2012年9月、ノースカロライナ大学チャペルヒル校の19歳の学生フェイス・ヘッジペスが、大学近くのアパートで殺害されているのが見つかった。現場には血の付いたラム酒の瓶と、「I’m not stupid(罵り言葉)jealous」――「バカじゃない」「嫉妬」と読める走り書きの紙袋が残されていた。犯人のDNAは採れていたのに、照合できる相手がいないまま9年が過ぎた。
そのあいだ、ネットの一部と事件系の配信者たちは、彼女を見つけたルームメイトを疑い続けた。2021年、飲酒運転で捕まった男のDNAが現場の痕跡と一致する。2026年10月23日、その男に有罪の評決が出て、仮釈放なしの終身刑が言い渡された。元スレには、地元の同級生や、ルームメイトへの中傷に心を痛めてきた人たちの声が集まった。
事件の概要
🗓️ 発生日:2012年9月6日の夜〜7日の未明
🌫️ 場所:ノースカロライナ州チャペルヒル、大学の敷地外にあるアパート「ホーソーン・アット・ザ・ビュー」
👤 被害者:フェイス・ダニエル・ヘッジペス(19)、ノースカロライナ大学チャペルヒル校の学生
🔍 状況:ルームメイトと夜に出かけて午前2時ごろ帰宅。ルームメイトは明け方に友人の迎えで部屋を出て、数時間後に戻ったところ、自室で殴打されて亡くなっているフェイスを見つけた
🕯️ 結末:2021年9月16日、DNAの一致からミゲル・サルゲロ=オリバレスを逮捕。2026年10月23日、第一級殺人などで有罪、仮釈放なしの終身刑
フェイスはノースカロライナ州ウォーレン郡のホリスターという小さな集落で育った、ハリワ・サポニ族※の一員だった。返済のいらない大型奨学金を得て進学し、家族で初めて大学を卒業するはずだった。小児科医になって部族の地域に戻り、地元の子どもを診たいと話していたという。
※ ハリワ・サポニ族:ノースカロライナ州のハリファックス郡とウォーレン郡にまたがって暮らす先住民の部族。州から認定を受けている。
事件の夜、フェイスとルームメイトは勉強をしてからクラブへ出かけ、運転役のフェイスが車で2人を連れ帰った。ルームメイトはかなり酔って具合が悪く、午前4時ごろに友人に迎えを頼んで部屋を出ている。同じアパート群の一角では、その夜遅くまでバーベキューの集まりが続いていた。フェイスが襲われたのは、ルームメイトが部屋を空けていたこの数時間のことだとみられている。
判明している事実
凶器とされたのはラム酒の瓶
検察によれば、部屋に残された血まみれのラム酒の瓶が凶器だった。司法解剖では頭部に重い骨折があり、顔や腕、脚にも激しく殴られた跡があった。犯人のDNAは瓶のほか、遺体や部屋の中の物からも見つかっている。捜査では400人を超える人からDNAの提供を受け、州捜査局(SBI)の捜査官25人以上が関わったが、一致する人物は出てこなかった。
紙袋に書かれた「バカじゃない」「嫉妬」
現場にはファストフードの紙袋があり、「I’m not stupid(罵り言葉)jealous」と書かれていた。検察は公判で、この紙袋からも被告のDNAが出たと述べている。ただ、誰に向けた言葉で、何を言いたかったのかは、被告が語らない限り分からない。
9年後、飲酒運転の取り締まりで採ったDNAが一致
2021年8月、ミゲル・サルゲロ=オリバレスが飲酒運転で検挙され、そのとき採取されたDNAが現場の痕跡と一致した。翌月の9月16日に逮捕。報道では、彼とフェイスに面識はなかったとされている。検察は死刑を求めず、有罪なら終身刑となる形で起訴した。
証人を呼ばなかった弁護側、2週間あまりの公判
公判は2026年10月7日にダーラム郡の裁判所で始まった。弁護側は、階下の住人が午前3時から4時ごろに大きな物音を聞いていたこと、浴室にあった血のような痕跡に関わる証拠を警察が紛失していたことなどを挙げ、「何かが見つかったことと、犯罪が起きたことは別だ。つなげて示さなければならない」と捜査の穴を突いた。一方で、弁護側は証人を1人も呼ばずに立証を終え、被告本人も証言しなかった。
第一級殺人など4つの罪で有罪、仮釈放なしの終身刑
