1997年春、出張中の夫とフィラデルフィアのホテルに滞在していた50歳の看護師が、「観光してくる」と言い残して姿を消した。5か月後、彼女は約900キロ離れたノースカロライナ州のピスガ国有林※で、白骨化した刺殺遺体となって発見される。身につけていたのは、家族の誰も見覚えのない登山服。傍らには彼女のものではない青いリュックと、他人の高価なサングラスが残されていた。ジュディ・スミス殺害事件は、四半世紀以上たった今も「彼女がどうやってそこへたどり着いたのか」すら分かっていない。
※ ピスガ国有林:ノースカロライナ州西部に広がる広大な国有林。アパラチア山脈南部の登山・ハイキングの名所で、深い森林地帯が続く。
事件の概要
🗓️ 失踪日:1997年4月10日
🌫️ 場所:米ペンシルベニア州フィラデルフィア(失踪)→ ノースカロライナ州アッシュビル近郊ピスガ国有林(遺体発見)
👤 被害者:ジュディ・スミス(当時50歳・看護師、マサチューセッツ州ニュートン在住)
🔍 状況:会議出張中の夫と滞在したホテルから「観光してくる」と言い残して失踪
🕯️ 発見/結末:1997年9月7日、約900キロ離れた森で白骨遺体を発見。刺殺と判明するも犯人は未特定
ジュディ・スミスはマサチューセッツ州ニュートンで暮らす看護師だった。夫ジェフリーとはもともと、彼女が夫の父親の介護を担当したことがきっかけで知り合い、父親の死後に交際を経て結婚。ただし正式に籍を入れてからは5か月ほどしか経っていなかった。1997年4月、ジェフリーが出席するビジネス会議に付き添う形で、二人はフィラデルフィアを訪れていた。
4月10日、ジュディは会議で忙しい夫に「観光に出かける」と告げてホテルを後にする。それが、彼女が生きている姿を見られた最後だった。夫はその後5か月にわたって行方を捜し、チラシを配り、私立探偵を雇った。警察は当初ジェフリーを疑ったが、のちに容疑者から外している。
判明している事実
900キロ離れた森で見つかった白骨
1997年9月7日、狩りに来ていた父子がノースカロライナ州アッシュビル近郊のピスガ国有林で、散乱した人骨を発見した。遺体の大半は浅い墓に埋められ、一部が毛布に包まれていた。ブラジャーの切れ込みや骨に残るナイフの痕から、彼女は刺殺されたと判明。歯科記録と関節炎を患った膝の特徴から、遺体はジュディ本人と確認された。
家族が知らない登山服と他人の持ち物
遺体は家族の誰も見覚えのない登山服——ジーンズ、サーマルの下着、登山靴——を身につけていた。愛用していた赤いリュックは消え、代わりに見知らぬ青いリュック、現金、結婚指輪、そして彼女のものではない高価なサングラスが残されていた。持ち物の食い違いが、失踪後の彼女が別人のような生活を送っていた可能性を示している。
失踪後に相次いだ奇妙な目撃情報
失踪から数日間、ジュディらしき女性の目撃情報が相次いだ。グレーのセダンを運転していた、サンドイッチを買っていた、おもちゃのトラックを買っていた——目撃地点は数百マイル離れていることもあり、彼女が自らの意思でこの地域へ移動した可能性をうかがわせる。ただし証言はいずれも遺体発見後に集められたもので、信頼性を疑う声も強い。
偽名で泊まったホテルでの異常行動
失踪直後の4月13日から15日、ジュディに似た女性が「HKリッチ/コリンズ」という偽名でソサエティヒル・ホテルに宿泊していた。スタッフは彼女を「今週の変人」と呼んだという。開いた窓の前ではばかることなく奇行に及び、別々の言語のような独り言をつぶやき、「皇帝がいつでも金を送ってくれる」と大声で主張した。深刻な精神的問題をうかがわせる振る舞いだった。
連続殺人犯ヒルトンとの接点疑惑
