽閉されていた時期に『世界の歴史』を書いた。

現場には100人を超える消防士が駆けつけた。パークスさんは最初に到着して館内へ入ったうちの1人だった。勤続18年のベテランで、消防車の運転を担当していた。空軍の出身で、ほかでもないこの大学で消防学を学んだ人でもあった。妻と2人の娘、孫たちが残された。

判明している事実

火元は館内の返却ポストのそば
調査の結果、火は館内にある本の返却ポストの近くで、床に積まれた紙や本から出たことが分かった。閉館して人がいなくなったあとに付けられたとみられる。捜査ではすぐに、故意に付けられた火だと判断された。放火で人が死んだ以上、パークスさんの死は殺人事件として扱われることになった。

規則とは違う判断の中で起きた殉職
この夜、消防士たちは局の規則に反して、数人を空気ボンベの交換に戻らせ、残りは館内にとどまって消火を続けた。そこへ背後から炎が一気に回り込み、パークスさんを含む6人が退路を失った。生き残った5人は、残り少ないボンベの空気を交互に分け合いながら、床のホースを手がかりに炎の下を這って外へ出た。パークスさんは煙を吸って亡くなった。

当時の捜査は1年足らずで手詰まり
連邦のアルコール・たばこ・火器局(ATF)※が専門チームを送り、市の警察・消防の放火捜査官と一緒に焼け跡を調べた。それでも手がかりはほとんど得られず、ATFは数週間で引き上げた。警察は「少年数人が開いていた窓から入り込み、火を付けた」とみていたが、誰も起訴されず、その年のうちに警察幹部は「有力な手がかりは出尽くした」と公に認めている。

※ アルコール・たばこ・火器局(ATF):アメリカ司法省の捜査機関。銃器や爆発物のほか、放火事件の捜査も担当する。

決め手は本人の告白
事件はその後も刑事たちに引き継がれ、2017年4月、担当の刑事がたまたま留置場の受付で男性に気づき、話を聞いた。男性は翌日、録音された取り調べで、12歳のとき仲間2人と盗み目的で図書館に忍び込んだことを認めた。報道によれば、男性から「火を付けたのは自分だ」と聞いたという人も7人いた。男性は成人後も多くの重罪で有罪になっていた。

有罪答弁と禁錮10年の判決
男性はのちに録音した供述から距離を置き、検察は年月のあいだに散逸した証拠を集め直す必要があった。2021年3月、男性は第1級殺人※で起訴され、罪状認否の場で有罪を認めた。検察と弁護側は、犯行時の年齢を考えて3年半〜4年半の刑を求めたが、5月の判決で裁判官は禁錮10年と、釈放後の生涯にわたる保護観察を言い渡した。男性は判決の場で「彼を返せるなら返したい。でもできない」と謝罪した。

※ 第1級殺人:ワシントン州では、放火などの重い犯罪の最中に人が死亡した場合、殺意がなくても第1級殺人に問われうる。

主な仮説

仮説1:少年グループが窓から入り込んだ

1987年当時、警察がもっとも有力視していたのがこの見立てだった。開いていた窓があり、少年たちが入り込んで火を付けたとみていた。34年後に分かった真相は、ほぼこの線どおりだった。見立ては当たっていたのに、名前にたどり着く物証も証言も出てこなかった。

仮説2:連続放火犯のしわざ

1990年代の初め、エバレットの南の地域では100件を超える放火が続き、犯人の男が逮捕された。地元ではこの大学の火事もその男のしわざだと思い込む人が多かったという。しかし大学火災と結びつける証拠は何もなく、目立つ事件だったので結びつけて語られただけだった。判決の日、検察官は法廷で「この男性は、あの連続放火犯とは違う」と述べ、犯行時の年齢を量刑の大事な要素に挙げている。

仮説3:盗みの痕跡を消すための放火

本人の説明は二転三転した。最初は「火を付けたのは仲間だ」と話し、のちに、侵入した3人は指紋が残るのを心配していたと語った。指紋を消すために火を付けた、という読み方が成り立つ。判決を伝える報道も「盗みを隠すために火を付けた」と書いている。

仮説4:死者が出ることまでは考えていなかった

本人は「誰にもけがをさせるつもりはなかった」と話し、弁護側も「自分の行動が人の死につながるとは思いもしなかった」と訴えた。1987年当時の消防局長も「消防士を殺すつもりでこの火を付けた者はいないと思う」と語っていた。ただ、ワシントン州の法律では、重い犯罪の最中に人が死ねば殺意がなくても第1級殺人に問われうる。盗みを隠すために火を付けたことと、死者までは考えていなかったことは、両立しうる。

海外の反応

1. 謎の名無しさん
シカゴの「天使の聖母学校」の火事も、12歳くらいの子が付けたんじゃないかと言われてるよね。子どもの火遊びがとんでもない数の命を奪うことって、本当にあるんだな。

