「チキンがパサパサだ」客の苦情から生まれた?バターチキンにそっくりなカレーの発明者はいまも分からない

「チキンがパサパサだ」客の苦情から生まれた?バターチキンにそっくりなカレーの発明者はいまも分からない 都市伝説・陰謀

香ばしく焼いた鶏肉を、クリーミーなオレンジ色のソースで煮込んだチキンティッカマサラ※。日本のインド料理店でおなじみのバターチキンカレーによく似たこの料理は、英国では「非公式な国民食」とまで呼ばれる。元スレの投稿者も「世界中のインド料理店でいちばん人気の料理と言ってもいい」と書いている。

※ チキンティッカマサラ:「ティッカ」は小さく切った肉、「マサラ」は混ぜ合わせたスパイスのこと。ヨーグルトとスパイスに漬けた骨なしの鶏肉を窯で焼いた「チキンティッカ」を、トマトとクリームを使ったソースで煮込む。決まったレシピはなく、店ごとに味が違う。

ところが、この料理を誰がどこで作ったのかが分からない。英国で生まれたという人もいれば、インドにもとからあった料理だという人もいて、スコットランドのグラスゴーで生まれたと信じる人もいる。殺人や失踪の話がずらりと並ぶ r/UnresolvedMysteries に、2019年の秋、「歴史上最大の謎のひとつ」と銘打ったこのスレッドが立ち、332件のコメントが付いた。

事件の概要

🗓️ 時代:1950年代の終わり〜1970年代(名乗り出た人たちが「この頃に生まれた」とする時期)

🌫️ 場所:英国スコットランドのグラスゴー、インド北部のパンジャーブ地方とデリー、英国各地のカレー店

👤 人物:アリ・アフメド・アスラム(1945〜2022)。グラスゴーのインド料理店「シシュ・マハル」の創業者で、もっとも有名な「発明者」

🔍 謎:英国の店で生まれた料理なのか、インドにもとからあった料理が渡ってきたのか

🕯️ 現状:決め手になる記録はない。2009年の「グラスゴー発祥」公認の動きは実らず、アスラム氏は2022年12月に77歳で亡くなった

元スレの投稿者が引用したのは、旅行メディア「カルチャー・トリップ」の記事だ。そこでは「いちばん説得力がある」説として、シシュ・マハルの店主アスラム氏の話が紹介されている。1970年代のある日、客が「チキンがパサパサだ」と文句をつけた。皿を厨房に下げたアスラム氏は、ちょうど胃潰瘍で流動食を続けていて、自分が飲んでいたトマトスープを少し足し、スパイスを振って出し直した。客はすっかり機嫌を直し、その後も仲間を連れて何度もこの料理を食べに来た、という筋書きだ。

同じ記事は、インドの料理評論家ラフル・ヴァルマの「基本的にはパンジャーブの料理で、生まれてせいぜい40〜50年」という見方も紹介している。名乗りを上げる側にも、否定する側にも、決め手になる証拠はない。

判明している事実

グラスゴーの店主は「この店で生まれた」と語っていた
アスラム氏は1945年、いまはパキスタン側にあるパンジャーブ地方の、ラホール近郊の村に生まれた。1950年代の終わりに家族とグラスゴーへ移り、1964年にシシュ・マハルを開いた。2009年にはAFP通信の取材に「チキンティッカマサラはこの店で生まれた」と語り、客に「ちょっとパサついてるな」と言われたのがきっかけで、それ以来ヨーグルトとクリームとスパイスのソースで作っている、と説明している。2022年12月19日に77歳で亡くなり、店は48時間休業して悼んだ。

トマトスープの話には「作り話だ」という証言もある
胃潰瘍とトマトスープ缶の話は、アスラム氏の訃報でも繰り返された。ただ、本人がAFPに語ったソースの中身に、トマトスープは出てこない。英国のインド料理業界誌を創刊したイクバル・ワッハーブは、スープ缶のくだりは、自分と友人の故ピーター・グローヴが記者向けにこしらえた話だったと、英紙サンデー・ポストに語っている。グラスゴーには別の名乗り手もいた。グローヴによれば、シシュ・マハルより前に、市内の店「タージ・マハル」の店主スルタン・アフメド・アンサリが、1950年代の終わりに自分が作ったと名乗っていた。

