1991年1月、アメリカ・アリゾナ州フェニックスの小さなアパートで、18歳のシングルマザー、ニコル・モリー・アギレラが命を奪われた。彼女の死を最初に知らせたのは、生後8か月の赤ん坊の泣き声を聞きつけた隣人だった。その子は無傷だった。二人の幼い娘を残して逝った若い母親を、誰が、なぜ手にかけたのか——35年が過ぎた今も、犯人の名は誰ひとり知らない。
事件の概要
🗓️ 発生日:1991年1月17日(木)
🌫️ 場所:アリゾナ州フェニックス、サウスフェニックスのアパート(バッキーロードと3番街付近)
👤 被害者:ニコル・モリー・アギレラ(18歳)/2児のシングルマザー
🔍 状況:自宅アパートで殺害。生後8か月の子は無傷で保護され、3歳の長女は祖母のもとで難を逃れた
🕯️ 発見/現状:赤ん坊の泣き声で隣人が発見。容疑者は一度も公表されず、35年経った今も未解決
ニコルはフェニックスで生まれ育ち、地元のカール・ヘイデン高校に通っていた。18歳という若さで、3歳と生後8か月、二人の娘を育てるシングルマザーだった。事件当夜、3歳の長女は祖母のもとに預けられており、難を逃れている。
彼女の交友関係や仕事について、警察は公にほとんど情報を明かしていない。容疑者も一度として公表されないまま、事件は長い年月のなかで「コールドケース」となっていった。
判明している事実
泣き声で見つかった生後8か月の子
事件は、生後8か月の赤ん坊が泣いているのに気づいた隣人によって発覚した。子は無傷。3歳の長女はこの夜、祖母に預けられていて無事だった。標的にされたのは母親ひとりだった。
顔と首に集中した攻撃
検死により、傷は顔と首に集中し、その数は90回以上に及んだと後年公表された。捜査上、これほど一点に向けられた激しさは怨恨や顔見知りの犯行を示唆する材料とされる一方、無差別の犯行でも起こりうるとの見方もあり、専門家の間でも解釈は割れている。
「限定的」と語られたDNA
フェニックス市警のドミニク・ロステンバーグ捜査官は、2015年と2020年のKTARニュースおよびフォレンジック・マガジンの取材で、この事件では「限定的(limited)」ながらDNA証拠が採取されていたと明かした。「なし」ではなく「限定的」という言葉に、いまの法医遺伝子系図※での進展を期待する声もある。
※ 法医遺伝子系図:犯行現場のDNAを一般向けの遺伝子データベースと照合し、親族をたどって身元を絞り込む捜査手法。近年、長期未解決事件の解決例が増えている。
明かされない人間関係
ニコルの交友関係や仕事に関する情報は、公にはほとんど開示されていない。娘たちの父親が誰なのかも公表されておらず、容疑者の存在も明らかにされていない。
いまも続く情報提供の呼びかけ
匿名情報プログラム「サイレント・ウィットネス」は、犯人の逮捕と有罪判決につながる情報に対して1,000ドルの懸賞金を提示し、今も情報提供を呼びかけている。
主な仮説
仮説1:顔見知り・怨恨による犯行
攻撃が顔と首という象徴的な部位に集中していたこと、そして加害者が生後8か月の赤ん坊には一切手を出さなかったこと——この二点から、犯人はニコルと個人的な関係があり、強い怒りや恨みを抱えていた人物ではないか、とする見方。もっとも多くの人が最初に思い浮かべる説だ。
仮説2:面識のない加害者による犯行
一方で、「過剰な暴力=顔見知り」という等式はドラマ的なプロファイリングにすぎず、現実には見ず知らずの相手を襲うスリルキラーの犯行でも同じような激しさが見られる、という反論も根強い。必死に抵抗した被害者ほど傷が多くなる、という指摘もこの説を補強する。
仮説3:別れた交際相手による犯行
彼女の若さと、犯行に込められた怒りの強さから、関係を断ち切れなかった元交際相手による犯行を疑う声。痴情のもつれが最悪の形で暴発した可能性で、仮説1の「顔見知り」説とも重なる。ただし、彼女の交際関係が公表されていないため裏づけは取れていない。
仮説4:嫉妬した第三者による犯行
