エンジンはかかったまま、ヘッドライトも点いたまま。それなのに、運転していたはずの21歳の姿だけがどこにもない——2020年12月13日の夜、クリスマス休暇を家族と過ごそうと帰路についたテキサス州立大学の学生ジェイソン・ランドリーさんは、実家にたどり着くことなく消息を絶った。
現場に残されていたのは、木と有刺鉄線のフェンスに突っ込んだ痕跡のある車と、そこから数百フィート先まで点々と散らばった彼の持ち物、そして衣類だった。事故そのものよりも、そのあとの1時間に何が起きたのかが、5年以上経った今も分かっていない。
事件の概要
🗓️ 発生日:2020年12月13日の夜(車の発見は日付が変わった午前0時30分ごろ)
🌫️ 場所:テキサス州、本人のアパートから約30マイル(約48キロ)離れた人里離れた砂利道
👤 行方不明者:ジェイソン・ランドリーさん(当時21歳・テキサス州立大学の学生)
🔍 状況:帰省のため出発 → 砂利道でスピンし木と有刺鉄線のフェンスに接触 → 車はエンジンとライトが点いたまま残され、衣類を含む所持品が数百フィート先まで散乱
🕯️ 現状:大規模な捜索でも発見されず、いまも行方不明のまま
ジェイソンさんが向かっていたのは、家族の待つミズーリシティの実家だった。学期末の12月、同じ道を数えきれないほどの学生が帰省のために走っていた、なんでもない夜のはずだった。深夜0時30分ごろ、たまたま通りかかった消防団員※が、砂利道に停まったままの日産アルティマを見つける。エンジンは回り続け、ライトは前方の暗闇を照らしていた。だが車内にも周囲にも、持ち主の姿はなかった。
※ 消防団員(volunteer firefighter):米国の地方部で一般的な、本業を別に持ちながら消防活動にあたる非常勤の消防隊員。
現場は、地元を知る人たちが「道を一本間違えるには、あまりに過酷な場所」と口をそろえる一帯だ。街灯はなく、その日は新月の前日にあたっていて、もともと暗い場所からさらに月明かりが失われていた。12月のテキサスは日中が穏やかでも、深夜は冷え込む。もし徒歩でそこを離れたのなら、方向感覚を失うのはたやすい。
判明している事実
エンジンもライトも点いたままの車
日付が変わった午前0時30分ごろ、通りかかった消防団員が、人里離れた砂利道に日産アルティマを発見した。エンジンはかかったままで、ヘッドライトも点灯していた。発見場所はジェイソンさんのアパートから約30マイル(約48キロ)離れた地点だった。
スピンして木と有刺鉄線に接触
車の状況からは、ハンドルを切りすぎてスピンし、木と有刺鉄線のフェンスに接触したとみられている。一方で、車内から血痕は見つかっていない。ただし、それだけで彼が事故で無傷だったと言い切ることもできない、というのがこの事件のもどかしいところだ。
数百フィート先まで散らばった衣類
消防団員は車の周囲だけでなく、そこから数百フィート離れた場所にまで、ジェイソンさんの持ち物が点々と散らばっているのを見つけている。その中には衣類も含まれていた。「なぜ服が本人から離れた場所にあったのか」という一点が、この事件を語るとき必ず引っかかる部分になっている。
空白の約1時間
スマートフォンなどに残されたデジタルフットプリント※から、当局は当夜の行動を時系列で再構成した。それによると、彼が最後にスナップチャットを使った時刻から、消防団員が車を見つけるまでの間は、およそ1時間しかなかった。事故から発見まで、時間の猶予はほとんどなかったことになる。
※ デジタルフットプリント:通信記録やアプリの利用履歴など、本人が意識しないまま端末に残る電子的な足跡のこと。
大規模捜索でも手がかりなし
広範囲にわたる捜索が行われたが、ジェイソンさんは発見されなかった。その後も、彼の行方につながる決定的な手がかりは出ていない。事故による死から事件性のあるものまで、複数の仮説が並んだまま決着していない。
主な仮説
仮説1:事故のあと、寒さの中で力尽きた
もっとも単純な説明。事故のショックと寒さで正常な判断ができなくなり、自力で歩き出したまま力尽きたというもの。低体温症が進行すると、実際には凍えているのに強烈な暑さを感じて衣服を脱いでしまう「矛盾脱衣」※という現象が報告されており、散らばった衣類はこれで説明がつく、という見方だ。ただしこの説には、あれだけの捜索で痕跡ひとつ出てこないのが説明しづらい、という反論が根強い。