2007〜2008年にアパラチア山脈南部の国有林の登山道沿いで複数の殺人を犯した連続殺人犯ゲイリー・マイケル・ヒルトンが、この事件と結びつけて語られることがある。彼が被害者の一人を遺棄した場所は、ジュディの遺体発見現場から遠くなかった。だが彼の犯行が始まったのは1997年の殺害から10年以上あとで、両者を結ぶ証拠は一切見つかっていない。
主な仮説
仮説1:自らの意思で姿を消した「計画的失踪」説
スレッドで最も支持を集めているのがこの説だ。失踪翌日、洋品店の店員がジュディらしき女性を目撃し、服を見ながら「うちの娘は絶対こんなの着ない」と話す姿を見たと証言した。のちに家族が「まさに彼女の言いそうなこと」と認めている。落ち着いて店員と世間話をする様子は、誘拐された人間のものとは思えない。結婚して間もなく、夫を「やや依存的」と評する友人もいたことから、結婚生活に嫌気がさして一人になろうとしたのではないか——という見方である。
仮説2:未診断の精神疾患による発作説
ホテルでの奇行や「皇帝が金を送ってくれる」という発言から、統合失調症や双極性障害といった精神疾患のエピソードだったとする説。これらは40代以降に初めて発症・診断されることも珍しくなく、数か月にわたって妄想や躁状態が続き、家族の存在すら忘れてしまうことがある。一方で「認知症で徘徊した」という変種の説には反論が多い。50歳は重い認知症になるには若すぎるうえ、認知症は突然発症して他州まで移動するようなものではないからだ。
仮説3:夫の関与説とその否定
当初は夫ジェフリーが疑われた。身体的な理由(病的な肥満)で容疑から外されたことに対し、「人は他人を雇って犯罪をさせられる」と食い下がる声もある。しかし反対意見は根強い。誰かを雇って妻を5か月も生かしたまま遠方へ運び、山に登らせて殺す——そんな回りくどい犯行は不自然だ。しかも夫は捜査継続を訴え、診療所の経営が傾くほど私財を投じて私立探偵まで雇っていた。多くの人が「彼は無関係」と結論づけている。
仮説4:通り魔・連続殺人犯に遭遇した説
自らの意思で当地へ来たものの、最終的に見知らぬ殺人者の犠牲になったとする説。同じ地域で登山道沿いの殺人を重ねた連続殺人犯ヒルトンの名も挙がるが、彼の犯行開始は10年もあとで時系列が合わない。逃避行の同行者(恋人?)が最後に牙をむいた可能性を指摘する声もあるが、いずれも決め手を欠く。遺体のそばに結婚指輪や現金が残されていたため、物取りの線も薄いとされる。
海外の反応
1. 謎の名無しさん
これは一度DNAで再確認してほしい事件。歯科記録と関節炎の膝で身元を特定したらしいけど、他の手がかりが全部行き詰まってる以上、念のため裏を取る価値はあると思う。
2. 謎の名無しさん(>>1への返信)
同年代で歯の治療痕がそっくり、同じ関節炎の膝、似た結婚指輪の女性が、ジュディの失踪後に遺体で見つかる——これが別人ならさすがに偶然が過ぎる。現地で本人と話したという目撃者までいるわけだし。
3. 謎の名無しさん
個人的にアッシュビルの目撃証言はあまり信用してない。遺体が見つかったのは失踪から5か月後で、証人が話を聞かれたのもそのタイミング。地味な通行人を「確かに彼女だった」と5か月前まで遡って断言できるものかな。
4. 謎の名無しさん
未解決事件の中でもトップ5に入る奇妙さだと思う。どうやってフィラデルフィアからノースカロライナまで移動した? そもそも何のためにそこにいた? 夫と別れたかった? 誰かと会っていた? 謎が謎を呼びすぎている。
5. 謎の名無しさん(>>4への返信)
重い関節炎の膝を抱えた人が、わざわざ山歩きを選ぶだろうか。誰かに無理やり連れて行かれたんじゃないかと勘ぐってしまう。彼女にとってハイキングはあまりに不自然な活動に思える。
6. 謎の名無しさん(>>5への返信)
