1997年11月、イギリス南西部のデヴォン州。明るく人気者だった14歳の少女ケイト・ブッシェルは、留守にする近所の家から預かった犬を散歩させに、いつもの小道へと出かけた。だが彼女が自宅へ戻ることは、二度となかった。家からわずか300ヤード(約270メートル)の畑で、変わり果てた姿で発見されたのだ。犯人の動機も、人物像も、いまだに何ひとつ確定していない。事件から四半世紀以上が過ぎてなお解けないこのコールドケース※は、イギリスを代表する未解決殺人のひとつとして、今も地域の人々の胸に重くのしかかっている。
※ コールドケース:捜査が行き詰まり、長期間未解決のまま残された事件のこと。近年はDNA鑑定技術の進歩によって、何十年も前の事件が再捜査され、解決に至る例も増えている。
事件の概要
🗓️ 発生日:1997年11月15日(土)
🌫️ 場所:イギリス・デヴォン州エクセター近郊、エクスウィック地区
👤 被害者:ケイト・ブッシェル(当時14歳)
🔍 状況:夕方、近所の犬を散歩させに出たまま行方不明に。自宅から約300ヤードの畑で遺体で発見される
🕯️ 現状:犯人は未検挙。発生から四半世紀以上を経た今も未解決
事件が起きたのは、何の変哲もない土曜日だった。ケイトはその朝、母親のスザンヌとエクセターの街へ買い物に出かけ、ヴァージン・メガストアでCDを、そして兄ティムの誕生日プレゼントに漫画本を買っている。それを兄に渡す機会は、ついに訪れなかった。午後は自宅のあるバラター・ドライブで過ごし、4時半ごろ、留守にする近所の家から預かったジャック・ラッセル・テリアのジェマを散歩させに出かけた。
彼女が生きて目撃された最後は午後4時50分。その後、5時半ごろにエクスウィック・レーンの門から小型犬が一頭、放されたように走り出てくるのが目撃されている——のちにケイトの遺体が見つかる畑のふもとだった。捜索の末、午後7時半ごろ、自宅からわずか300ヤードほどの畑で、父親が娘を見つけることになる。
判明している事実
最後に目撃された午後4時50分
ケイトが生きている姿を最後に見られたのは、エクスウィック・レーンのホワイトストーン・クロス側にあるレイバイ※付近だった。午後4時50分ごろ、彼女と犬のジェマを見かけた人がいる。同じころ、近くの厩舎脇のレイバイには小型の青い車が停まり、そばに男が一人立っていたという。
※ レイバイ:道路脇に設けられた、車を一時的に停めるための舗装された待避スペース。
見つかっていない凶器
致命傷を負わせた刃物は、刃渡りが少なくとも10センチほどある台所包丁のようなものだったとされる。だが凶器そのものは今日まで発見されていない。犯人はそれを現場から持ち去り、そのまま姿を消した。
青い車の男と「走り去った男」
厩舎脇に停まった青い車のそばにいた男は、白人で30〜40歳、中肉中背、ひげはなく、襟元まである黒っぽい髪と目撃されている。さらに午後5時から7時の間、近くのファーム・ヒルからコーンフラワー・ヒルにかけて全速力で走る別の男を、複数の住民が目撃した。この男はいまも特定されていない。
現場に残されたオレンジ色の繊維
現場では、誰のものとも分からないオレンジ色の繊維が見つかっている。鮮やかなオレンジの衣類は珍しく、作業用のつなぎや高視認性ベストではないかと推測されているが、特定には至っていない。青い車と二人の男とともに、捜査の重要な手がかりとされ続けている。
特定されない動機
当局は事件の明確な動機を最後まで特定できなかった。金品が奪われた形跡はなく、DNAなどの法医学的証拠からも性的暴行は確認されていない。物取りでも怨恨でもないとすれば、なぜ犯人が彼女を狙ったのか——その核心は今も空白のまま残されている。
主な仮説
仮説1:土地勘のある地元の人物による犯行
捜査陣がもっとも有力視してきた説。事件現場は、ナダーウォーターやホワイトストーンへの近道として、地元の犬の散歩客くらいしか使わない人目につきにくい場所だった。担当のバック警部補は「この場所は地域の外の人間にはまず分からない。犯人は地元に住んでいたか、地元に友人や家族がいた人物だろう」と述べている。
仮説2:通り魔的な無差別の犯行