※ 矛盾脱衣:低体温症が進んだ人が、寒さの中で逆に服を脱いでしまう現象。体温調節の破綻によって急に熱く感じるためとされ、遭難事故の症例で報告されている。
仮説2:事故の前から精神的な危機が始まっていた
スレッドでもっとも支持が多かったのがこれ。出発前の彼の様子には不可解なところがあったとされ、大麻の量が急に増えていたこと、ほとんど眠れていなかったことが指摘されている。心身が限界に近い状態で夜の砂利道に入り、事故をきっかけに一気に崩れた——という筋書きだ。この説に立てば、車を捨てて歩き去ったことも、服のことも、本人の中では一貫していたことになる。
仮説3:事故による頭部外傷で錯乱した
木とフェンスに突っ込むほどの衝撃を受けていれば、脳震盪などで意識が混濁していた可能性がある。頭を強く打った直後の人が、筋の通らない行動をとったまま歩き回る例は珍しくない。この説は仮説1・2と矛盾せず、むしろ「引き金」として重なる形で語られることが多い。
仮説4:現場で第三者と接触した
事故そのものが、道で人か車と出くわしたことで起きたのではないか、という説。相手に見られたくない事情があり、車を降ろされ、服を脱がされ、そのまま連れ去られた——と考えれば、事故の理由も、電話が使われなかったことも、服のことも、周辺で見つからないことも一度に説明できてしまう。もっともこれは「説明力が高い」だけであって、裏づける物証があるわけではない。
海外の反応
1. 謎の名無しさん
この事件、結局のところ「最後にスナップチャットを使ってから、車が見つかるまでの1時間」に全部が詰まってる。たった1時間だぞ。その間に事故を起こして、車を降りて、服を脱いで、捜索隊が何年かけても届かない場所まで行ってしまったことになる。距離的にどこまで行けるのか、そこからしておかしい。
2. 謎の名無しさん(>>1への返信)
そこがずっと引っかかってる。1時間なんて、パニックで走ったとしてもせいぜい数キロでしょ。なのにその範囲を徹底的に探して何も出ないのが理屈に合わない。時間が短いほど逆に説明が難しくなる事件って、なかなかないよ。
3. 謎の名無しさん
あの辺りを「人里離れていて容赦がない」と表現するけど、本当にその通りの場所なんだ。しかも事件の翌日が新月で、普段から暗い一帯がさらに真っ暗だった。道を一本間違えるには最悪の夜だよ。星を見るためにわざわざ入っていったという説もあり得なくはないけど、それにはあの道の存在を知ってないと無理だと思う。
4. 謎の名無しさん(>>3への返信)
星を見に行ったのでは、というのは自分も考えた。宇宙の話を熱っぽく語るのが好きだったらしいから、まったく無関係とも思えない。ただそれを認めるなら、事故のあとの不可解な行動は相当ひどい脳震盪か、それ以上のものの結果ということになる。個人的には、その頃うつがかなり進んでいて「もうどうにでもなれ」という状態で砂利道を飛ばした、という方が納得はいく。
5. 謎の名無しさん
推測でしかないけど筋は通る話として——道で誰か、あるいは何かの車と出くわして、それが事故の原因になった。相手は後ろ暗いことをしていて、彼を車から降ろし、服を脱がせ、そのまま連れ去った。これなら事故の理由も、電話を使わなかった理由も、服のことも、近くで見つからない理由も、全部いっぺんに説明できてしまう。
6. 謎の名無しさん
「全部説明できる仮説」って、たいてい一番疑ったほうがいいやつなんだよね。第三者説はきれいに辻褄が合うぶん、逆に何ひとつ物証がないのが致命的だと思う。物証がないからこそ何でも詰め込めるだけで、それは強い説とは違う。
7. 謎の名無しさん
自分は、事故の数日前の時点で彼の精神状態がかなり悪化していたんだと思う。大麻の量が相当なことになっていて、その上ほとんど眠っていなかった。この組み合わせは、誰であっても危ない方向にしか転がらない。
8. 謎の名無しさん(>>7への返信)
残念ながら、似たような経緯の失踪はこの手のドキュメンタリー番組で何度も扱われてる。自分もメンタルの危機だったんじゃないかと思う。誰かに悪意があったわけじゃなく、本人の中で世界の見え方が変わってしまっていた、というパターン。
