2020年1月、アメリカ・バージニア州の閑静な高級住宅街で、24歳の青年が自宅アパートで殺害された。犯人と目される人物は、事件現場から立ち去る姿を全身くっきりと防犯カメラに残していた——それも、一度見たら二度と忘れられないほど特徴的な「内股歩き※」で。それでも6年近く経った今なお、その歩き方に心当たりがあると名乗り出た者は一人もいない。カメラに映っているのに、誰も正体を知らない。この不気味なねじれこそ、スコット・ラティガン殺害事件が「解けない」最大の理由になっている。
※ 内股歩き:つま先が内側を向き、脚を外側へ跳ね上げるように運ぶ独特の歩き方。骨の変形や古傷など身体的な要因で生じる場合もあれば、正体を隠すために意図的に演じる場合もある。
事件の概要
🗓️ 発生日:2020年1月17日 午後5時29分(通報時刻)
🌫️ 場所:バージニア州アーリントン郡バルストン地区のアパート
👤 被害者:スコット・ラティガン(当時24歳・男性)
🔍 状況:外出していた姉が帰宅すると、上半身に激しい外傷を負ったスコットが室内で倒れて死亡。現場には漂白剤で清掃した形跡
🕯️ 発見/現状:検死は他殺と断定。事件から1年後に容疑者の防犯映像が公開されるも、6年近く未逮捕
現場となったバルストンは、ワシントンD.C.近郊のアーリントンにある再開発エリアで、20〜30代の若い転勤族が多く暮らす「安全で洗練された街」というイメージの地区だ。事件が起きたのは平日の夕方。スコットは姉とふたりでアパートを借りて暮らしており、事件当日、姉は空港へ友人を迎えに出ていた。本人いわく「出ていたのはせいぜい1時間ほど」。その短い留守の間に、弟は変わり果てた姿になっていた。
建物には一応の防犯カメラとフロント受付があったが、当時カメラは完全には作動しておらず、スコットの部屋のある建物内部の映像は残っていない。犯人がどうやって建物に、そして部屋に入り込んだのかは今も分かっていない。事件はコロナ禍の直前に起き、直後にパンデミックが世界を覆ったことで、地元メディアの関心すら十分に集まらないまま歳月だけが過ぎていった。
判明している事実
現場は漂白剤で拭かれていた
現場に残された証拠から、犯人は逃走前に漂白剤とみられる薬剤で現場を清掃しようとした痕跡が確認されている。計画的な殺人にしては中途半端で、「やりすぎた」と気づいた人間が慌てて痕跡を消したような、パニックの匂いを感じさせる要素でもある。
1年後に公開された内股歩きの映像
事件から1年後の命日に、捜査当局は犯行時刻前後に周辺を立ち去る「関係者」の防犯映像を公開した。容疑者は白人男性、身長165〜173センチ前後、そして極端に内股でつま先が内を向く独特の歩き方をしていた。多くの人が「一度見たら忘れられない」と口をそろえる。
建物内カメラは不作動、侵入経路は不明
スコットの住む建物内の防犯カメラは当時まともに機能しておらず、犯人が館内をどう移動したかを示す映像は存在しない。玄関の破壊などこじ開けの痕跡もなく、ドアが開いていたか、あるいは中に入れてもらった可能性も指摘されている。
顔も服のロゴも徹底的に隠していた
映像の人物は顔の下半分をバンダナのような布で覆っていた。事件当日のアーリントンは肌寒かったものの、顔を覆うほどの寒さではなかったという。さらに着ていた服のブランドロゴを一つずつテープで隠していたとも指摘されており、身元特定を強く警戒した様子がうかがえる。
家族の交友も経歴も、動機が出てこない
遺族によれば、捜査当局はスコットの交友関係や過去を徹底的に洗い直したが、彼を害そうとする理由を持つ人物を一人も見つけられなかった。恨み・金銭トラブル・痴情のもつれ——どの線からも、明確な動機が浮かんでこないのだ。