青い車のそばにいた男、あるいは全速力で走り去った男のように、たまたま一人でいた少女を狙った行きずりの犯行とする説。明確な動機が見当たらないこと自体が、むしろ無差別性を示すという見方もある。ただし、人目につきにくい場所を選んだ手際の良さは、衝動的な犯行像とはどうにも噛み合わない。
仮説3:イギリス西部の連続事件との関連
1987年にウェストン・スーパー・メアで犬の散歩中に殺害されたヘレン・フリート、1998年にコーンウォールで同じく犬を連れて歩いていて襲われたリン・ブライアント——いずれも一人で犬を散歩させていた女性が刃物で襲われ、犬は無傷だった。退職した刑事や事件愛好家はケイトの事件との関連を指摘するが、警察は一度も繋がりを認めていない。被害者の年齢が14歳から高齢者までばらつく点が、同一犯説の弱点とされる。
仮説4:別の標的を待ち伏せていた可能性
犯人は本来、別の誰かをその場所で待ち伏せていたのではないか、という説。通りかかったケイトがたまたま犠牲になった、あるいは年齢を取り違えて近づいた末の犯行とする見方だ。動機が彼女個人に結びつかないため、なぜ手がかりが残らなかったのかを説明しやすい一方、あくまで推測の域を出ない。
海外の反応
1. 謎の名無しさん
犯人がいまもこの地域のどこかで、何食わぬ顔で暮らしているかもしれない——そう考えるだけで背筋が寒くなる。
2. 謎の名無しさん(>>1への返信)
本当にそう。同じ店で買い物をして、同じ通学路を歩く誰かが、あの日のことを知っている。その可能性を考えると、しばらく頭から離れなかった。
3. 謎の名無しさん
まだ14歳だったんだよね。あの朝はお母さんと買い物に行って、お兄さんの誕生日プレゼントの漫画まで買っていた。それを渡すこともできなかったなんて、胸が詰まる。
4. 謎の名無しさん
自宅からたった300ヤード(約270メートル)の畑で見つかったというのが、いちばん引っかかる。あと少しで家に着くところだったんだ。
5. 謎の名無しさん(>>4への返信)
300ヤードって、もう目と鼻の先だよ。安全な家がほとんど見えていたであろう距離で襲われたと思うと、本当にやりきれない。
6. 謎の名無しさん
オレンジ色の繊維というのが珍しい。オレンジの服なんて、そうそう着るものじゃない。作業用のつなぎだろうか。近くに食肉処理場でもあったのか。警察は通りすがりの他所者ではなく、地元の人間だと見ているらしい。
7. 謎の名無しさん(>>6への返信)
あるいは高視認性ベスト(ハイヴィズ)かもしれない。鉄道作業員とか。現場は駅からそう遠くないはずだ。
8. 謎の名無しさん
容疑者像が三つもあるのが厄介だ——青い車のそばにいた男、走り去った男、そして浮浪者風の人物。雑音ばかりで確かな情報が少ない。個人的には、青い車の男か走り去った男のほうが、まだ筋が通る気がする。
9. 謎の名無しさん(>>8への返信)
走り去った男は複数の目撃証言があるのに、結局たどり着けなかったんだよね。そこがいちばんもどかしい。
10. 謎の名無しさん
あの場所は「辺鄙なのに辺鄙じゃない」という妙な立地なんだ。住宅地や小学校に近いのに、人目につきにくい。犯人は暗さと悪天候、そして地理の不便さを利用した。衝動的な犯行とはとても思えない。
11. 謎の名無しさん(>>10への返信)
いや、そこまで人里離れた場所じゃないと思う。地元の人は普段からあの小道で犬を散歩させていたし、丘の上の畑からは盲導犬の訓練施設が見えて、散歩客に人気のスポットだったらしい。
12. 謎の名無しさん
凶器のナイフは今も見つかっていない。刃渡り10センチほどの台所包丁のようなものだったという。犯人はそれを持ち去って、そのまま消えた。これだけ手がかりが残らないものか。
13. 謎の名無しさん
1997年当時、あの辺りには防犯カメラが一台もなかった。それがこの事件を解きにくくしている大きな理由のひとつだと思う。
14. 謎の名無しさん
警察は犯人を地元と繋がりのある人物と見ている。あの場所は他所者には知られていない土地だからだ。範囲はかなり絞れるはずなのに、四半世紀が過ぎても何も出てこない。
15. 謎の名無しさん(>>14への返信)
もし本当に地元の人間なら、もう亡くなっているか、よそへ引っ越しているかもしれない。今となっては、親族をたどるDNA鑑定がいちばんの望みだと思う。
16. 謎の名無しさん
