「木の上にいる、コヨーテが10匹こっちを囲んでる」10年後に山で見つかった29歳の父

「木の上にいる、コヨーテが10匹こっちを囲んでる」10年後に山で見つかった29歳の父 行方不明・失踪

2015年8月11日の夜、ペンシルベニア州タマクアで暮らす29歳の父親が、恋人にこう電話をかけた。「銃を持ってきてくれ。俺は木の上にいる。コヨーテが10匹か11匹、下からこっちを取り囲んでる。携帯の電池がもうない」。通話はそこで切れ、ジェシー・リー・ファーバーは戻らなかった。

※ コヨーテ:北米に広く分布するイヌ科の野生動物で、日本には生息していない。体格はおおむね中型犬ほど、体重は10〜20キロ前後とされる。

その年と翌年にかけて、彼の持ち物が入ったバッグが二つ、別々の場所で見つかっている。ひとつは小学校の裏手にある山の中で、中に運転免許証が入っていた。もうひとつは、木の上。それきり10年、彼自身の行方は分からないままだった。そして2025年10月、山を歩いていた捜索の一団が骨を見つける。鑑定の結果、それはジェシーのものだった。

事件の概要

🗓️ 失踪日:2015年8月11日(最後の通話は同日午後8時過ぎ)

🌫️ 場所:ペンシルベニア州スクールキル郡タマクア周辺の山林

👤 行方不明者:ジェシー・リー・ファーバー(当時29歳、一児の父)

🔍 状況:恋人への電話で「木の上にいる」「コヨーテに囲まれている」と伝えた直後に連絡が途絶える

🕯️ 発見/結末:2025年10月、携帯電話の記録をもとにした捜索で遺骨の一部が見つかり、本人と確認された

タマクアはフィラデルフィアから北西へ150キロほど、アパラチア山脈の東端に食い込むように広がる旧無煙炭の産地にある。人口7000人ほどの小さな町だが、家並みが途切れるとすぐに尾根と広葉樹の森が始まり、谷と稜線が幾重にも折り重なる。日本の里山を思い浮かべると規模を見誤る。この一帯は数十キロにわたって人家のない森が続き、いったん道を外れれば、上空からも地上からも人ひとりを見つけるのは容易ではない。

※ 無煙炭:炭素の割合が高く、燃やしても煙が出にくい石炭。ペンシルベニア州北東部は世界有数の産地で、19世紀から20世紀にかけて採掘で栄えた。閉山後の坑道や露天掘りの跡地が、今も山中に点在している。

ジェシーには幼い子どもがいた。失踪した日、彼は恋人のレイチェル・キャロルさんと連絡を取り合っていた。午後8時を過ぎたころにかかってきた電話は、それまでの会話とはまるで様子が違っていたという。取り乱した声で銃を持ってくるよう頼み、自分がいる場所を木の上だと言い、コヨーテの数を数えて伝えた。そして電池が切れると言い残して、通話は終わった。それから10年、彼は消えたままだった。

判明している事実

最後の通話に残された言葉
2015年8月11日の午後8時過ぎ、ジェシーは恋人に電話をかけ、「銃を持ってきてほしい」「木の上にいる」「コヨーテが10匹から11匹、取り囲んでいる」「携帯の電池が切れそうだ」と伝えた。これが彼の最後の連絡として記録されている。伝えられた内容はこの四つだけで、どの山の、どの斜面にいるのかを特定できるだけの情報は残っていない。

別々の場所で見つかった二つのバッグ
失踪した2015年と、その翌年の2016年に、ジェシーの持ち物が入ったバッグがそれぞれひとつずつ見つかっている。最初のバッグは小学校に近い山の中にあり、警察は彼の運転免許証が入っていたとレイチェルさんに伝えた。二つ目のバッグは木の上で発見され、中には衣類と携帯電話の充電器が入っていた。二つは同じ場所ではなく、見つかった時期も一年離れている。持ち物だけが二度、別々の地点から出てきた——この事件でもっとも説明のつかない部分である。

遺骨を見つけたのは携帯電話の記録
2025年10月、捜索にあたっていた人たちが山中で骨を発見し、鑑定によってジェシーのものと確認された。捜索を支える家族側のフェイスブックのページ「Finding Jesse Farber」の発表によれば、捜査側はジェシーの携帯電話のデータ、とくに基地局の記録を解析して捜索する範囲を絞り込み、その新しい区域から遺骨の一部が見つかったという。米国ではこうした山中の捜索を、郡単位の警察組織と、家族や有志が立ち上げたボランティアの捜索チームが分担して担うことが多い。10年間続いたのは、その両輪だった。