外相が「真の英国の国民食」と演説した
2001年4月19日、当時の英国外相ロビン・クックはロンドンでの演説で、「チキンティッカマサラは今や真の英国の国民食だ。いちばん人気があるからというだけでなく、英国が外からの影響を取り込み、作り変えていくさまをみごとに示しているからだ」と述べた。続けて「チキンティッカはインド料理だ。マサラソースは、肉をグレイビー※で食べたいという英国人の好みに応えて加えられた」とも語っている。多文化社会を語る演説での発言で、料理の由来を調べたものではない。

※ グレイビー:肉を焼いたときに出る肉汁でつくるソース。英国では、ローストした肉にかけて食べるのが定番。

「グラスゴー発祥」の公認を求めたが、実らなかった
2009年、グラスゴー選出の下院議員モハンマド・サルワルは、シャンパンやパルメザンチーズのように、EUの「原産地名称保護」※で「グラスゴー発祥」と認めさせようと、下院に動議を出した。インドからは反発が相次いだ。デリーの老舗「カリーム」の料理人は「ムガル朝※の宮廷料理人だった祖先が作ってきた、正真正銘のムガル料理だ」と言い、ヴァルマは1971年に初めて食べたとしたうえで、パンジャーブの料理だと改めて述べた。動議は審議されないまま終わった。

※ 原産地名称保護:特定の土地で伝統的な方法で作られた食品にだけ、その名前を名乗ることを認めるEUの制度。

※ ムガル朝:16〜19世紀にインド亜大陸の広い範囲を支配したイスラム王朝。中央アジアから来た王家で、宮廷料理は北インドの肉料理に大きな影響を残した。

よく似たバターチキンも「元祖」を裁判で争っている
バターチキンは、デリーの老舗「モティ・マハル」が元祖を名乗る料理だ。創業者クンダン・ラル・グジュラルは、いまのパキスタンのペシャワールで料理を覚え、1947年にデリーで店を開いた。孫によれば、残った鶏肉がパサつかないよう、トマトを使った濃厚なソースにからめたのが始まりだという。2024年1月、グジュラル家は、2019年創業のチェーン「ダリヤガンジ」が「考案者」を名乗るのは偽りだとして、デリー高裁に損害賠償を求めて訴えた。ダリヤガンジ側は、創業家の故クンダン・ラル・ジャギがグジュラルの共同経営者で、料理はその店で生まれたと反論し、1949年に登録された契約書などを出している。判決が出たという報道は、いまのところ見当たらない。

主な仮説

仮説1:1970年代のグラスゴー、シシュ・マハルで生まれた

いちばん広く知られた説。店主本人が具体的ないきさつを語り、店は半世紀近く「発祥の店」を名乗り、地元選出の議員も後押しした。弱点は、裏付けがほぼ本人と店の証言に限られることだ。当時のメニューのような記録は示されておらず、市内には別の名乗り手もいた。ただ、スープ缶の話が脚色だったとしても、客の苦情をきっかけにソースを工夫したというアスラム氏自身の説明まで否定されたわけではない。

仮説2:英国各地のカレー店で、バングラデシュ出身の料理人たちが生んだ

ピーター・グローヴとコリーン・グローヴは「英国で生まれたのはほぼ間違いなく、おそらくバングラデシュ出身の料理人によるものだ」としている。英国で「インド料理店」を名乗る店は、実際にはバングラデシュ系の人々が営む店が多いことで知られる。2人は、1961年の料理本『ミセス・バルビル・シンのインド料理』に載った、玉ねぎやトマト、スパイスを炒めてクリームやヨーグルトを加える「シャーヒー・チキン・マサラ」が、その先触れだったかもしれないとも書いている。この説なら、発明者は1人ではなく、各地の店で少しずつ形になったことになる。

