カリフォルニア州の宗教団体に半生を捧げた男性が、教会の仲間と暮らす家からある日ふっつりと姿を消した。家族が正式に行方不明届を出したのは、彼が最後に目撃されてから2年も経ってからだった——ルベン・モレノ、当時41歳。手がかりのないまま9年近くが過ぎたこの失踪は長く注目されずにいたが、2023年に同じ団体を脱会した別の男性が殺害されたことで、二つの事件が思わぬ形で結びつき始める。
両事件の背後にあるのは、外部から「カルト※的」と評されてきた宗教団体「ヒズ・ウェイ・スピリット・レッド・アセンブリーズ」。この団体をめぐって、いま複数の幹部が殺人罪に問われている。
※ カルト(高圧的宗教団体/ハイコントロール・グループ):信者の生活・人間関係・金銭を組織が強く支配し、脱会や外部との接触を妨げるとされる集団。ここでは元メンバーや家族が「カルトのようだ」と証言している団体を指す。
事件の概要
🗓️ 発生時期:ルベン=2017年に最後の目撃/2019年に届出、エミリオ=2023年5月25日に失踪
🌫️ 場所:米カリフォルニア州クレアモント〜レッドランズ一帯
👤 被害者:ルベン・モレノ(当時41歳)、エミリオ・サレム・ガーネム(当時40歳)
🔍 状況:教会仲間と同居していたルベンが失踪。6年後、同じ団体を脱会したエミリオが殺害され、両事件の関連を捜査中
🕯️ 現状:エミリオのトラックは焼損状態で発見され団体幹部が殺人罪で起訴。ルベンは今も行方不明
舞台となったのは、カリフォルニア州ヘメットに拠点を置く宗教団体「ヒズ・ウェイ・スピリット・レッド・アセンブリーズ」。もとはテネシー州ナッシュビルで生まれた団体で、複数の施設を持ち、害虫駆除会社まで運営するなど資金力もあったとされる。信者の暮らしを丸ごと囲い込むその閉鎖性が、二つの事件の背景に横たわっている。
判明している事実
教会仲間と同居していた41歳
ルベン・モレノは失踪当時41歳、カリフォルニア州クレアモントで暮らしていた。彼と兄弟のルディ・モレノは、ヘメットに拠点を置くヒズ・ウェイのメンバーだった。もう一人の兄弟チャーリーは入信を拒み、「カルトのようだ」と警告したことで団体から「忌避」され、兄弟との連絡も絶たれたという。ルベンが最後に目撃されたのは2017年、届出は2019年。この空白の2年が、団体の閉鎖性を物語っている。
20年在籍した脱会者エミリオの消失
エミリオ・サレム・ガーネムは約20年在籍したのち団体を離れ、2023年に家族の待つテネシー州ナッシュビルへ移住した。害虫駆除の経験を活かして自らの会社を立ち上げようとしていた矢先の同年5月、カリフォルニアへ一時戻る。5月25日、レッドランズのスターバックスで元メンバーと会ったのを最後に消息を絶ち、午後6時40分の家族との電話が最後の連絡となった。
団体が送ったとされる差止め請求書
エミリオがカリフォルニアにサテライト拠点を開こうとした動きに対し、団体側は事業をやめるよう差止め請求書※を送ったとされる。彼は団体所有の駆除会社(フルシールド、のちマックスガードと改称)を実質的に育て上げた人物で、独立後に高額の顧客を新会社へ移そうとしていた。この経済的な対立が、事件の伏線として繰り返し語られている。
※ 差止め請求書(cease and desist letter):ある行為をやめるよう要求する通知書。弁護士名義で送られることが多いが、法的な強制力そのものはなく、実質は「従わなければ訴える」という警告・威嚇の意味合いが強い。
焼け落ちたトラックと相次ぐ逮捕
エミリオがラスベガスで借りた白いニッサンのトラックは、2025年8月1日、モハーヴェ砂漠で焼損した状態で発見された。捜査当局は車内から殺人を示す証拠と団体との関連を示す物証を得たと発表している。同年8月には捜索令状の執行で幹部が相次いで逮捕され、指導者の一人シェリー・キャサリン・マーティンと、ルベンの兄弟で高位メンバーとされるルディ・モレノが殺人罪で起訴された。
団体をめぐるもう一つの死
捜査の過程では、2010年に当時4歳だったティモシー・トーマスの死をめぐる別の殺人容疑も浮上した。父親のアンドレ・トーマスは死の直前に養育権をマーティン夫妻に委ねており、少年は虫垂炎を発症したものの適切な医療を受けられずに亡くなったとされる。マーティン夫妻と父親が起訴されており、団体の抱える闇の深さをうかがわせる一件だ。
主な仮説
仮説1:ルベンもまた団体内部で「処理」された
最も重く受け止められているのが、ルベン自身も団体内部で殺害され、失踪として隠蔽されたという見方だ。彼を見かけなくなったメンバーには「別の州で伝道活動をしている」と説明されていたとの証言もある。兄弟ルディが2年ものあいだ失踪を届け出なかった不自然さも、この仮説を後押ししている。
仮説2:エミリオは「脱会の手助け」を装った罠に誘い出された