顔への執着から、ニコルに嫉妬した誰かの犯行を推測する意見も出た。彼女と関わった男性の配偶者や交際相手など、直接の面識がなくても動機を持ちうる第三者の存在。ただしこれを裏づける具体的な材料はなく、あくまで少数派の見立てにとどまる。
海外の反応
1. 謎の名無しさん
90回以上も刺すなんて、どう考えても痴情のもつれっぽく感じる。まったく無関係な相手に、そこまでやる理由がないと思うんだよね。
2. 謎の名無しさん(>>1への返信)
どうかな。最悪のサイコパスは被害者と何のつながりもないことが多いよ。過剰な暴力=激情、とは限らない。むしろ本物の激情なら、相手を「消したい」だけであっさり終わることのほうが多いと思う。
3. 謎の名無しさん(>>2への返信)
この手の暴力はサディズムというより、激しい怒りに見える。サディズムは加害者自身の欲求の問題で、怒りはもっと個人的な感情だから、そこは大きな違いだと思う。
4. 謎の名無しさん(>>2への返信)
「オーバーキル=個人的」って、正直テレビのプロファイリングの受け売りだよね。実際に読んだ極端な暴力の事件、犯人はほとんど他人だった。むしろ身近な人物が犯人だった例のほうがすぐ思い出せない。
5. 謎の名無しさん
顔と首に集中してるのは、無差別より個人的な怒りを感じさせる。ただ断定はできない。個人的に気になるのは、捜査官が「DNAはなし」ではなく「限定的」と言ってること。何か残ってるなら、いまの技術なら微量でも辿れる可能性があるってことだから。
6. 謎の名無しさん(>>5への返信)
アイダホの4人殺害事件をもう忘れたの?オーバーキルはむしろ、面識のない相手を狙うスリルキラーの特徴でもあるよ。個人的な犯行だと決めつけるのは早い。
7. 謎の名無しさん
あるいは、必死に抵抗した被害者ほど傷が多くなる、という単純な話かもしれない。犯人の感情の深さより、その場の状況が刺し傷の数を決めることもあると思う。
8. 謎の名無しさん
そもそも警察はちゃんと捜査したの?家族や友人に話を聞いて、交際相手や娘たちの父親を調べた形跡が見えないのが信じられない。親友の一人くらい、有力な容疑者を即答できそうなものだけど。
9. 謎の名無しさん(>>8への返信)
警察が語らない=手札がない、とは限らないよ。ちゃんとDNAも探してるし、事件は今も継続扱い。親友の「あいつが怪しい」だけじゃ、逮捕状は取れないからね。
10. 謎の名無しさん
フェニックス市警への不信感がどうしても拭えない。35年間で新しい発表がゼロっていうのは、どこかで手を尽くしきれていない証拠に見えてしまうんだよ。
11. 謎の名無しさん
正直、1991年に未婚のラテン系10代の母親が殺されて、警察が本気を出したとは思えないんだよね。他の事件なら情報を公開して協力を求めるのに、この件はそれすらしていない。
12. 謎の名無しさん
犯人は今もどこかで普通に暮らしてるか、別件で服役してるか、もう死んでるかのどれかだ。私はフェニックス在住だから、なんとも言えない不気味さがある。ニコルさん、どうか安らかに。
13. 謎の名無しさん
娘たちの父親が誰なのか、警察は把握してるんだろうか。そこが分からないと、身近な人物を絞り込むのも難しい気がする。
14. 謎の名無しさん(>>13への返信)
18歳で3歳の子がいるってことは、彼女がかなり若い頃に、少なくとも一人は年上の相手が周りにいた可能性が高い。そこは慎重に見たほうがいいと思う。
15. 謎の名無しさん(>>14への返信)
決めつけは早いよ。父親が彼女と同い年だった可能性だってある。事実がほとんど公開されてないんだから、どっちとも言い切れない。
16. 謎の名無しさん
たしかに逆のパターン、つまり年上の男が絡む例が多いのも事実だと思う。ただこの事件は公開情報が少なすぎて、結局どの方向にも決め手がないんだよな。
17. 謎の名無しさん
私の直感は身近な人物。攻撃が集中していたこともそうだけど、赤ん坊が生かされたのが決定的に個人的な犯行に見える。深夜に大きな声を誰が聞いたのか、身辺に「静かな重要参考人」がいなかったのかを知りたい。