※ 天使の聖母学校の火災:1958年12月、シカゴのカトリック系小学校で起きた火災。児童92人と修道女3人が亡くなった。のちに当時10歳前後だった少年が関与を認めたとされるが、公式には出火原因は特定されていない。

2. 謎の名無しさん(>>1への返信)
たしかその火事がきっかけで、学校で定期的に避難訓練をやるのが当たり前になったって聞いたことがある。

3. 謎の名無しさん(>>2への返信)
防火の規則って、たいてい裏にひどい数の死者がいるんだよ。規則があるところには、たぶん誰かが死んでる。死んでなくても、少なくとも誰かが血を流してる。

4. 謎の名無しさん
ロードアイランドのナイトクラブ火災でも、いろんな規制ができた。100人が亡くなった火事で、みんな入ってきた入口に殺到して、出口のところで人が折り重なってしまったんだ。映像が残ってるけど、苦手な人は見ないほうがいい。

5. 謎の名無しさん
「1987年の消防士の死」「34年後」って見出しを読んで、1987年生まれの自分は「34年?そんな歳じゃないぞ」と思ったあと、……ああ、そんな歳だったわ。

6. 謎の名無しさん(>>5への返信)
同い年だ。生まれた年に起きた事件が、自分がこの歳になってやっと片づいたって考えると、34年って本当に長い。ご遺族はその間ずっと待ってたわけだし。

7. 謎の名無しさん
今週はちょうど、ニューヨークの縫製工場火災から110年だった。経営者が非常口に鍵をかけていて、非常階段は崩れ落ちて、140人以上が亡くなった。自分も縫製工場で8年働いたけど、天井の梁が燃える火事があっても誰もけがをしなかった。非常口をふさがない、消火器を置く、糸くずをこまめに掃除する、そういう規則のおかげだよ。9.11でも、避難訓練を徹底させた警備責任者のおかげで、南棟にいた2,700人の社員のうち亡くなったのは6人だけだった会社がある。

8. 謎の名無しさん(>>7への返信)
リック・レスコーラだね。話してくれてありがとう。社員を全員外に出したあと、ほかの人を助けにまたビルに戻っていった人だ。いま生きている何百人もが、あの人のおかげで生きてる。

9. 謎の名無しさん
職場で「安全係のおばさん」をやってる。口うるさいってさんざん言われるけど、この仕事の後ろにどれだけの痛みと死があるか、こういう話を読むたびに思い知らされる。

10. 謎の名無しさん(>>9への返信)
変な言い方だけど、文句を言ってる人たちが、あなたのありがたみを思い知るような目に一生遭わないことを願うよ。

11. 謎の名無しさん
だから警察はコールドケースを捜査し続けるんだよな。当時は口を閉ざしていた人も、何十年も罪悪感を抱えていると、どこかで下ろしたくなる。見つけ出して、聞いてみるしかないんだ。担当した刑事に心から敬意を表したい。

12. 謎の名無しさん
図書館司書です。返却ポストのそばの紙や本から火が出たって、ぞっとした。毎日あのそばで仕事してるから。解決して本当によかった。

13. 謎の名無しさん(>>12への返信)
うちの地元でも図書館の火事で消防士が2人亡くなったことがある。婚約者が消防の隊長をやってるから、こういう話を読むと本当に怖い。

14. 謎の名無しさん
十代のころ住んでた街の古い図書館も火事でなくなった。古い本や新聞に囲まれて入り浸ってたのに、建て直したら味気ないコンクリートの箱になった。古い図書館って、宝の山であると同時に、燃えやすいものの山でもあるんだよな。

15. 謎の名無しさん
90年代半ばにこの大学に通ってた。図書館は建て直されていて、外のベンチには、ブロンズでできた消防のヘルメットと防火服が置かれていた。火事から7〜9年たってたのに、学生はみんなあのベンチの前では静かになった。あの人の死は忘れられてなかったよ。
当時はエバレットの南で連続放火があって、なぜかこの火事もその犯人のしわざだと思い込んでる人が多かった。根拠は何もないのに。本当の犯人が分かって、心からよかったと思う。

16. 謎の名無しさん(>>15への返信)
ブロンズのヘルメットの話で胸が詰まった。仲間の消防士にとっても、34年間ずっと区切りのつかない事件だったんだろうな。

17. 謎の名無しさん
あの経歴を見ると、12歳の時点で「ちょっと問題のある子」程度じゃ済んでなかったと思う。大人になってからも重罪を重ねてるんだから。

18. 謎の名無しさん(>>17への返信)
そうとも限らないでしょ。子どもは馬鹿なことをするし、それがときに取り返しのつかない結果になる。逆に、自分のせいで人が死んだっていう重さが、その後の人生を崩していった可能性だってある。生まれか育ちか、どっちか片方って話でもないし。