エミリオは「脱会したがっている高位メンバーを助けに行く」と語っていたが、元メンバーはこれを罠だったと見ている。スターバックスで彼と会ったのがルディとラモン・デュランであり、その後この二人がキャサリンとともに殺害で起訴された経緯は、この「おびき出し」説と矛盾しない。
仮説3:金銭と利権をめぐる粛清
エミリオは高額顧客を自分の新会社へ移そうとし、団体側はそれを止めようと差止め請求書を送った。2〜3万ドルの契約を取ってきても週給は100ドルだったという証言もあり、幹部の強欲さに気づいた彼が離反した——利益源を守るために動いた、という金銭動機の線である。
仮説4:二つの失踪をつなぐのは同じ「団体」という一本の糸
ルベンとエミリオ、時期も場所も異なる二つの事件を結ぶ唯一の共通項が、ヒズ・ウェイという団体そのものだ。中心メンバーは「内部で起きたことはすべて把握している」とされ、エミリオはルベンの失踪について何かを知っていた可能性が指摘される。だからこそ口を封じられたのではないか、という見立てだ。
海外の反応
1. 謎の名無しさん
半生をあの団体の中で過ごした人が、いきなり普通の生活に戻るのは相当しんどいと思う。最初はエミリオが単に故郷カリフォルニアを恋しがって戻ったのかと想像したけど、どうやら理由はもっと生々しかったみたいだ。
2. 謎の名無しさん(>>1への返信)
彼はもともとその団体の駆除業を立ち上げた張本人だから、戻ったのは古い顧客を自分の新会社に引っ張るためだと思う。小さな会社は人脈と紹介で仕事が回るからね。妹さんも旅の主目的はそれだったと語っているらしい。
3. 謎の名無しさん(>>1への返信)
カリフォルニアが恋しかったんじゃない。目的はサテライト拠点を作って高額の契約を古い会社から新会社へ移すこと。2〜3万ドルの契約を取ってきても週給100ドルしか貰えず、幹部の強欲さに気づいて出て行ったと聞いた。
4. 謎の名無しさん
地元の者だけど、少し前にテネシーでラモン・デュランという男が逮捕された。事件全体が本当に不可解で、どこから手を付けたらいいのか分からないくらい人と要素が入り組んでいる。
5. 謎の名無しさん(>>4への返信)
続報のリンクまで貼ってくれて助かる。断片的にしか報じられていないから、こうやって地元の人の声が一番参考になるよ。全国ニュースだけ追ってると全体像がまるで見えてこない。
6. 謎の名無しさん
エミリオは20年もその団体にいたと報じられている。亡くなった時点で40歳、つまり大人になってからの人生のほぼ全てだ。ルベンがいつ入信したのかは分からないけど、どちらにせよ痛ましい話だよ。
7. 謎の名無しさん
深読みかもしれないけど、エミリオが会う予定だった「脱会したがっている高位メンバー」って、実はルディだったんじゃないか。弟が失踪しても届を出さず、その後に同じ団体の男が殺される。エミリオはルベンの失踪について何か知っていた気がする。
8. 謎の名無しさん(>>7への返信)
スターバックスでエミリオと会ったのはルディ・モレノとラモン・デュランだよ。キャサリンも含めて三人がエミリオ殺害で起訴されている。ルディとラモンはルベンに何が起きたか知っているはず。まだ自白していないけどね。
9. 謎の名無しさん
結局ルベン・モレノは今も行方不明のまま、この9年間ほとんど手がかりがない。警察は彼の失踪がその団体とエミリオ殺害に関係しているかを捜査している。彼だけが置き去りにされているようで胸が痛む。
10. 謎の名無しさん
カルトはある種の依存症みたいなもので、抜けた後に薬物へ逆戻りする人が多いのも、ハイそのものより「あの暮らし」が恋しくなるからだと聞いたことがある。抜けること自体が本当に難しいんだ。
11. 謎の名無しさん
そもそも差止め請求書は本当に届いたのかな。しかもカリフォルニアのサテライト限定で?サテライト開設を口実に戻って、実は親しい人に会ったり誰かを助けたりしていた可能性もある。ビジネス判断としては不自然だからね。
12. 謎の名無しさん(>>11への返信)
私の姉や他の元メンバーにも「団体内で見聞きしたことを誰にも話すな」という差止め請求書が届いた。あれは本物の法的文書じゃなくて、口封じのために作られた脅しの偽文書だったと思う。
13. 謎の名無しさん(>>12への返信)
差止め請求書なんて誰でも書いて送れる。法的な強制力はほぼなくて、要は「従わなければ訴えるかもしれない」と匂わせる手の込んだ脅しに過ぎない。弁護士名義にするのは怖く見せたいだけだよ。
14. 謎の名無しさん
ルディ、キャサリン、エミリオの間で実際に何があったのかは、たぶん永遠に分からないんだろうな。それでもせめて、いつかルベンだけは見つかってほしいと願っている。残された家族のためにも。
15. 謎の名無しさん(>>14への返信)
弟が「抜け出すのを手伝ってほしい」と言って呼び出し、待ち合わせ場所に実行部隊を連れて現れた、という筋書きが浮かぶ。「知りすぎた」という理由で兄弟の手にかかったのかもしれない。