18. 謎の名無しさん
顔を狙うのは、彼女に嫉妬した誰かの犯行にも思える。関わった男性の妻か恋人か、あるいは自分のパートナーが彼女に惹かれてると思い込んだ人とか。ニコル自身がその男性と関係していたとは限らない。
19. 謎の名無しさん(>>18への返信)
私も真っ先に第三者の女性の犯行を思い浮かべた。統計的にはかなり分が悪い推測だけど、顔への執着はそう感じさせる何かがある。
20. 謎の名無しさん
90回以上、しかも顔と首。これは彼女をよく知っていて、強い怒りを抱えた人物の犯行に感じる。見ず知らずの相手に、ここまでの感情はぶつけないと思うんだ。
21. 謎の名無しさん
怒りの強さと彼女の年齢を考えると、別れを受け入れられなかった元交際相手の線も十分ある。手放せなかった相手が最悪の形で暴発した、というのはよくある話だ。
22. 謎の名無しさん(>>20への返信)
でも「オーバーキル=顔見知り」の等式は、アイダホ事件の犯人が被害者を一人も知らなかった事実で崩れる。あの事件で一番傷が多かったのは、目を覚まして抵抗した被害者だった。傷の数は関係の深さじゃなく、抵抗の激しさを表すこともあるんだ。
23. 謎の名無しさん
DNAが「なし」じゃなく「限定的」って表現、これは希望だと思う。今の技術なら、ごく微量でも系図をたどって身元に迫れる。娘さんたちが答えを得られる日が来てほしい。
24. 謎の名無しさん(>>23への返信)
本当にそれ。娘さんたちも今はもう30代半ばのはず。せめて二人が生きているうちに、母親に何があったのかが分かってほしいと願うよ。
25. 謎の名無しさん
フェニックス市警の動きの遅さがどうしても引っかかる。35年間で新情報が一切出ないというのは、初動のどこかで大きく取りこぼしている気がしてならない。
26. 謎の名無しさん
赤ん坊を生かしてその場を去った点が、私はいちばん重要だと思う。もし無差別の激情だったら、泣いている子供にも危害が及んでいてもおかしくない。でも子には一切手を出していないんだ。
27. 謎の名無しさん(>>26への返信)
逆に言えば、犯行のあとに我に返るだけの理性は残っていた、ということかもしれない。だからこそ、まったくの他人ではなく顔見知りの犯行だった説に、私は傾いてしまう。
28. 謎の名無しさん
私はフェニックス出身。当時のサウスフェニックスは決して治安のいい地域じゃなかった。近所トラブルの延長も、通りすがりの犯行も、どちらも普通に起こりうる場所だったのは覚えておいたほうがいい。
29. 謎の名無しさん
懸賞金が1,000ドルって、いくらなんでも安すぎないか。35年前ならまだしも、今この金額じゃ、何か知ってる人がいてもわざわざ口を割る気にはならないと思う。
30. 謎の名無しさん
残された二人の娘に祈りを。母親を奪われただけでなく、「なぜ」の答えすら与えられないまま大人になったわけで、それがこの事件でいちばんむごい部分だと思う。
未解決の謎
ニコル・アギレラの事件がこれほど長く解けないのは、そもそも捜査の入り口となる「彼女が誰と、どんな関係にあったのか」がほとんど公になっていないからだ。動機を推し量る手がかりが乏しいまま、35年という歳月だけが過ぎてしまった。
攻撃が顔と首に集中していたこと、赤ん坊が生かされていたことは、多くの人に「顔見知りの犯行」を思わせる。しかし議論のなかでは、同じ特徴が見ず知らずの加害者にも当てはまりうると繰り返し指摘されてきた。決め手を欠いたまま、顔見知り説と流しの犯行説は今も平行線をたどっている。
唯一の光は、「限定的」と語られたDNAだ。全米では、ごく微量の試料から法医遺伝子系図で犯人にたどり着いた例が近年いくつも生まれている。この事件でも、その一歩が踏み出される日が来るかもしれない。
母を奪われた二人の娘は、いまや30代半ばになっているはずだ。彼女たちがせめて「なぜ」の答えにたどり着けること——それが、この静かな未解決事件に残された、最後の願いなのかもしれない。