※ 基地局の記録:携帯電話は電波の届く範囲にある基地局と定期的に通信していて、その履歴が事業者側に残る。どの基地局を使ったかを追うと、通話した時点で端末がおおよそどのあたりにあったのかを推定できる。

数か月前に届けられていた別の骨
10月の発見より数か月早く、同じ一帯で見つかった骨が当局に届けられていた。だがその時点では、ジェシーの件と結び付けられてはいなかった。10月にさらに遺骨が見つかったことで、両者がようやくつながった形になる。遺骨は一部しか回収されておらず、警察は残りを探すため、専門の態勢での捜索を続ける方針を示している。死因についても事件性についても、現時点で当局からの発表はない。

主な仮説

仮説1:薬物による錯乱で、いない動物を見ていた

スレッドでもっとも多く語られたのがこの見方である。この件を追った私立探偵は取材に対し、失踪当日のフェイスブックのやり取りから、ジェシーが覚醒剤を使ったうえ、さらに買おうとして代金をめぐるいざこざになっていたと語っている。友人が「前の晩に薬を使って、夜遅くまでゲームをしていた」と話したという証言も伝えられている。眠らず食べない状態が長時間続くと、実際にはいないものが見え、強い被害妄想が現れることが知られている。恋人自身も彼は幻覚を見ていたのではないかと考えていると伝えられており、通話中は静かで、争うような物音も動物の声も聞こえなかった点が、その根拠として挙げられている。

※ 覚醒剤:中枢神経を興奮させる薬物。連続して使うと眠らない・食べない状態が続き、幻覚や被害妄想をともなう精神症状が現れることがある。

仮説2:動物は本当にそこにいた

幻覚説に対しては、「木に登って助けを求めるのは、何かに追われていなければ取らない行動だ」という反論がある。ただしコメント欄では、コヨーテが10匹を超える群れを作るのは珍しく、人間に向かってくるのはさらに稀だという指摘が繰り返し出された。実際に成人が襲われて亡くなった記録は北米でもごくわずかで、それも本来の獲物が減って大きな獲物を狙うようになっていた地域の例だという説明もあった。そこから「コヨーテではなく野犬の群れだったのでは」という案も出ている。捨てられた犬が群れると人を恐れなくなる、という体験談が地域を問わず寄せられた。

仮説3:誰かが関わっていた

薬の代金をめぐるいざこざがあったとされる点から、第三者が関わったのではないかという見方も出ている。「幻覚それ自体は人を殺さない」という指摘は、この立場を端的に言い表している。ただし、この事件で誰かが逮捕・起訴されたという事実はなく、当局が事件性について何らかの結論を示したこともない。特定の誰かを名指しできる材料は、公開されている情報の中には存在しない。

仮説4:山の中で起きた事故

木の上にいたという最後の言葉から、転落を思い浮かべる人もいる。当日の気温は最高で摂氏28度前後、最低でも17度前後だったと調べた書き込みがあり、少なくとも寒さで動けなくなるような条件ではなかった。一方で、灯りのない森で足を踏み外せば、助けを呼べないまま動けなくなることは十分にありうる。ただし、この説を取っても、バッグが二か所に分かれて残っていた経緯だけは説明がつかないままになる。

海外の反応

1. 謎の名無しさん
つまりコヨーテに食い殺されたということ? 見出しを読んだ瞬間はそう受け取ったんだが、本文を最後まで読んでも誰もそうは書いていない。というより、まだ誰にも書けないんだと思う。

2. 謎の名無しさん(>>1への返信)
薬物が絡んでいた可能性は報じられている。友人が恋人に「前日に薬を使って、夜遅くまでゲームをしていた」と話したそうだ。この件を追った私立探偵も、当日のやり取りから彼が薬を買おうとして代金でもめていたと証言している。ただ、そこから先は残りの遺骨が出てくるまで誰にも断定できない。

3. 謎の名無しさん(>>1への返信)
本当に囲まれていたのか、それとも頭の中だけで起きていたことなのか。そこが分かれ目だと思う。前者なら不運な事故の話で、後者なら話の筋がまるごと変わってくる。

4. 謎の名無しさん
うちの敷地にもコヨーテはしょっちゅう来るが、単独か多くて二頭だ。群れになっても五頭を超えることはまずないし、こちらに近づいてもこない。20メートルほどの距離で三頭と鉢合わせしたことがあるけれど、向こうが黙って離れていっただけだった。10匹超えで人を取り囲むというのは、仮に起きたとしても相当な例外だと思う。

5. 謎の名無しさん(>>4への返信)
コヨーテではなく野犬の群れだった可能性はないだろうか。うちの地域では実際に何度か起きている。捨てられた犬が群れると、コヨーテよりよほど人を恐れない。まあ、それでも自分は薬物による幻覚のほうが可能性は高いと思っているけれど。