主な仮説
仮説1:顔見知りとのトラブルが暴発した
もっとも多くの支持を集めるのが、スコットが自ら招き入れた人物と何らかの口論になり、それが暴発したという見方だ。姉が空港へ出かけて部屋を独り占めできる状況で誰かを呼んだ——そう考えると、こじ開けの痕跡がない点とも矛盾しない。漂白剤による中途半端な清掃も、「取り返しのつかないことをした」と悟った素人がパニックで痕跡を消そうとした反応、と読める。
仮説2:押し込み強盗が殺人に発展した
物取りが失敗し、鉢合わせた末に殺害に至ったとする説。ただし懐疑論も根強い。高層階の部屋は窓を割って侵入できず、20代のきょうだいの家に高価な物があるとも考えにくい。ハイリスク・ローリターンすぎるうえ、周辺には警備のもっと甘い物件もいくらでもある。わざわざ健康な若い男の部屋を狙う合理性が乏しい、というわけだ。
仮説3:計画的な「暗殺」だった
顔を隠し、服のロゴまでテープで潰し、徒歩で現場に現れて淡々と立ち去った——この徹底ぶりから、行き当たりばったりではなくプロの計画的犯行だとする見方もある。ネット上では、スコットの父親が政府契約部門を持つ衛星通信企業の創業者だったことに注目し、標的は本人ではなく父や会社への「メッセージ」だったのでは、という推測まで飛び交う。ただしこれは裏付けのないネット発の憶測であり、24歳の一般青年を狙う理由としては飛躍が大きいと冷静な指摘も多い。
仮説4:容疑者は女性で、歩き方も偽装だった
後ろ姿の静止画で見える腰の張りや手の小ささから、犯人は男装した女性ではないかとする声も一定数ある。さらに「あまりに不自然な歩き方は、むしろ意図的に演じたのでは」という見立ても根強い。防犯カメラに奇妙な歩き方の人物が映った他の未解決事件を引き合いに、正体を隠すためにあえて特徴的な歩容を作った可能性が語られている。逆に、骨が捻れて見えるほどの歩き方は演技では再現できない、本物の身体的特徴だという反論も同じくらい強い。
海外の反応
1. 謎の名無しさん
この事件が起きた建物、実際に行ったことがある。10年近くこのエリアに住んでたけど、フロントの警備がびっくりするほど緩い。バルストンは20〜30代の転勤族ばかりで「安全な街」扱いされてるから、住人だと思って誰かがドアを押さえてあげた、くらいのことは普通に起きうると思う。コロナで報道が完全にかき消されたのも痛かった。
2. 謎の名無しさん(>>1への返信)
世界有数の空港で働いてるけど、警備なんて外から見えてる部分ほど厳重じゃないよ。「安全なはず」の場所ほど、実は内側がガバガバというのは本当にあるある。
3. 謎の名無しさん
とにかくあの右脚の振り方が異常。あんな歩き方、一度見たら忘れられないはずなのに、6年間だれ一人「知り合いにいる」と言い出さないのが逆に怖い。写真だけでも大々的に出せばいいのに。
4. 謎の名無しさん
一番の壁は「動機がまったく見えない」ことだと思う。警察が交友関係も経歴も洗い直したのに、恨まれる理由が一つも出てこない。動機なき殺人は本当に解けない。
5. 謎の名無しさん(>>4への返信)
自分は色恋沙汰のもつれだと思ってる。姉が空港へ出かけて部屋を独り占めできた隙に誰かを呼び、口論になって最悪の結果に——そう考えると、こじ開けの跡がないのも全部つながる気がするんだよね。
6. 謎の名無しさん
漂白剤で拭いた跡があるのが引っかかる。計画的な殺しなら最初から証拠を残さないはず。あれは「やりすぎた」と気づいてパニックで拭いた、素人の反応にしか見えない。
7. 謎の名無しさん
強盗が失敗して殺しに至った説はちょっと無理があると思う。高層階の部屋は窓を割って入れないし、20代のきょうだいの家に大金や宝石があるとも思えない。ハイリスク・ローリターンすぎる。