10月23日、陪審は第一級殺人、第一級強姦、第一級性犯罪、第一級住居侵入の4つの罪すべてで有罪と評決した。殺人には仮釈放なしの終身刑、ほかの罪にも刑期が言い渡され、裁判官はそれらを順に重ねて務めるよう命じた。弁護側は控訴する意向を示している。父親のローランドさんは法廷で「14年と6週間と4日だ」と、事件から過ぎた時間を口にした。母親のコニーさんは、娘の死から間もないころに犯人を赦したと語ってきた人で、評決のあとには「区切りがついて、ようやく心が落ち着いた」と話した。
主な仮説
仮説1:声をかけて断られた怒りから、部屋を狙った
公判を見た人たちによれば、検察は最終弁論でこんな流れを示した。被告は同じアパート群のバーベキューにいて、明け方に帰ってきた2人を見かけ、声をかけたが相手にされなかった。2人がどの部屋に入るかを見ていて、ルームメイトがいなくなったあとに部屋へ入った――。ただし検察自身、これを裏付ける証拠はなく、考えられる筋書きだと断っていたという。検察は「彼女が誰だったからではなく、彼がそういう人間だったからやったのだ」とも述べている。
仮説2:弁護側の主張「捜査には説明のつかない点がある」
弁護側は、未明の物音の時刻や、警察が失った浴室の証拠など、検察の筋書きに収まらない点を並べ、合理的な疑いが残ると訴えた。ルームメイトに疑いの目を向けさせるような主張もあったと、スレの投稿者は書いている。しかし被告のDNAは凶器の瓶や紙袋を含め部屋中から出ており、陪審はこの主張を退けた。
仮説3:ネットで広まった「ルームメイト犯人説」
9年間犯人が見つからなかったあいだ、ネットではルームメイトを疑う声が絶えなかった。根拠とされたのは、通報の際の言葉づかいを「分析」した動画や、フェイスの携帯から友人の留守電に残された音声に、誰かが勝手に付けた会話の文字起こしだった。留守電は2人がまだクラブにいた時刻の録音で、警察も文字起こしのような内容ではないと説明していた。ルームメイトは逮捕も起訴もされていない。
仮説4:紙袋の言葉は、捜査をかく乱するためだった
「嫉妬」という言葉から、当時は女性どうしの恋愛のもつれを思わせる演出ではないか、という読み方もあった。一方で、断られた怒りのまま書き殴っただけだという見方も根強い。どちらにしても、本人が語らない限り確かめようがない。
海外の反応
1. 謎の名無しさん
よかった。これで、ネットの一部や、なぜか人気のある事件系の配信者たちが、あのルームメイトをそっとしておいてくれるといいんだけど。フェイスと家族にやっと正義が届いた。関わった全員に平穏を。犯人以外はね。
2. 謎の名無しさん(>>1への返信)
有名な事件系ポッドキャストが、ルームメイトの通報の音声を「分析」してたらしい。極限状態で口から出た言葉で嘘を見抜けるなんて、ほとんど根拠のない話なのに。「被害者の声を届ける」って言いながら、デマとエセ科学をばらまいて、彼女をさらに苦しめた。
3. 謎の名無しさん(>>2への返信)
俺が思い出したのは、Redditで「良心的」って勧められがちなYouTubeの解説チャンネル。留守電の音声に、ネットの誰かがでっち上げた文字起こしを字幕で流してた。警察が「そんなことは言っていない」と明言してたのにだよ。あれは本当にひどかった。
4. 謎の名無しさん
通報の言葉分析と、しぐさ分析。この2つのエセ科学には本当に腹が立つ。人生で一度も経験したことのない強いショックの中で、話し方や振る舞いがおかしくなるのは当たり前だろ。それを娯楽として続けるのは、もう悪意でしかない。
5. 謎の名無しさん
悲しい出来事に、人がどう反応するかをあれこれ言うのも同じだと思う。ドラマの刑事が「泣き方が足りない」「泣きすぎだ」って言うやつ。大事な人が亡くなっているのを見た直後だよ?反応なんて人それぞれで、それで犯人かどうかは分からない。
6. 謎の名無しさん
この事件がきっかけで、このサブレや事件系の掲示板を見るようになった。みんな推理ゲームみたいに、犯人は「名前を知っている人の中にいるはずだ」って考えるんだよな。ルームメイトにはしっかり裏の取れたアリバイがあったし、2人は仲が良くて動機もない。昔はさんざん言い合ったけど、やっと決着がついた。
