1997年5月、アメリカ南部ミシシッピ州の小さな集落ミーハン。古いカフェの近くの駐車場に停まっていた白いフォードの車内で、若いアジア系の男性が亡くなっているのが見つかりました。捜査の結果、死因は自殺と判断されています。けれど、この話の謎はそこから先にあります。コックの制服らしき白い服、助手席に置かれた茶色の靴、カルバン・クラインの香水、そして書類に残された「リフト」という謎の単語。これだけの持ち物がありながら、彼が誰だったのかは、それから29年たった今も分かっていません。
名前も年齢もはっきりしないまま、彼は今も「ローダーデール郡のジョン・ドウ※」と呼ばれています。なぜ誰も彼を探しに来なかったのか。r/UnresolvedMysteries に投稿されたまとめをもとに、残された手がかりと海外の反応を紹介します。
※ ジョン・ドウ:アメリカで身元の分からない男性を指す仮の呼び名。女性の場合は「ジェーン・ドウ」と呼ばれる。
事件の概要
🗓️ 発見日:1997年5月11日
🌫️ 場所:ミシシッピ州ローダーデール郡ミーハン、「ピーヴィーズ・オールド・カフェ」近くの駐車場
👤 人物:身元不明のアジア系男性(推定20〜25歳、身長173〜178cm、体重59〜68kg、黒髪・茶色の瞳)
🔍 状況:1985年式の白いフォードの車内で死亡しているのが見つかり、自ら命を絶ったと判断された。発見は亡くなって間もないころとみられる
🕯️ 現在:遺体は火葬済み。指紋は採取されているが、2026年9月時点でも身元は判明していない
ミーハンは、ミシシッピ州東部の中心都市メリディアンの近くにある小さな集落です。1997年当時もいまも、住民の顔ぶれが大きく変わるような土地ではありません。そんな場所で、見慣れない若いアジア系の男性が亡くなっていたのに、家族や知人を名乗る人は誰も現れませんでした。
公開されている情報はとても少なく、全米の行方不明者・身元不明者データベース NamUs※ の登録と、有志のまとめサイトに載った検視関連の書類がほぼすべてです。投稿者も「この事件について手に入る情報は多くない」と書いています。
※ NamUs:アメリカ司法省の関連機関が運営する、行方不明者と身元不明遺体の全国データベース。誰でも閲覧でき、遺体の特徴や所持品が公開されている。
判明している事実
車内に残されていた持ち物
車内からは、ミントのガム、KFC(ケンタッキーフライドチキン)の箱とその中の「チケット」(レシートとみられる)、「Eternity」と書かれたボトル、助手席の茶色の靴、中身の分からない錠剤の入った透明な瓶、「S」の刻印がある青い錠剤、灰皿の大麻とみられる吸い殻などが見つかっています。どれも日常的な品ばかりで、名前や住所が分かるものはありませんでした。
書類に残る謎の「リフト」
記録には「左後部ドアにリフト5、運転席側ドアにリフト4」という記載があります。これが何を指すのかは書類から読み取れず、投稿者も「何のことか分からない」と書いています。
白いシャツと、コックの制服
NamUs では服装は「白いシャツ」とだけ書かれています。ただ、身元不明者の情報を集める掲示板の書き込みでは、添付された写真から「コックの制服を着ていた」とされています。
車の持ち主についての記載がない
車については「1985年式の白いフォード」という1行があるだけで、ナンバープレートや所有者の情報は、公開されている書類の範囲では見当たりません。本人の車だったのかどうかも分かっていません。
遺体は火葬され、DNAを調べる手段が限られている
死亡診断書によると、遺体は火葬されています。火葬の前に指紋は採取されていますが、骨が残っていないため、近年多くの身元不明者を特定してきた遺伝子系図調査※を使うのは難しい状況です。
※ 遺伝子系図調査:遺体から採ったDNAを、一般の人が登録した家系調査用のDNAデータベースと照らし合わせ、遠い親戚から本人をたどる手法。2018年ごろから未解決事件の解明に広く使われている。
主な仮説
仮説1:フィリピン出身、またはフィリピン系の人たちの近くで暮らしていた
海外の反応でもっとも多かったのがこの説です。書類の「リフト」を炭酸飲料の「Lift」と読むと、アジアで手に入る国はフィリピンくらいだという指摘がありました。アメリカでもフィリピン系の人が通う輸入食品店なら置いていた可能性があり、そうした店の近くで暮らしていたのではないか、という見方です。ただし「リフト」が本当に飲み物のことかは確かめられておらず、靴の中敷きだとする別の読みもあります。