19. 謎の名無しさん
12歳のときの罪で、大人として裁かれるのって普通なの? 捕まった時期によって刑の重さって変わるものなのかな。

20. 謎の名無しさん(>>19への返信)
普通じゃない。極端な場合だけだと思う。火を付けたのは事実でも、12歳の子に人が死ぬところまで予想できたかは疑問だし、その夜は消防側も規則と違う判断をしていて、それも重なってる。12歳ひとりに全部を背負わせていいのかは、簡単には言えないよ。法律的にも倫理的にも、ものすごく難しい事件だ。

21. 謎の名無しさん(>>20への返信)
放火の捜査官をしてる。うちの州だと、放火と認定された火事で人が死ねば、殺すつもりがなくても第1級の放火と第1級の殺人になる。あとは年齢で責任能力がどこまで問えるか。12〜15歳で火を付ける子の多くは、危ないことを十分わかってやってるよ。殺すつもりはなかったとしても、火を付けようとしたなら、消防士の死はその結果なんだ。カウンセリングだけで済ませる話じゃないと思う。

22. 謎の名無しさん
子どもを大人として裁けるかどうかは、州ごとにまちまちなんだよ。一定の年齢以下は大人として起訴しない州もあれば、罪の重さ次第で起訴する州もある。全国共通のルールがあるわけじゃない。

23. 謎の名無しさん
ワシントン州だと、12歳未満は原則として責任を問えない。ただし8〜12歳でも、自分のしたことが悪いと分かっていたと証明できれば責任を問える。今回はちょうどその境目の年齢なんだよな。

24. 謎の名無しさん
アメリカでは殺人に時効がない。事故や自然死と判断されなかった以上、何年たっても責任を問える。本人が認めているなら、たいていの検事は起訴に踏み切ると思う。

25. 謎の名無しさん
少数派の意見かもしれないけど、第1級殺人っていうのは引っかかる。火を付けたのは計画的でも、人を殺すことまで計画してたわけじゃない。12歳の脳は先のことを考えられるほど育ってないし、その後の前科を今回の量刑に持ち込むのも違うと思う。

26. 謎の名無しさん
子どものころ、自分も似たようなことをしかけた。まさにああいう問題を抱えた子だった。いまは普通に暮らして、若い子を支援する慈善団体を運営してる。あの子だって救いようがなかったわけじゃない。根っから腐った子どもなんていない。ちゃんとした助けが要るだけなんだ。

27. 謎の名無しさん
夫が消防士。こういう話を読むと、不安で悲しくなる。毎回、これが最後の出動になるかもしれないって思いながら送り出してるから。

28. 謎の名無しさん(>>27への返信)
うちも同じ。カリフォルニアに住んでるから、山火事の季節が来るたびに怖くてたまらない。

29. 謎の名無しさん
素朴な疑問なんだけど、中に誰もいないなら、なんで消防士は燃えてる建物に入っていったの?

30. 謎の名無しさん(>>29への返信)
誰もいないかどうかは、入って確かめないと分からないんだよ。夜勤の職員や清掃の人がいるかもしれないし、暖を取ろうとした人が火を出したのかもしれない。それに建物を守ること自体にも大きな意味がある。パークスさんたちは、その仕事をしに入っていったんだ。

未解決の謎

犯人は分かり、法廷で罪も認めた。それでも、この事件にはすっきりしない部分がいくつも残っている。

まず、なぜ34年もかかったのか。1987年の警察は「少年数人が窓から入った」と、ほぼ正しい見立てを持っていた。それでも名前に届かなかったのは、焼け跡から物証がほとんど出ず、口を割る人もいなかったからだ。突破口は科学捜査ではなく、留置場の受付で刑事が本人に気づいたという偶然と、本人の告白だった。報道では、本人から話を聞いたという人が7人いたとされる。もっと早い時期に誰かが話していれば、という思いは遺族にも残っただろう。

次に、告白から起訴までの4年近い空白。本人は2017年に関与を認めながら、のちに供述から距離を置いた。検察は、長い年月のあいだに散らばった証拠を集め直さなければならなかった。そして量刑の問題がある。検察と弁護側が求めたのは3年半〜4年半で、1987年当時の少年向けの基準に沿ったものだった。成人の基準なら34〜45年にあたる。遺族と消防士たちは数十年から終身を求めていた。裁判官は年齢を考慮しつつも、その後の長い前科と地域の安全を重く見て、禁錮10年を選んだ。12歳の子どもの行為を、47歳の大人としてどう裁くのか。この問いに、誰もが納得する答えは出ていない。

そして、一緒に忍び込んだとされる仲間2人のことは、公にはほとんど語られていない。本人も最初は「火を付けたのは仲間だ」と話し、のちに自分がやったと認めた。あの夜、館内で本当は何が起きたのか。細部はいまも本人の記憶の中にしかない。

エバレット・コミュニティ・カレッジには、パークスさんの名前を冠した奨学金が作られ、ベンチの上にはブロンズのヘルメットと防火服が置かれた。この大学で消防を学び、この大学の火を消そうとして亡くなった人がいたことは、34年たっても忘れられていなかった。

出典:r/UnresolvedMysteries 元スレ / The Daily Herald / 判決の報道:The Daily Herald、KING 5

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