仮説3:インド北部の料理が、料理人と一緒に英国へ渡った

インド側の立場。ヴァルマはパンジャーブの料理、デリーの老舗はムガル朝の宮廷料理と、言い分は一つではない。パンジャーブを含む北インドには、ヨーグルトとスパイスに漬けた肉を窯で焼く料理の伝統がある。渡英した料理人が故郷の味を持ち込み、英国風に変わっていったと考えれば自然だ。しかも、グラスゴー説の主役のアスラム氏自身がパンジャーブ地方の生まれだった。パンジャーブ生まれの料理人がグラスゴーで形にしたのなら、2つの説は必ずしもぶつからない。弱点は、インド側にも英国より古い記録がはっきり示されていないことだ。

仮説4:デリーのバターチキンが、英国で姿を変えた

コメント欄でいちばん多かった見方。バターチキンは窯で焼いた鶏肉を、ティッカマサラは骨なしのチキンティッカを、どちらもトマトとクリームのソースで煮込む。作り方も見た目もよく似ていて、店によってはほとんど見分けがつかない。デリーで生まれたバターチキンの作り方が移民と一緒に英国へ渡り、英国の店で作り変えられたのがティッカマサラだ、という筋書きになる。ただ、そのバターチキンの元祖が誰なのかさえ、いまインドの裁判所で争われている。

海外の反応

1. 謎の名無しさん
このサブを上から眺めてると、殺人、殺人、誘拐、行方不明、殺人……ん?ティッカマサラ? よし、詳しく聞かせてもらおうか。

2. 謎の名無しさん(>>1への返信)
ほんと、いい息抜きになるよな。殺人が絡まない謎だけを集めた r/nonmurdermysteries ってサブもあるから、好きならのぞいてみて。

3. 謎の名無しさん
スレタイを見た瞬間から、口がもうチキンティッカマサラになってる。でも家族が辛いものをまったく受けつけないから、めったに食べられないんだよね。

4. 謎の名無しさん
インド人だけど、「本場のインド料理」ってどんな味なんだろうって、よく考える。うちだと何を作るにも、まず玉ねぎとトマトを刻み始めて、それから今日は何にするか決めるんだよ。

5. 謎の名無しさん(>>4への返信)
そもそも「本場のインド料理」っていう一つのものは無いと思う。地方ごとに料理がまるで違うから。ケーララ※で食べたビリヤニには玉ねぎもトマトも入ってなかったし、玉ねぎとトマトのソースは、かなりパンジャーブ寄りのやり方だよ。

※ ケーララ:インド南西部の州。ビリヤニは、肉や野菜をスパイスと一緒に米と炊き上げる料理。

6. 謎の名無しさん(>>4への返信)
しかもトマトはアメリカ大陸の作物だからね。1500年代ごろまで、アジアにトマトは無かった。ついでに言うと、じゃがいももポルトガル人がインドに持ち込んだものだよ。

7. 謎の名無しさん(>>6への返信)
何百年もたてば、もう地元の食べ物と言っていいでしょ。作り方はインドのものなんだし。外から来たものを全部外すなら、中央アジアから来たムガル朝の料理まで「インド料理じゃない」ことになっちゃうよ。

8. 謎の名無しさん
ティッカマサラはそもそもインド生まれじゃない。インド生まれなのはバターチキンのほうで、この2つはほとんど同じに見えることもあるから、ごっちゃになるんだと思う。こっちのインド料理店のメニューは、元の料理とかけ離れたものだらけ。ヴィンダルー※なんて、本来はゴアの繊細な豚肉料理なのに、こっちのは頭が吹っ飛ぶほど辛いだけの、じゃがいも入りの代物になってる。……酔っ払ったときは自分も食べるけどさ。

※ ヴィンダルー:インド西岸ゴア地方の料理。ポルトガル統治時代に伝わった、肉をワインビネガーとにんにくに漬け込む料理がもとになったとされる。英国では「激辛カレー」の代名詞。

9. 謎の名無しさん(>>8への返信)
中華のテイクアウトも同じだよ。兄が中国に引っ越したら、こっちでおなじみの「中華料理」がひとつも見つからなかったって。初めて里帰りした晩に頼んだのは、近所の中華のテイクアウトだった。