7. 謎の名無しさん(>>6への返信)
いや、甘いよ。ああいう人たちは「この男はルームメイトの共犯だった」って言い出すだけだと思う。
8. 謎の名無しさん
事件のとき、俺もUNCの学生でフェイスの1学年下だった。面識はなかったけど、写真を見て思い出したんだ。家族で行ったレストランで案内してくれた子だった。すごくいいなまりの子だねって、両親と話したのを覚えてる。
9. 謎の名無しさん(>>8への返信)
どんななまり?気になる。
10. 謎の名無しさん(>>8への返信)
南部なまりだよ。俺もノースカロライナだけど、彼女のなまりは出身地のあたり特有のもので、州内でもそうそう聞かない。インタビューで話すお母さんも、同じきれいななまりだった。
11. 謎の名無しさん
小学校からずっと同じ学校で、フェイスの1学年上だった。ありきたりに聞こえるけど、本当に誰にでも優しい子だった。キャンパスで会ったとき、チアリーダーや選手たちといたのに、わざわざ足を止めて挨拶して、うちの母の様子まで聞いてくれた。そんなに話す仲でもなかったのに。
12. 謎の名無しさん(>>11への返信)
話してくれてありがとう。写真の彼女、本当に明るい雰囲気の人だよね。
13. 謎の名無しさん
真犯人のDNAが被害者の周りの誰とも一致しないなら、そのDNAは無関係だ、っていう理屈が嫌い。犯人が知らない人物では、物語として面白くないからだろう。メレディス・カーチャー事件※と同じで、女性どうしなら嫉妬があったはずだと、ありもしない対立まで作り上げる。
※ メレディス・カーチャー事件:2007年、イタリアのペルージャで英国人留学生が殺害された事件。米国人ルームメイトのアマンダ・ノックスらが有罪とされたのち、最終的に無罪が確定した。現場からDNAが出た別の男性の有罪は確定している。
14. 謎の名無しさん(>>13への返信)
この調子だと、本当にカーチャー事件みたいになりそう。犯人のDNAがはっきりあるのに、いまだにアマンダがどうにか関わったと信じている人がいる。根拠は「態度が変だった」と目つきだけ。完璧じゃない人間だというだけで悪者扱いされる。
15. 謎の名無しさん
留守電の件も腹が立つ。録音の時刻は午前1時23分で、2人はまだクラブにいた。2時過ぎまで店にいたのにね。自称音声分析の専門家が「時刻がずれている」と言い出して、殺害の時間の音だということにしたんだ。そもそも誤発信なら相手側の電話にも記録が残るから、すぐ確かめられる話だよ。
16. 謎の名無しさん
結局、どうしてこうなったのかは説明されたの?彼は彼女と知り合いだった?片っ端からドアを試していたのか、その夜どこかで彼女を見かけたのか。現場があまりにむごかったから、まったくの他人だったと知って驚いた。
17. 謎の名無しさん(>>16への返信)
検察の最終弁論で推測が示されたよ。同じアパート群で夜遅くまでバーベキューをしていた彼が、明け方に帰ってきた2人に声をかけて断られ、腹を立てて部屋を確かめた。ルームメイトが出ていったあとに入った、という筋書き。
18. 謎の名無しさん
他人を狙った犯行だと聞いてぞっとした。きっかけさえあれば人を殺してしまう人間が、世の中にどれだけいるんだろうと思うと怖い。そういう人の多くは、ただ機会がなかったから一生何もしないで済んでいるだけなのかもしれない。
19. 謎の名無しさん
配信で公判を全部見た人がポッドキャストで話してたけど、検察も「これを証明する証拠はない、あくまで起こりえた筋書きだ」と認めてたらしい。本人が話さない限り、細かいところは分からない。それでも、見ず知らずの相手を狙った犯行に見える。
20. 謎の名無しさん
弁護側は証拠も証人も1つも出さなかったんだよね。公判自体は短いから、興味がある人は見てみるといい。最終弁論が事件のいい要約になってる。
21. 謎の名無しさん
もう少し早く動けなかったのかとは思う。家族が雇った私立探偵が、事件の直後にあの集まりにいた人として彼の名前をつかんでいた、という話も出ているし。見ず知らずの他人を狙う犯行は、酒が入っていれば特に珍しくもないのに。