8. 謎の名無しさん(>>7への返信)
同意。あのエリアには警備ゼロの物件も高齢者の家もいくらでもある。わざわざ健康な若い男を狙う理由がない。ドアを蹴破るか中に入れてもらうしか侵入手段がないのも不自然だよ。
9. 謎の名無しさん
服のロゴを一つ残らずテープで隠してたって話が本当なら、行き当たりばったりじゃない。顔も隠して、映りうるものを全部潰してる。最初から殺すつもりで来た人間の準備の仕方だよ、これは。
10. 謎の名無しさん
個人的に一番解いてほしい事件。犯人はスコットの知り合いだけど、家族や友人がその存在をまったく知らないタイプの人物——そんな気がしてならないんだ。
11. 謎の名無しさん(>>10への返信)
わかる。手口が妙にクリーンで、まるでプロの仕事みたいなんだよね。それなのに24歳のごく普通の青年が標的になる理由がまるで説明できない。そこがこの事件の一番の闇だと思う。
12. 謎の名無しさん
読めば読むほど、アイダホ大学の事件の犯人コーバーガーみたいに「外面は普通で内側が壊れてる人間が、試しに殺してみた」線もありうる気がしてくる。土地勘のある建物で、たまたま鍵の開いた部屋を見つけただけかもしれない。
13. 謎の名無しさん
あの脚、どう見ても演技には見えない。骨そのものが捻れて曲がってるように見えるんだよ。生まれつきの障害か、昔の大きな骨折の後遺症か——とにかく本物の身体的特徴だと思う。
14. 謎の名無しさん(>>13への返信)
リハビリの現場でああいう歩き方を見たことがある。スポーツで負う膝の重傷後に近い。犯人の交友関係に元大学アスリートがいないか、そこがずっと引っかかってる。
15. 謎の名無しさん
私はずっと犯人は女性じゃないかと思ってる。腰の張り方と手の小ささが、後ろ姿の静止画だとどうしても女性に見えるんだよね。男装して歩き方まで変えていたなら、いろいろ説明がつく。
16. 謎の名無しさん
当日のアーリントンは肌寒かったけど、顔を覆うほどの寒さではなかったらしい。しかもコロナのマスク習慣が始まる数か月前。あのバンダナは明らかにカメラ対策の意図的な隠蔽だと思う。
17. 謎の名無しさん(>>16への返信)
顔を隠すのが意図的なら、あの歩き方も意図的な偽装かもしれない。防犯カメラに奇妙な歩き方の人物が映ったテキサスの未解決事件(ミッシー・ビーヴァーズ事件)でも、まったく同じ説が唱えられてた。
18. 謎の名無しさん
身長は165〜173センチくらいと推定されてる。背の低い男性ともとれるし、平均〜高めの女性ともとれる。この曖昧さがまた厄介なんだよな。決め手にならない。
19. 謎の名無しさん
警察が映像を1年も公開しなかったのが最大の失策だと思う。あれだけ特徴的な歩き方なら、直後に出していれば近所の記憶も新しくて、周辺の防犯カメラも確認できたはず。6年経った今さらでは手遅れ感がすごい。
20. 謎の名無しさん
姉の線は完全に消えたのかな。1時間で犯行と後片付けまで終わらせるのは難しいし、そもそも漂白剤で掃除するのって普通は同居人か身内だよね。そこだけ気になってる。
21. 謎の名無しさん(>>20への返信)
姉は空港へ友人を迎えに行っていてアリバイがある。掃除の件は確かに引っかかるけど、彼女ではないよ。そこはもう捜査で裏が取れてるはず。
22. 謎の名無しさん(>>20への返信)
そもそも警察が容疑者の映像を公開してる時点で、姉とは別人が現場から逃げてるのは確定でしょ。しかも公に流すくらいだから相当自信がある。姉犯人説はさすがに無理があると思う。
23. 謎の名無しさん