6. 謎の名無しさん
幻覚が出ていたなら、視界に入った生き物が何であれコヨーテに見えた可能性がある。鹿でもアライグマでも、暗がりで目が光れば思い込むには十分だ。むしろ数まで数えて伝えているところが、切迫感を生々しくしている。

7. 謎の名無しさん
睡眠不足と薬の組み合わせで、精神症状が出ていたのではないか。数日眠らないだけでも人の認識はあっさり壊れる。そこに薬が重なったなら、木に登って助けを求めるところまで行っても不思議ではない。

8. 謎の名無しさん(>>7への返信)
睡眠不足を甘く見ている人が多い。何年か前にヨットで航海したとき、三日ほとんど眠っていない仲間を途中の港で降ろした。全員が自分を陥れようとしていると言い出して、いもしないものが見えていたからだ。二日後にホテルへ迎えに行ったら別人のように落ち着いていて、直前の記憶がほとんど残っていなかった。

9. 謎の名無しさん
薬そのものというより、眠らない・食べないが続くことで症状が出る。自分は薬なしの不眠だけで、見えないものが見えて、聞こえない音が聞こえた。歩いていたはずが気づくと2キロ先にいて、その間の記憶が丸ごと抜け落ちている。あれは本当に不気味だった。

10. 謎の名無しさん
恋人自身が、彼は幻覚を見ていたのだと思うと述べている。しかも通話中は静かで、争うような物音も動物の声も聞こえなかったという。10匹以上に取り囲まれていたなら、電話越しに何かしら音が入りそうなものだ。

11. 謎の名無しさん
北米でコヨーテに襲われて成人が亡くなった記録は、たしか一件しかなかったはずだ。カナダで亡くなった若い歌手の事例だけ。基本的に人間を避ける動物なので、10匹以上に取り囲まれるというのは記録の上でも相当に外れた話になる。

12. 謎の名無しさん(>>11への返信)
しかもその一件には、その公園で本来の獲物が極端に減っていて、コヨーテがヘラジカを狙うようになっていたという事情があったと聞いた。大きな獲物を狩ることに慣れた群れだった、と。どこででも起こる話ではない。

13. 謎の名無しさん
ペンシルベニアの山でハイカーを取り囲む人食いコヨーテの群れ、なんてものは存在しない。この州で森を歩いていて警戒すべきなのは、動物よりも足元と天候と、道を見失うことのほうだ。

14. 謎の名無しさん
自分が木の上でコヨーテに囲まれていたとして、恋人に銃を持ってこいと頼むだろうか。まず警察に電話すると思う。少なくとも「誰か呼んでくれ」とは言うはずだ。この一点がずっと引っかかっている。

15. 謎の名無しさん(>>14への返信)
それは警察との距離感による。薬物を常用していたり、そのとき手元に薬を持っていたり、過去に警察と揉めた経験があったりすれば、警察は助けてくれる相手として頭に浮かばない。追い詰められていても、通報という手段がそもそも選択肢に入っていない人はいる。

16. 謎の名無しさん
もし幻覚でないとしたら、コヨーテではなく狼だった可能性はどうだろう。狼なら10頭を超える群れで動くし、狩りのあいだは吠えずに静かに獲物を追う。彼が伝えた数とも、電話越しに音がしなかったという話とも噛み合う。

17. 謎の名無しさん(>>16への返信)
残念だがペンシルベニアに野生の狼はいない。とっくの昔に姿を消している。ましてタマクアの周辺に群れがいるということはありえない。

18. 謎の名無しさん
大学で法医学の授業を取ったとき、覚醒剤を大量に使った人は狭いところに潜り込む傾向があると習った。教材だった骨格標本は、キイチゴの茂みに30メートルほど分け入った先で息絶えた人のものだった。暗い森で何かの目が光るのを見て走り出し、藪の奥へ潜り込んだ——そう考えると、遺骨が長く見つからなかったことの説明にはなる。

19. 謎の名無しさん
「コヨーテ」を密入国の斡旋業者を指す隠語と読んでいる人がいるようだけれど、国境から遠く離れたペンシルベニアでその意味に取るのは無理があると思う。木の上にいると言っているのだから、素直に動物の話だろう。

20. 謎の名無しさん
医学の症例報告に、コヨーテの群れに囲まれた薬物使用中の16歳のバイク乗り、という論文が実在する。1989年のものだ。タイトルがあまりに長くて、そのままバンド名にしたいくらいだった。裏を返せば、似た状況は過去にも記録されているということでもある。