彼女と同年代で、最近ロッキーやスモーキー山脈を歩いてきた身から言うと、そこまで珍しくないよ。初心者向けの登山道はいくらでもあるし、膝に装具をつけて歩いてる人だってよく見かける。
7. 謎の名無しさん
夫は病的な肥満で、会議に出ていたアリバイもあったから容疑者から外れた。個人的には彼女が精神的に不安定になって土地を離れ、最終的に刺した誰かと出くわしたんだと思う。家族が答えを得られることを願うばかりだ。
8. 謎の名無しさん
とにかく引っかかる点が多い。ボストンからの最初の便に乗り遅れていること、彼女が本当にフィラデルフィアに着いた確かな証拠が薄いこと、地元警察が頑なに夫を犯人扱いしたこと、遺体のDNA鑑定がされていないこと。誰かNetflixで本気で掘ってくれないか。
9. 謎の名無しさん(>>8への返信)
90年代のフィラデルフィア警察は悪名高いほど腐敗してて、何百件もの事件が後で覆されてる。夫が無関係とは言い切らないけど、扱いやすい「手柄」として彼に押しつけようとしたのは十分あり得る話。
10. 謎の名無しさん
私は彼女が自分の意思でフィラデルフィアを去ったと確信してる。失踪翌日に洋品店で見たという店員がいて、服を眺めながら「うちの娘は絶対こんなの着ない」と言ったらしい。後で家族が「まさに彼女の言いそうなこと」と証言したそうだ。
11. 謎の名無しさん
確かジュディは夫の父親の介護士で、それが二人の馴れ初めだったはず。父親が亡くなって結婚したあと、実はそれほど乗り気じゃなかった気持ちがぶり返して、夫が会議で忙しい隙に一人で消えるつもりだったのかもしれない。
12. 謎の名無しさん
そもそも50歳は、あそこまで進んだ認知症になるには若すぎる。突然徘徊して州をまたぐような話を、認知症のひと言で片付けるのはさすがに無理があると思う。
13. 謎の名無しさん
認知症でも脳卒中でもない精神疾患のエピソードだった可能性は十分ある。双極性障害の躁状態、統合失調症、妄想性障害——どれも数か月続くことがあるし、家族の存在を頭からすっぽり忘れてしまうことだってあり得る。
14. 謎の名無しさん
誰かを雇って妻を誘拐させ、ノースカロライナまで運ばせ、5か月間生かしておいて、山に登らせてから確実に殺す? さすがにそんな回りくどいことを、あの夫がやったとは思えないんだよな。
15. 謎の名無しさん(>>14への返信)
その上、夫は警察に捜査継続を訴え、私立探偵まで雇ってた。診療所の経営が傾くほど金をつぎ込んでる。これで彼が黒幕っていうのは、さすがに無理筋だと思うよ。
16. 謎の名無しさん
夫以外に、彼女がフィラデルフィアにいたと確認した人がいないのが気になる。しかも体が動かないという身体的理由だけで夫を容疑から外すのは短絡的だと思う。人は他人を雇って犯罪に手を貸させることだってあるのに。
17. 謎の名無しさん(>>16への返信)
少なくともフィラデルフィアのホテルの従業員が一人、彼女を見て言葉を交わしたと証言してるよ。受付係はジュディが夫に花を持ってきたのが珍しくて、それで覚えていたらしい。
18. 謎の名無しさん
あまり語られないけど、この夫婦は以前アッシュビル方面に縁があったという話がある。夫が減量のために長期滞在した施設が近くにあったとか。そこでジュディが誰かと知り合っていた可能性はないだろうか。
19. 謎の名無しさん(>>18への返信)
ウィキペディアによると、その減量クリニックはローリー近辺で、アッシュビルからは車で4時間ほど離れてる。観光で足を延ばした可能性はゼロじゃないけど、実際に行った記録は見当たらないし、彼女が行きたがっていた形跡もないみたいだ。
20. 謎の名無しさん
これってアメリカ版「イスダルの女」みたいだな。ノルウェーで身元も死因も謎のまま焼死体で見つかった女性の事件。焼けた骨がない分だけ、こっちの方がまだ手がかりは残ってるけど。