これは私のトンデモ仮説だけど、国家安全保障やスパイ絡みの案件だと思ってる。あの冷徹なプロっぽさと、地元警察の妙に受け身な姿勢は、それでしか説明できない気がするんだよ。
24. 謎の名無しさん(>>23への返信)
実はスコットの父親は、政府契約部門まで持つ衛星通信企業の創業者兼CEOだったらしい。標的はスコット本人じゃなく、父や会社への「メッセージ」だった可能性もあるって、界隈では言われてる。
25. 謎の名無しさん(>>23への返信)
さすがに話が出来すぎててドラマみたいだよ。相手はまだ24歳の若者だぞ。もっと年上で複雑な経歴があるならともかく、スパイ説はロマンが勝ちすぎだと思う。
26. 謎の名無しさん
漂白剤で拭いたってことは、犯人が犯行中にケガをして血痕を消そうとした可能性がある。だとしたら現場に犯人のDNAが残ってるはず。近年は他の事件がDNAの家系図解析で次々解決してるのに、なぜこの事件だけ一向に進まないのか不思議でならない。
27. 謎の名無しさん
この事件はいつも頭の片隅にある。2020年4月にアーリントンの姉を訪ねたとき、街中に容疑者の写真入りの情報提供ポスターが貼られてた。人通りの少ないパンデミック初期の街並みと相まって、本当に不気味だった。
28. 謎の名無しさん(>>27への返信)
自分も同じ時期にあのエリアを歩いた。ガランとした街に容疑者のポスターだけが並んでる光景は、今思い出してもぞっとする。あの静けさの中を、犯人がまだ普通に歩いてたのかもしれないと思うと余計にね。
29. 謎の名無しさん
防犯カメラに変装+独特の歩き方の犯人が映ってる未解決事件って、他にもあるよね。テキサスのミッシー・ビーヴァーズ事件とか、ローブとウィッグ姿の人物が映ったリズ・バラーザ事件とか。どれも捕まってないのが本当に怖い。
30. 謎の名無しさん
結局この事件、あの歩き方に「あ、あいつだ」と気づく誰かが現れない限り動かない。犯人が今もどこかで普通に暮らしてると思うと、それが一番ぞっとする。早く解決してほしい、本当に。
未解決の謎
この事件の核心は、たったひとつの残酷な矛盾に集約される。犯人は事件現場から逃げる姿を防犯カメラに全身くっきりと残しているのに、そして「一度見たら忘れられない」と誰もが言う特徴的な内股歩きをしているのに、6年近く経った今も誰一人その正体に心当たりを申し出ていない、ということだ。指名手配級の決定的な映像がありながら、それが一件の有力な情報にも結びついていない。
捜査の初動にも取り返しのつかない穴があった。当局が映像を公開したのは事件からちょうど1年後。記憶が新しいうちに周辺住民へ問いかけ、近隣の防犯カメラを当たる機会を、みすみす1年ぶん逃したことになる。加えて建物内のカメラは作動しておらず、犯人がどうやって館内へ、そして施錠されていたはずの部屋へ入り込んだのかも不明のまま。決定的な時期がコロナ禍の混乱と重なったことも、この事件を世間の記憶から遠ざけた。
読み筋も真っ二つに割れている。漂白剤による中途半端な清掃は「取り返しのつかないことをした素人のパニック」にも見えるし、顔を隠し服のロゴまでテープで潰した徹底ぶりは「最初から殺意を持って準備してきたプロの手口」にも見える。犯人の性別すら定まらず、あの歩き方が本物の身体的特徴なのか、それとも正体を隠すための演技なのかさえ、いまだに決着がついていない。
もし犯人が犯行中に負傷して漂白剤で血を拭ったのなら、現場には犯人のDNAが残されている可能性がある。あの歩き方に気づく一本の通報、あるいはDNAの家系図解析——事件を動かしうる糸口は決してゼロではない。だが今この瞬間も、あの内股の人物はどこかで平然と日常を送っているのかもしれない。それこそが、この事件がもっとも人を落ち着かなくさせる部分だ。