個人的に一番ひっかかるのは動機だ。金品を奪われた形跡はなく、当局も性的暴行は確認できなかったとしている。物取りでも怨恨でもないなら、犯人はなぜ見ず知らずの少女を手にかけたのか。そこがどうしても腑に落ちない。
17. 謎の名無しさん
退職した刑事や事件好きの間では、リン・ブライアントやヘレン・フリートの事件と結びつける声がある。どちらもイギリス西部で、一人で犬を散歩させていた女性が刃物で襲われ、犬は無傷だった。
18. 謎の名無しさん(>>17への返信)
ただ年齢の差が気になる。ケイトは14歳、フリートさんは高齢者だった。同じ犯人が子供も大人も狙うというのは、あまり一般的ではない気がする。
19. 謎の名無しさん
当時作られた犯人の心理プロファイルは、あまりに当たり障りがなくて役に立たない代物だったらしい。プロファイリングが信用を失った典型例という気がする。
20. 謎の名無しさん
最後に目撃されたのが午後4時50分、遺体発見が午後7時半ごろ。犯人は2時間半以上の猶予を、暗さと悪天候を使って稼いだことになる。やはり計画的だったのではないか。
21. 謎の名無しさん
結びつきの鍵は年齢じゃなくて、体格なのかもしれない。ケイトも、ブライアントさんも、写真で見るとどちらも小柄で華奢だ。
22. 謎の名無しさん(>>21への返信)
数年前の時点で、ブライアントとブッシェルの両事件には、犯人のものとされる完全なDNAプロファイルがあったはず。なのに、正式に照合された形跡がないのが不思議でならない。
23. 謎の名無しさん(>>21への返信)
犬の犬種も気になる点だ。ブッシェルはジャック・ラッセル、ブライアントはラーチャーを連れていた。どちらも狩猟・ウサギ猟向きの犬種。たぶん偶然だけど、妙に引っかかる。
24. 謎の名無しさん
人は後ろ姿だけだと年齢を取り違えることがある。犯人はケイトを年上だと思い込んで近づき、間近で幼さに気づいたが、もう顔を見られていた——そんな可能性もあるのでは。
25. 謎の名無しさん
でも現場同士は、けっこう離れているんだよね。同じ地方とはいえ、コーンウォールとデヴォンはかなりの距離がある。曜日も時間帯も違う。
26. 謎の名無しさん(>>25への返信)
同感。無理に結びつけるのは飛躍しすぎだと思う。それぞれが、別々の悲劇なのかもしれない。
27. 謎の名無しさん
自分も似たような田舎道のそばで育った。地元の人だけが近道に使い、よそ者は存在すら知らないような小道。あの場所をわざわざ選んだ時点で、土地を知る人間の犯行だと思う。
28. 謎の名無しさん
犯人は本当はケイトではなく、別の誰かをそこで待ち伏せていたのではないか、という説も見かけた。標的を取り違えたか、たまたま通りかかった彼女が犠牲になったか。だとすれば、動機が見えないのも説明がつく。
29. 謎の名無しさん
最近は系図をたどるDNA鑑定で、これより古い事件もいくつも解決している。完全なDNAプロファイルが残っているなら、まだ望みはあるはずだ。
30. 謎の名無しさん
四半世紀以上が過ぎても、14歳の少女を手にかけた犯人は今も自由の身のまま。せめていつか、ケイトの家族が答えを得られる日が来てほしい。
未解決の謎
ケイト・ブッシェル殺害事件が四半世紀以上も解けないままなのには、いくつもの理由が重なっている。1997年当時、現場周辺には防犯カメラが一台もなく、凶器のナイフも見つかっていない。最有力の手がかりである青い車のそばの男と、全速力で走り去った男は、どちらも結局特定されないままだ。
捜査は地元との繋がりを持つ人物に的を絞ってきたが、犯人にたどり着くことはなかった。2014年には過去の鑑識作業に誤りがあったと指摘され、捜査が振り出しに戻ったとも報じられている。西部地方で続いた他の女性殺害事件との関連も取り沙汰されるが、いまだ何ひとつ確証は得られていない。
それでも、人目につきにくい近道をあえて選んだという事実は、犯人が土地を熟知した人物であったことを強く示している。だとすれば、その誰かはあの日、被害者のすぐ近くで暮らしていたのかもしれない——その可能性こそが、この事件をいまも人々の記憶に残し続けている。近年のDNA鑑定技術の進歩が、いつかケイトと遺族に答えをもたらすことを、ただ願うばかりだ。