16. 謎の名無しさん
家族が2年も届を出せなかったのが切ない。「教団を抜けたら縁を切る」という空気の中では、失踪に気づいても動けなかったんだと思う。この届出の遅れ自体が、団体の異常さを物語っている気がする。
17. 謎の名無しさん
責めるようで気は引けるけど、もし彼が新規事業の資金を集めてそのまま国を横断して姿を消していたなら、それはそれで「失踪」の説明にはなる。断定はできないし、あくまで一つの可能性としての話だけどね。
18. 謎の名無しさん
まだルベンの遺体も見つかっていないし、幹部が起訴されたのはあくまでエミリオの件だよね。二つの事件を安易に結び付けて全部カルトのせいにするのは、逆に真相を見えにくくする気もする。冷静に見たい。
19. 謎の名無しさん
さっき憶測でルディを犯人みたいに書きかけたけど消した。本当に行方不明の人がいる以上、外野が軽々しく犯人扱いするのは違うと反省したよ。ただ、状況があまりに不自然なのは確かだと思う。
20. 謎の名無しさん
この件のドキュメンタリー回を観た。彼は競合するカルトの駆除業から昔の顧客を取り戻そうとしていたらしい。自分で立ち上げて仲間を教育し回していた事業だからね。縁もない街でゼロから始めるのは本当に大変だ。
21. 謎の名無しさん
一体どんな内輪の出来事が殺人にまで発展したんだろう。カルトが常軌を逸しているのは分かるけど、人を殺しても何も得しないどころか今は起訴までされている。支配欲の凄まじさに背筋が寒くなるよ。
22. 謎の名無しさん(>>21への返信)
幹部たちはとにかく強欲だったんだよ。エミリオはそこに気づいてしまった。だからこそ団体を離れた。抜けようとした人間が消えていくのが、この団体の一番恐ろしいところだ。
23. 謎の名無しさん
ナッシュビルに「第二のカルト」があったわけじゃない。ヒズ・ウェイはもともとナッシュビルで作られた団体で、中心メンバーの多くが元々そこの出身。だから家族のもとへ戻る者もいた。エミリオはルベンの失踪について知っていたはずだ。
24. 謎の名無しさん(>>23への返信)
幹部が怒っていたのは、彼が一番の高額顧客を持って行こうとしたから。しかもエミリオは団体ができた当初からいた人間で、この25年で相当な数の「見てはいけないもの」を見てきている。それが命取りだったのかも。
25. 謎の名無しさん
他のメンバーがルベンを見かけなくなって「彼はどこ?」と聞いた時、「別の州で伝道活動をしている」と説明されていたらしい。今思えば、失踪をごまかすための口実だったんだろう。ゾッとする話だ。
26. 謎の名無しさん
アメリカの行方不明者データベースでこの件を読んだ。正直、もう二人とも生きてはいないんじゃないかと思う。それでもルベンについては遺体も物証もないまま、ただ時間だけが過ぎているのが救いようがない。
27. 謎の名無しさん
捕まった連中の何人かと昔、同じ職場で働いたことがある。あいつらはサンバーナディーノにある大手駆除会社ターミニックスの出身で、しかも全員があの教会のメンバーだった。今思うと不気味だよ。
28. 謎の名無しさん(>>27への返信)
それは事実だ。あの連中がフルシールドという駆除会社を立ち上げて、ターミニックスから薬剤や製品を盗んでいた。たぶん顧客も一緒に引き抜いていたと思う。団体の資金源はそうやって作られていたんだ。
29. 謎の名無しさん
どの続報もエミリオ中心で、ルベンの名前がだんだん脇に追いやられているのが気がかり。最初に消えたのは彼なのに。せめて家族が弔えるように、彼がどこにいるのかだけでも明らかになってほしい。
30. 謎の名無しさん
自分は今もあの団体から身を隠して生きている。断言するけど、彼らは間違いなくこの件に関わっている。外の人には大げさに聞こえるだろうけど、中にいた人間は本気で恐れているんだ。
未解決の謎
幹部の逮捕と起訴によって、エミリオ・サレム・ガーネム殺害の輪郭は少しずつ見え始めた。しかし事件の入り口にいたはずのルベン・モレノは、最後に目撃されてから約9年が過ぎた今も、どこにいるのかまったく分かっていない。遺体も、物証も、そして自白もない。起訴された幹部たちは彼の行方を知っているはずだと囁かれながら、その口は今なお固く閉ざされたままだ。
なぜ家族は2年ものあいだ届を出せなかったのか。エミリオはルベンの何を知っていたのか。時期も場所も異なる二つの事件は、本当に一本の線でつながっているのか——問いばかりが積み重なっていく。閉じた共同体の中で起きたことは、外の世界からはあまりにも見えにくい。
確かなのは、団体を離れようとした者、内側を知りすぎた者から順に姿を消していったという不気味な符合だけだ。せめて一人でも多くの家族が、大切な人を弔える日が訪れることを願うばかりである。