仮説2:在留資格のない労働者で、周りの人が名乗り出られなかった
コックの制服を着ていたなら、近くの飲食店で働いていた可能性があります。アメリカでは、在留資格のない移民が飲食店の厨房などで現金払いで働くことが珍しくありません。その場合、職場の人たちは彼を知っていても、自分たちの立場を考えて警察に届け出にくくなります。家族も同じ事情を抱えていれば、なおさらです。
仮説3:車は本人のものではなく、持ち主とのつながりが途切れた
車の所有者から身元をたどれなかったのは、車が借りたものか、盗まれたものだったからではないか、という説です。ナンバーがなくても車台番号から所有者はたどれるため、持ち主は分かったものの、その人が彼を知らなかった、という可能性が考えられます。
仮説4:当時の捜査が十分ではなかった
自殺と判断された時点で、身元を調べる作業にあまり力が注がれなかったのではないか、という厳しい見方もあります。所持品の写真が残っておらず、DNAの保存についての記録も見当たらないまま火葬されたことが、この説の根拠です。当時はDNA鑑定が今ほど一般的ではなく、仕方のない面もあったとする意見もあります。
海外の反応
1. 謎の名無しさん
Eternity は香水の名前だよ。カルバン・クラインが出してた、90年代の定番中の定番の香り。
2. 謎の名無しさん(>>1への返信)
90年代はどこへ行ってもこの匂いがしてたな。ショッピングモールも映画館も、特に学校はすごかった。
3. 謎の名無しさん
Eternity は今でも売ってるけど、当時の人気は別格だった。20代前半の男の子が車に置いてても何もおかしくない。どこにでもいる若者だったんだと思う。
4. 謎の名無しさん
男性用の Eternity はアフターシェーブとしても出てたはず。身だしなみに気をつかう子だったのかなと思うと、よけいに切ない。
5. 謎の名無しさん
「リフト」は Lift っていう炭酸飲料のことじゃないかな。売ってる国が限られていて、アジアだとフィリピンくらい。アメリカでも小さな輸入食品店なら置いてるかもしれない。身元の手がかりになるかも。
6. 謎の名無しさん(>>5への返信)
オーストラリアにもあったよ。レモン味のソーダ。調べたら2022年まで売ってたらしい。
7. 謎の名無しさん
ニュージーランドでは Lift は今も普通に売ってる。アメリカの事件で名前を見るとは思わなかったけど、何のことかすぐ分かった。
8. 謎の名無しさん(>>5への返信)
自分は靴の中敷きのことだと思った。かかとを上げて背を高く見せる、いわゆるシークレットインソールのこと。
9. 謎の名無しさん
リフトを中敷きと読むなら、「5」と「4」は高さの数字かもしれない。だとするとかなり厚い。左右で数字が違うのは、片方の脚が少し短かったからじゃないかとも思える。
10. 謎の名無しさん
錠剤はすぐ特定できたはずだよ。市販の薬には識別用のコードが刻印されてるし、自家製だったとしても成分は分析できる。それにアジア系で Lift を持ってたなら、フィリピン出身か、フィリピンで暮らしてた人の可能性は高いと思う。
11. 謎の名無しさん
そもそもこの車は盗難車だったの? 持ち主の話がどこにも出てこないのが引っかかる。
12. 謎の名無しさん(>>11への返信)
ナンバーを照会すれば一発で持ち主が分かったはずなのに。そこができてないのが本当に不思議。
13. 謎の名無しさん
車にナンバープレートが付いてなかったってこと? それとも自分が読み違えてる? 大事なところなのに書いてない。
14. 謎の名無しさん(>>13への返信)
(投稿者です)手に入った書類の範囲では、ナンバーの記載がないんです。車についての情報は1行だけ。普通なら最大の手がかりになるはずなので、自分もすごく変だと思ってます。
15. 謎の名無しさん
記事には出てこないけど、プレートがなくても車台番号(車1台ごとに振られた固有の番号)で持ち主はたどれる。たぶん持ち主は分かったけど、その人は彼を知らなかったんだと思う。
16. 謎の名無しさん
ということは、車は本人のものじゃなかったのかな。彼と車はどういう関係だったんだろう。借りたのか、誰かに乗せてもらっていたのか。分からないことだらけだ。
17. 謎の名無しさん
スマホだと Websleuths が見づらくて確かめられないんだけど、たしか亡くなった人はコックか飲食店の制服を着てたって書いてあった気がする。誰か確認できる?