21. 謎の名無しさん
自分の感覚だと、むしろディアトロフ峠事件に近い気がする。被害者が誰かも分かってるし、死因も刺殺と分かってる。なのに「どういう経緯でそうなったのか」だけがぽっかり抜け落ちてるタイプの謎だ。
22. 謎の名無しさん(>>21への返信)
いい例えだ。イスダルの女は「そもそも誰なのか」が謎の核だけど、ジュディの件は身元も殺され方も分かってるのに経緯だけが空白。同じ未解決でも、謎の性質がまるで違うんだよな。
23. 謎の名無しさん
長年この事件を追ってきて、自分は「結婚生活からの逃避行」が殺人で終わったんだと納得してる。夫は無関係だと思うけど、全部を正直に話したかというと、そこは疑ってる。あと本当に歯科記録だけで身元を断定していいのかも気になるところ。
24. 謎の名無しさん(>>23への返信)
彼女は刺殺されたうえに毛布にくるまれてたんだよ。死後に自分でそれをやったのでもない限り、自殺の線は消えると思うよ。
25. 謎の名無しさん
もし彼女が数か月どこかで暮らしてたなら、大家か隣人か教会の知り合いあたりが「この人を見た」と警察に届け出そうなものだ。家賃はどうやって払ってた? 介護の仕事をしてなかったか、老人ホームや介護会社を当たるべきだったと思う。
26. 謎の名無しさん(>>25への返信)
もっと単純に、家賃や生活費を全部面倒みてくれる誰か——たとえば恋人——と逃げたなら、彼女の名前はどこにも残らない。90年代なら現金払いの仕事でひっそり生きることもできただろうし。
27. 謎の名無しさん(>>26への返信)
そしてその相手は、たぶんいい人じゃなかった。別れたいだけなら「もう終わりだ、さようなら」で済むのに、わざわざ滅多刺しにして森に埋める必要なんてないはずなんだよ。
28. 謎の名無しさん
統合失調症や双極性障害が40代まで診断されず完全に隠れているのは、実はかなりよくある話。頭が良くて社会的に機能していて、経済的に余裕があるほど見逃されやすい。統合失調症の2〜3割は40歳以降に最初の発症らしいよ。
29. 謎の名無しさん
ソサエティヒル・ホテルでの一件——偽名で泊まり、独り言を別々の言語で話し、「皇帝がいつでも金を送ってくれる」と主張し、スタッフに「今週の変人」と呼ばれたあの行動は、本物の精神的破綻を思わせる。作り話でこんな細部までは出てこない。
30. 謎の名無しさん
個人的に一番不気味なのは、家族の誰も知らない登山服と、彼女のものじゃない他人のサングラスだ。あの5か月間、彼女は一体誰と一緒にいたんだ? その人物こそが最後の鍵を握ってる気がしてならない。
未解決の謎
なぜこの事件は四半世紀以上たっても解けないのか。最大の理由は、失踪から遺体発見までの5か月間、ジュディがどこで誰と過ごしていたのかが完全な空白になっていることだ。相次いだ目撃情報はどれも遺体発見後に集められたもので、信頼性には疑問が残る。生活の痕跡——家賃の記録も、雇い主も、彼女を見たと届け出る隣人も——一つとして見つかっていない。
もっとも多くの支持を集めるのは「自らの意思でフィラデルフィアを去った」という説だ。落ち着いて買い物をし、店員と世間話をする姿は、誘拐や重度の認知障害ではうまく説明がつかない。だが仮に彼女が計画的に姿を消したのだとしても、なぜ縁もゆかりもない南部の山中にたどり着き、家族の知らない登山服のまま刺殺されたのかは、依然として謎のままである。
そして最後まで残る違和感が、遺体とともに見つかった「他人の持ち物」だ。彼女のものではない青いリュックと、高価なサングラス。この5か月間、ジュディの隣には確かに誰かがいた。その人物の正体が分からない限り、なぜ彼女が縁もゆかりもない森で死ななければならなかったのかは、これからも闇の中だろう。