10. 謎の名無しさん
インドの人に聞いたら、ティッカマサラはインド料理じゃないって言われたよ。本場の味が知りたいなら、バターチキンを食べてみろって。

11. 謎の名無しさん
だから本物のバターチキンのほうが、ティッカマサラより上なんだって。そのバターチキンも州によって作り方が違って、いちばんうまいのはデリーやパンジャーブ、ウッタル・プラデーシュあたり。南のほうはトマトを入れすぎる。

12. 謎の名無しさん
日本の「インド料理店」も、ネパール出身の人がやってる店がすごく多いんだよね。定番はバターチキンカレーとナン。イギリスのバングラデシュ系の店と同じで、看板と作り手の出身が違うのは、どこの国でもよくある話なのかも。

13. 謎の名無しさん
グラスゴーだけじゃないよ。イングランド中部のバーミンガムも、ティッカマサラはうちが元祖だって名乗ってる。

14. 謎の名無しさん(>>13への返信)
それを言いに来た。ティッカマサラの話が本当かどうかは知らないけど、バルティ※を生んだのはバーミンガムだって、胸を張って言えるね。

※ バルティ:鉄製の浅い両手鍋で、強火で手早く仕上げるカレー。鍋のまま食卓に出す。1970年代以降、バーミンガムのパキスタン系やカシミール系の店から広まったとされる。

15. 謎の名無しさん
スレタイに「英国人が発明したという説もあれば、スコットランドのグラスゴーで生まれたという説もある」ってあるけど……スコットランドって、もう英国じゃなくなったの?

※ 英国は、イングランド、スコットランド、ウェールズ、北アイルランドの4つの「国」からなる。「ブリティッシュ」は英国全体を指す言葉だが、イングランドだけの意味で使われることも多く、スコットランドの人はそれを嫌がる。

16. 謎の名無しさん(>>15への返信)
しーっ、スコットランド人に注目を集めないでくれ。こっそり英国を抜けて、EUに戻るつもりなんだから。

※ 元スレの2019年は、英国のEU離脱をめぐって国内が揺れていた時期。2016年の国民投票では、英国全体では離脱が多数だったが、スコットランドでは残留が多数だった。

17. 謎の名無しさん(>>15への返信)
スコットランド人を「ブリティッシュ」と呼ぶくらいなら、まだ平気。本当に危ないのは「イングランド人」と呼んだときで、とんでもない勢いで説教されるのがオチだよ。

18. 謎の名無しさん
スレタイの件だけど、イングランドのことを言いたいなら、ちゃんと「イングランド」と言ってほしい。スコットランド人が「ブリティッシュ」でピリピリするのは、みんながイングランドのつもりでその言葉を使うからなんだ。それはさておき、投稿ありがとう。ここは気が滅入る話が多いから、こういう謎はうれしい。

19. 謎の名無しさん
スコットランド人だけど、グラスゴーに住んでたインド系の男の人が発明したんだって、ずっとそう聞かされてきたよ。

20. 謎の名無しさん
スコットランド人として、まったく公平な立場から言わせてもらうと、これは間違いなくスコットランド発祥だね。

21. 謎の名無しさん(>>20への返信)
インド人として、まったく公平な立場から言わせてもらうと、スコットランド人はインド人の子孫だ。

22. 謎の名無しさん
スコットランドの友達いわく、「うちにはインド系の人がたくさんいて、俺たちの単純な舌に合わせた料理を作ってくれたんだ」。インド系の人がスコットランドで作ったんなら、もうイギリス料理でいいんじゃない?