18. 謎の名無しさん(>>17への返信)
Websleuths の投稿と添付の写真によると、着ていたのはコックの制服だね。
19. 謎の名無しさん
コックの制服だったって話、これはかなり重要だと思う。近くの飲食店で働いていた可能性がぐっと上がる。当時この辺りの店を当たっていれば、何か出てきたんじゃないか。
20. 謎の名無しさん
見れば見るほど、在留資格がなかった可能性が高いと思う。コック服なら、どこかの店で書類なしの現金払いで働いてたのかもしれない。職場の人が彼を知っていても、まず名乗り出ない。家族にも同じ事情があったら、なおさら警察には行けないよ。
21. 謎の名無しさん(>>20への返信)
前にここでまとめたイギリスの事件を思い出した。人目のある場所で亡くなった男性で、最初は有望に見える手がかりがたくさんあったのに、DNAも指紋も身元にはつながらなかった。今も誰なのか分かってなくて、たぶん書類のない移民だったんだと思う。
22. 謎の名無しさん
車内の品の写真はない、遺体は火葬した。正直、この人が誰なのかを本気で調べたようには見えない。命を絶つほど追い詰められていたこと自体が悲しい。故郷の家族が彼の居場所に見当をつけて、問い合わせてくれない限り難しいと思う。
23. 謎の名無しさん(>>22への返信)
(投稿者です)残念ながら、自ら命を絶ったと判断された身元不明者ではよくあることなんです。特に当時は。アメリカ人ではない可能性が高い場合はなおさらで……。
24. 謎の名無しさん
火葬の前に血液カードや組織を保存しなかったの? アルコールの検査に使った血液と尿は、使い切って捨てたの? 所持品や服は保管されてる? 車を追跡した記録はないの? 疑問しかない。
25. 謎の名無しさん(>>24への返信)
指紋を採ったカードからDNAが取れないか、って話もあるけど、30年近く前の紙だと望みは薄い気がする。むしろ車内の品が証拠保管庫のどこかに残っていれば、そっちの方がまだ可能性があると思う。
26. 謎の名無しさん
自分が言いたかったのは、どこで作られたかより、どこで売られてたかなんだ。フィリピン系の人が集まる食料品店で Lift を買ってたなら、店の人や常連が顔を覚えてたかもしれない。移民向けの店には故郷の食べ物が集まるから、売ってた場所の方が大きな手がかりになる。
27. 謎の名無しさん
KFC の箱にレシートが入ってたなら、店と日時が分かったはずなんだよね。亡くなる直前にどこにいて、誰と一緒だったのかをたどる一番の近道だったと思う。
28. 謎の名無しさん(>>27への返信)
97年だと防犯カメラもほとんどないし、頼りは店員の記憶だけ。それでもあの辺りの KFC なんて数えるほどしかないんだから、聞き込みくらいはできたはず。
29. 謎の名無しさん
みんなフィリピン説に寄ってるけど、飲み物1本で出身国まで決めるのは危ういと思う。「アジア系」という判定自体、当時の見た目からの所見だし。最初から絞り込みすぎると、かえって遠回りになるよ。
30. 謎の名無しさん(>>29への返信)
それは同意。ただ、NamUs の写真を見て「この人を知ってる」と思う人が一人でもいれば、それで解決する話なんだよね。どこの国の人かを当てるより、彼の写真がもっと多くの人の目に触れることの方が大事だと思う。
未解決の謎
この事件でいちばん重いのは、亡くなり方そのものよりも、その後の29年間です。20代前半とみられる若者が、仕事着のまま、香水とガムとファストフードの箱を車に残して亡くなった。持ち物だけを見れば、ごく普通の暮らしをしていた人です。それなのに、家族も同僚も友人も、誰ひとり名乗り出ていません。
海外の反応で多かったのは、彼が在留資格のない労働者で、周りの人たちが自分の立場を守るために沈黙したのではないか、という見方でした。だとすれば、彼を知る人はどこかにいたはずで、ただ声を上げられなかっただけなのかもしれません。一方で、「リフト」が本当に飲み物のことなのか、車の持ち主は誰だったのか、KFC のレシートは調べられたのか。基本的な点の多くは、公開されている記録からは確かめようがありません。
遺体は火葬され、骨からDNAを取る道は閉ざされています。残された望みは、どこかの保管庫に眠っているかもしれない所持品と、採取された指紋、そして NamUs に載った写真です。ここ数年、アメリカでは数十年前の身元不明者に次々と名前が戻っています。彼にもいつか名前が戻り、帰りを待っていた誰かのもとへ知らせが届く日が来ることを願わずにはいられません。
情報をお持ちの方は、ローダーデール郡保安官事務所((601) 482-9806)まで、と元スレの投稿者は呼びかけています。
※ 悩みを抱えている方は、厚生労働省の「まもろうよ こころ」などの相談窓口も利用できます。

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