22. 謎の名無しさん(>>21への返信)
でも名前が挙がっていたとしても、本人の同意か令状がなければDNAは取れない。だから結局、別の件で捕まるまで待つしかなかったんだと思う。9年は長すぎるけど、捜査が何もしていなかったわけでもないよ。400人以上からDNAを集めてたんだから。
23. 謎の名無しさん
じゃあ、あの紙袋の言葉は何だったんだろう。あの夜の出来事と、どうつながるのか。ずっと気になってる。
24. 謎の名無しさん(>>23への返信)
いろんな説を見たけど、アパートの前で2人に相手にされなくて、その仕返しをしたあと、怒りにまかせて書いた、というのが一番筋が通る気がする。愚かとしか言いようがないけど、紙袋にまでDNAを残しているしね。
25. 謎の名無しさん(>>23への返信)
俺は逆に、捜査を混乱させるために書いた可能性も捨てきれないと思ってる。「嫉妬」なんて書けば、身近な女性に目が向くだろうって。実際、ネットはまんまとそっちに流れた。まあ、本人が話さない限り分からないけど。
26. 謎の名無しさん
断られただけで、ここまで逆上する人間がいる。昔の同級生は、ガソリンスタンドで声をかけてきた男に「すみません、支払いに行くので」と背を向けたら、後ろから頭を殴られて、今も意識が戻らない。水曜の朝、仕事に向かう途中の「普通の」男だった。世界の見え方が変わったよ。
27. 謎の名無しさん
地元に住んでいるけど、やっとフェイスと家族に正義が届いて本当によかった。この辺りでもひどい事件はほかにもあったけど、フェイスとイヴ・カーソン※の事件はずっと忘れられない。
※ イヴ・カーソン:2008年、ノースカロライナ大学チャペルヒル校の学生自治会長だったイヴ・カーソンさんが、強盗目的の男2人に殺害された事件。2人とも有罪となった。
28. 謎の名無しさん
お母さんのインタビューを覚えてる。フェイスという名前は、自分が立ち直れたことと、未来への希望のしるしだったって。同じ母親として、少しでも心が安らぐことを祈ってる。
29. 謎の名無しさん(>>28への返信)
しかもお母さんは、何年も前から犯人を赦したと話してたんだよね。評決のあとも「区切りがついた」って。自分なら同じことは言えないと思う。
30. 謎の名無しさん
ルームメイトを追い詰めた人たちが謝ることは、たぶんないんだろうな。でも、9年間ずっと疑われてきた彼女に、せめてこれからは静かな暮らしが戻ってほしい。安らかに、フェイス。
未解決の謎
犯人は分かり、裁判も終わった。それでも、この事件にはいくつかの空白が残っている。いちばん大きいのは、なぜフェイスだったのか、という点だ。検察が示した「声をかけて断られた怒り」という筋書きは、検察自身が証拠はないと認めた推測にとどまる。被告は法廷で一度も証言しておらず、本人の口から動機が語られたことはない。
紙袋の言葉もそうだ。「バカじゃない」「嫉妬」が誰に向けたものだったのか、怒りにまかせた走り書きなのか、それとも目をそらすための細工だったのか。被告のDNAが紙袋から出たことで書いた人物の見当はついたが、言葉の意味までは分からない。弁護側が挙げた未明の物音の時刻や、警察が失った浴室の証拠も、きちんと説明されないまま評決に至った。控訴審でこれらがどう扱われるかも注目される。
そしてもう一つ、この事件はネットの「推理」がどれだけ人を傷つけるかを示した。犯人のDNAは最初から現場にあった。照合できる相手がいなかっただけだ。その9年のあいだ、身近にいたというだけでルームメイトが疑われ、通報の声の調子や、でっち上げの文字起こしが「証拠」として出回った。事件が解決しても、拡散したデマが一緒に消えるわけではない。元スレの投稿者があえてルームメイトの名前を書かなかったのは、そのためだろう。
出典:r/UnresolvedMysteries 元スレ / WRAL / Native News Online / WUNC


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