21. 謎の名無しさん(>>20への返信)
救急の仕事をしていたころ、「巨大なモルモットみたいな生き物の群れに追われている」と訴える薬物使用者を担当したことがある。カピバラだった。教訓としては、大量に薬を使うつもりなら同時に自然ドキュメンタリーを見てはいけない、ということになる。

22. 謎の名無しさん(>>21への返信)
本人にとってはその瞬間は本気で怖かったはずだから、笑うのは少し気が引ける。ただ、地球上でもっとも穏やかな部類の生き物に追い回されていると本気で思い込んだという話は、やはりどこか可笑しい。しかもその一件が薬をやめるきっかけになったと本人が言っているなら、なおさら救いがある。

23. 謎の名無しさん
ネブラスカで、薬を使った状態で凍死したカップルの話を思い出した。あの二人もありとあらゆるものが見えていたという。行き着くところまで行くと、外の世界と頭の中の区別が本当につかなくなるらしい。

24. 謎の名無しさん
ただし幻覚それ自体が人を殺すわけではない。木から落ちたのかもしれないし、売人と揉めた末に殺されたのかもしれない。本当に誰かに狙われていたのなら、それは被害妄想ではなく事実だったということになる。

25. 謎の名無しさん(>>24への返信)
その日の天気を調べたら、最高で摂氏28度、最低でも17度くらいだった。少なくとも寒さで動けなくなったという線は消える。事故か、薬そのものによるものか、あるいは第三者か。残るのはその三つだ。

26. 謎の名無しさん
事故なのか、殺されたのか、薬によるものなのか。残りの遺骨が見つかれば、少なくとも候補は絞り込めるはずだ。10年かかってようやくここまで来たのだから、あと一歩を期待したい。

27. 謎の名無しさん
家族側の発表にも、何が起きたのかについての説明は書かれていない。まだ誰にも分かっていないのだと思う。捜索はこれからも続くようなので、今の段階で結論を出すのは早すぎる。

28. 謎の名無しさん
報道を読むかぎり、遺骨が見つかったのはウォーカー・タウンシップらしい。彼が最後に自分の居場所として口にしていたのは高校の裏手のあたりだったはずで、そこからはかなりの距離がある。この距離が何を意味するのかが引っかかっている。

29. 謎の名無しさん(>>28への返信)
錯乱した状態の人が、自分でも驚くような距離を歩いてしまうことはある。方向感覚を失ったまま何時間も動き続ければ、山をひとつ越えていても不思議ではない。ただ、それだとバッグが二か所に分かれて残っていたことの説明が今度は難しくなる。

30. 謎の名無しさん
どうしてもブランドン・スワンソンの件を思い出す。夜中に電話をかけてきて、話している途中で連絡が切れて、それきり見つかっていない。名前のよく似たブランドン・ローソンのほうは2022年に遺体が見つかり、2024年に身元も確認された。混同されがちな二件だが、こちらの事件も、せめて何が起きたのかが分かるところまでは行ってほしい。

未解決の謎

10年を経てジェシー・リー・ファーバーが見つかったことは、この事件にとって大きな前進である。だが分かったのは「どこにいたか」であって、「何が起きたか」ではない。当局は死因についても事件性についても、現時点で何かを公表してはいない。回収された骨は一部にとどまり、捜索は今も続いている。

もっとも説明のつかない点は、やはり二つのバッグだろう。免許証の入ったバッグが小学校の裏手の山で見つかったのが失踪した年で、衣類と充電器の入ったもうひとつが木の上から出てきたのは、その翌年。二つは同じ場所ではない。持ち主が自分で置いたのなら、なぜ離れた地点に、なぜ木の上に置いたのか。誰かが動かしたのなら、その理由は何なのか。どちらの筋書きも、まだ形になっていない。

スレッドでは、報じられた遺骨の発見地点が、彼が電話で語ったとされる場所からかなり離れているのではないかという指摘も出た。錯乱した人が長い距離を歩いてしまうのは珍しくないという反論もあり、この点も決着していない。10年前に人手をかけて捜した範囲と、実際に彼がたどり着いていた場所とが、そもそも重なっていなかった可能性がある。

そして最後に残るのは、あの通話そのものである。木の上にいると言い、動物の数を数えて伝え、警察ではなく恋人に銃を頼んだ。その声を聞いた人は、彼が現実には存在しない何かに追われていたのだと考えている。だが電話が切れたあとに彼の身に起きたことが、頭の中にあったものによるのか、森の中にいた何かによるのか、それとも山道で出会った誰かによるのか——それを言い当てられるだけの材料は、10年経った今もまだ揃っていない。

出典:r/UnresolvedMysteries 元スレTimes News(遺骨発見の報道)

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