※ アスラム氏はパキスタン側のパンジャーブ出身。英国では、南アジア系の人が営む店をまとめて「インド料理店」と呼ぶことが多い。

23. 謎の名無しさん
グラスゴー説を推してる人には悪いけど、根拠はほとんど店主本人の話だけなんだよな。1970年代のメニューが1枚でも出てくれば一発なのに、そういうのは聞いたことがない。トマトスープの話まで作り話だって言われてるんだから、なおさら慎重になる。

24. 謎の名無しさん(>>23への返信)
でも、客に文句を言われてソースを足すなんて、いかにも厨房でありそうな話だよ。スープの話が盛られてたとしても、店主の話まで嘘ってことにはならないと思う。

25. 謎の名無しさん
近所のインド料理のテイクアウト店、ティッカマサラにハインツの缶入りトマトスープを使ってるって100%確信してる。あの味は間違えようがない。

26. 謎の名無しさん
似たような料理がもともとアジアのどこかにあって、こっちに持ち込まれ、手に入る材料に合わせて手直しされたんだと思う。カレー店ができたばかりのころは、地元の客が辛いのに慣れてなくてマイルドにしたのかもしれないし、「玉ねぎ多めで」「ソースをもっとクリーミーに」って注文に応えるうちに、今の形になったのかも。ブリティッシュ・エアウェイズの機内食でも出てきたから、イギリス料理を名乗る資格はあるね。

27. 謎の名無しさん(>>26への返信)
イギリスには、ヴィクトリア朝※のころから、もうインド料理店もカレーもあったんだよ。

※ ヴィクトリア朝:ヴィクトリア女王が在位した1837〜1901年。英国がインドを植民地として支配した時代にあたる。

28. 謎の名無しさん
ウスターソースの誕生話にそっくりだな。あっちは、ソースの樽が薬局の地下で何年も忘れられていて、見つけたついでに味見したら熟成してうまくなってたって話。地下で見つけた謎の液体をなめてみる人間って、ほんとどうかしてる。

※ 英国のリー&ペリン社に伝わる誕生話。広く知られた逸話だが、裏付けとなる記録は確認されていない。

29. 謎の名無しさん
日本のカレーライスも、明治のころにイギリス経由で入ってきたものだって聞いた。インドからイギリスに渡って作り変えられた料理が、日本でもう一度作り変えられたわけで、ティッカマサラの話は他人事じゃない気がする。

30. 謎の名無しさん
個人的には、バターチキンの一種なんじゃないかと思ってる。西洋人の舌に合わせて、バングラデシュかパンジャーブの料理人が考えたのかもしれない。どこかの家に眠ってる古いレシピ帳から、店のメニューにたどり着いた可能性だってある。結局、どこから来たのかは誰にも分からないんだよね。

未解決の謎

チキンティッカマサラの発明者が分からない最大の理由は、この料理が、レシピを書き残す習慣のない店の厨房で生まれたことにある。客の注文に合わせてその場でソースを足し、評判がよければ定番になる。メニューに載った日を記録している店は、まずない。残っているのは、何十年もたってから語られた証言と、それを面白く脚色した話だけだ。グラスゴー説を自分の言葉で語れたアスラム氏も、2022年に亡くなった。

手がかりを並べると、奇妙な共通点が見えてくる。グラスゴーの話は「パサパサだと言われてソースを足した」、デリーのバターチキンは「残った鶏肉がパサつかないようソースにからめた」。焼いた鶏肉にソースをかけるのは、窯焼きの料理を出す店ならどこでも思いつきうる工夫で、別々の場所で別々の人が同じ答えにたどり着いていてもおかしくない。クック外相の言う「肉をグレイビーで食べたい英国人」が客席にいたなら、なおさらだ。

そう考えると、「英国かインドか」という問いの立て方そのものが、少しずれているのかもしれない。パンジャーブで生まれた料理人が、グラスゴーの客の好みに合わせて故郷の味を作り変えた。それが事実に近いなら、この料理はどちらか一方だけのものではない。

もっとも、70年以上前の契約書まで持ち出したバターチキンの裁判でさえ、決着の報道はまだない。記録の残っていないティッカマサラの元祖が確定する日は、おそらく来ないだろう。今夜どこかの店で出てくる一皿が、店ごとに少しずつ違う味をしていることが、いちばん確かな答えなのかもしれない。

出典:r/UnresolvedMysteries 元スレ / Culture Trip / AFP通信 / The Guardian / Sunday Post / Gulf News / Reuters / Al Jazeera

コメント