9. 謎の名無しさん
飼っていた魚が死んでいたという話、あれは何か関係あったのかな。もともと限界の一歩手前まで来ていて、そこに事故の頭部外傷が乗って決壊した——という順番なら、分からなくもない。真冬に服を脱いで走り出すなんて、正気の状態でできることじゃないんだから。
10. 謎の名無しさん
服の件は、必ずしも「異常な精神状態」だけの証拠じゃないよ。低体温症が進むと、凍えているのに急に熱く感じて自分で服を脱いでしまう症例が報告されている。だから服が離れた場所にあること自体は、事故+寒さ+長時間の徘徊、というありふれた最期とも矛盾しない。むしろ何も見つからないことのほうが問題なんだ。
11. 謎の名無しさん
あれだけ捜索して痕跡ひとつ出ないのが、やっぱり変なんだよ。動物が遺体を完全に消してしまうことはない、というのが自分の考え。仮に動物が持っていっても、残ったものにはハゲワシが集まる。捜索中の空でハゲワシが旋回していれば、誰かが気づいて記録に残っていたはずだろう。
12. 謎の名無しさん(>>11への返信)
そもそも冬場にハゲワシって活動してるものなの?寒さで腐敗が遅くなっていたら、そもそも寄ってこないんじゃないかと思うんだけど。
13. 謎の名無しさん(>>12への返信)
テキサスのあの辺なら活動してるよ。そう遠くない街に住んでるけど、一年中見かける。連中も食べないと生きていけないから、冬でもそこにいる。それにあの地域はそこまで冷え込まないし、冷え込んでも長続きしないんだ。
14. 謎の名無しさん
ああいう環境だと、見つかるまでに何年もかかることがある。デス・バレーで消えたドイツ人観光客の一家だって、答えが出るまでにどれだけの時間がかかったか。「見つからない=人為的な何かがあった」と直結させるのは早いと思う。
15. 謎の名無しさん(>>14への返信)
アビリーンのすぐ外で行方不明になったブランドン・ローソンさんも、見つかったのは11年くらい経ってからだった。時間が経ったからといって、それだけで人為的な何かがあった証明にはならないんだよ。
16. 謎の名無しさん
どうせ地元の誰かがやって、顔見知りの警官が都合よく処理した。はい終わり。……という言い方が乱暴なのは分かってるけど、こういう田舎の失踪でそのパターンを何度も見てきたから、どうしても頭をよぎってしまう。
17. 謎の名無しさん(>>16への返信)
その説の根拠は?印象だけで地元の人間を犯人扱いするのは、この手のスレでいちばんやってはいけないことだと思うんだけど。
18. 謎の名無しさん(>>17への返信)
リンク先の記事を読むと、現場検証の一環で犯罪学者が夜に現地へ入ったとき、銃を持った地元の地主と「緊張した遭遇」があったと書かれている。その人物には暴力の前歴があったとも。偶然にしてはできすぎている、とは思う。——念のため書いておくけど、これが強い証拠だとか証明だとか言うつもりはない。この事件で分かっている他の事実も「何かが起きた」ことの証拠ではあるけれど、どれか一つの仮説を特別に後押しするものではないから。
19. 謎の名無しさん
車の前後どちらも損傷していたというのが引っかかる。それに、夜に現場へ戻った調査員の身に何が起きたのかも。個人的には待ち伏せに遭ったという線がいちばん筋が通ると思っていて、地元警察はもっと知っているんじゃないかとも感じている。
20. 謎の名無しさん
落ち着こう。テキサスの田舎で、深夜に見知らぬ人間がうろついていたら、銃を持った地主が出てくるのはむしろ普通のことだよ。それを「怪しい」に直結させたら、あの一帯の住人が全員容疑者になってしまう。実名も顔も出ている人がいるかもしれない場所で憶測を積み上げるのは、本当に危ない。
21. 謎の名無しさん
起きてすぐの頃は、麻薬取引がこじれた結果じゃないかという話がずいぶん出ていた記憶がある。今にして思えば、根拠らしい根拠はなかったけど。とにかく奇妙な事件で、今でもときどき検索しては何か進展がないか確かめてしまう。
22. 謎の名無しさん
麻薬取引説は、当時いちばん「分かりやすかった」だけだと思う。若い男性が夜に何もない道にいた、という一点から逆算しただけで、実際にそれを裏づけるものは出てこなかった。人は説明のつかない話を前にすると、とりあえず知っている筋書きを当てはめたくなるんだよね。
23. 謎の名無しさん
この事件が話題になるたび、どうしようもなく悲しくなる。あの日、クリスマス休みで実家に帰る学生が何千人もあの辺りを走っていて、その中で彼だけがたどり着けなかった。最初の報道を見た日は、みんな「すぐ見つかるだろう」と思っていたんだ。ご家族のことを思うと本当につらい。
24. 謎の名無しさん(>>23への返信)
毎年12月が来るたびに、あの夜が戻ってくるご家族のことを考えてしまう。答えが出ないというのは、悲しみが終わらないということでもあるから。せめて何かひとつでも、確かなことが分かってほしい。
25. 謎の名無しさん
ノア・ドナヒューさんの件を調べてみてほしい。まったく別の事件だけど、重なるところが妙に多いんだ。国も状況も違うのに、話の骨格だけがそっくりに見えてくる瞬間がある。
26. 謎の名無しさん(>>25への返信)
似た構造の事件を並べると納得した気になれるけど、そこは気をつけたほうがいい。別々の事件を重ねて「だから同じことが起きたはずだ」と考え始めると、実際の証拠から離れていく一方だから。似ているのは事件じゃなくて、僕らの語り方のほうかもしれないよ。
27. 謎の名無しさん
現地の地形を知っている人なら分かると思うけど、ああいう土地は上空から見ても地上から見ても、藪と起伏で視界がほとんど効かない。数メートル横を歩いても気づかないことがある。「あれだけ探したのに」と言うけれど、実際に目が届く面積は思っているよりずっと狭いんだよ。
28. 謎の名無しさん
自分が一番ひっかかるのは、エンジンもヘッドライトも点いたままだったこと。これって「すぐ戻るつもりだった」か「そんな判断をする余裕がなかった」かのどちらかしかない。誰かに連れ去られたのなら、相手がライトくらい消してもよさそうなものだし。この一点だけは、事故+錯乱のほうを向いている気がする。
29. 謎の名無しさん(>>28への返信)
逆の読み方もできるよ。とっさに逃げたのなら、キーを回して止める余裕なんてない。慌てて何かから離れた結果としても、車はそのまま残る。ライトが点いていた事実は、実は事故説にも第三者説にも同じくらい使えてしまうんだ。だから決め手にはならない。
30. 謎の名無しさん
5年経っても、この事件について確実に言えることは驚くほど少ない。彼が事故を起こしたこと、車を降りたこと、そして戻ってこなかったこと。それ以外は全部、誰かの想像でしかない。だからこそ願うのは、次に何かが分かるときが「新しい仮説が増えた」ではなく、ご家族に答えが届くときであってほしいということ。
未解決の謎
この事件が5年以上たっても動かない最大の理由は、「空白の1時間」に、どの仮説も等しく入り込めてしまうことにある。事故と寒さで力尽きたのだとしても、精神的な危機の果てに歩き去ったのだとしても、あるいは誰かに連れ去られたのだとしても、残された物証——エンジンのかかった車、木と有刺鉄線の跡、数百フィート先に散らばった衣類——は、そのどれとも矛盾しない。決定的にひとつを選ばせてくれる材料が、ただの一つもないのだ。
もっとも節約的な説明は、やはり事故のあとに錯乱し、寒さの中を歩き続けて力尽きた、という筋書きだろう。矛盾脱衣も、行き先のない移動も、それで説明はつく。ただしこの説には、あれだけの捜索で痕跡ひとつ出てこないという最大の弱点が残る。一方で第三者の関与を疑えば、痕跡がないことにはきれいに答えが出る代わりに、「なぜその夜に、その道で」という偶然を丸ごと引き受けなければならない。どちらを取っても、必ずどこかに違和感が残る。
スレッドで繰り返し出てきたのは、「見つからないこと」そのものを証拠として扱うことへの警戒だった。ブランドン・ローソンさんが11年後に見つかったように、荒れた土地では時間だけが唯一の解決策であることもある。逆に言えば、いま何も出ていないという事実は、ほとんど何も証明していない。
分かっているのは、21歳の学生が家族のもとへ向かって出発し、たどり着かなかったということだけだ。ジェイソンさんの家族にとって、この事件はまだ過去形になっていない。


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