2005年10月、アメリカ・マサチューセッツ州ミドルトン。26歳の青年ジョン・リマは、彼女の家を午前1時半に出たのを最後に消息を絶った。それから約30分後、母マリアは自宅の私道で車のドアが閉まる音を聞き、窓から外を見て息子の車が停まっているのを確認した。「帰ってきたのだ」と安心して再び眠りについた母。だが本人が家に入る姿は見ていない。そして翌朝7時、両親が見たのは——きれいに整えられたベッドと、車のキー・財布・タバコだけが残された無人の部屋だった。車は帰ってきたのに、ジョンだけが消えた。
※ 私道(しどう、ドライブウェイ):アメリカの一戸建てで、公道から自宅の車庫や玄関先までを結ぶ私有の通路。郊外の家では数台分の駐車スペースを兼ねることが多い。
事件の概要
🗓️ 発生日:2005年10月29日 午前1時半頃(最後の目撃)
🌫️ 場所:マサチューセッツ州ミドルトン(自宅)/チェルシー(彼女宅)
👤 被害者:ジョン・リマ(当時26歳)。両親宅の地下アパートに居住
🔍 状況:彼女宅を出た後、車は私道に戻ったが本人は帰宅した形跡なく失踪。部屋に車のキー・財布・タバコが残る
🕯️ 発見/結末:発見に至らず。家族が懸賞金3万ドルを提示するも、ほぼ進展なし(現状不明)
ジョンは当時、薬物依存に苦しんでいたとされる。それでも母マリアをはじめ家族は彼を支えようとしており、関係が悪かったわけではない。失踪前日の昼、母は仕事へ出る前に在宅のジョンを見ている。その夜に帰宅していなくても母が心配しなかったのは、ジョンが「セイラムのハロウィンの催しに行く」と話していたからだった。失踪の二日前、10月27日には、彼の出廷予定が延期になっていたという。
舞台となったミドルトンはボストン北郊の静かな町。一方、最後に目撃されたチェルシーはボストンに隣接する治安の評判が芳しくない地区で、車で40分ほどの距離がある。ジョンはその夜、自分の車で彼女宅からミドルトンの自宅まで戻ったとみられている。
判明している事実
車は帰ってきたが本人は入っていない
午前2時頃、母マリアは車のドアが閉まる音で目を覚まし、窓越しに私道の車を確認した。しかしジョンが家に入る姿は見ていない。翌朝7時、両親が地下の部屋を覗くと、ベッドは整えられたまま、車のキー・財布・タバコが置かれていた。車だけが戻り、持ち主が消えていた。
私道での不自然な駐車と内側から外された網戸
両親によれば、車はいつもと違う妙な角度で私道に停まっていた。さらにジョンの部屋の窓の網戸が、内側から押し出された状態になっていたという。これが「ジョン自身が窓から外へ出た」のか「別の誰かが出入りした」のかは判断できていない。
通報は二日後、しかも庭を片付けてしまった
家族は当初「ハロウィンの週末で友人と一緒なのだろう」と考え、行方不明の届け出を二日間出さなかった。さらに、開いていたジョンの部屋の窓に面した裏庭を熊手で掃除してしまい、結果的に警察が調べるべき痕跡を壊した可能性がある。
免許証だけが彼女の家に残されていた
財布は部屋に残っていたにもかかわらず、ジョンの運転免許証は彼女の家で見つかっていたとされる。財布から抜き取られた免許証だけがなぜ別の場所にあったのか、その経緯は分かっていない。
捜索は近隣の森と水域に及んだが空振り
自宅の裏手には広大な森が広がり、近くには池もある。地元警察は森と周辺の水域を捜索したと公開動画で語っているが、ジョンも遺留品も発見されていない。家族は今も事件性を疑いつつ、3万ドルの懸賞金を出して情報を求め続けている。
主な仮説
仮説1:酩酊状態で外へさまよい出て、池か森で命を落とした
もっとも穏当で、それゆえに最も陰鬱なシナリオ。午前2時に車のドアを荒々しく閉めて帰宅した若者が、酒や薬物で正常な判断を欠いていたとしてもおかしくない。そのまま理由もなく外へ出て、自宅の目と鼻の先にある池に落ちたか、裏手の森で道に迷い低体温症に陥った——という見立てだ。広い森や池では、捜索隊でも遺体を見落とすことは珍しくない。
仮説2:車を置きに帰っただけで、本人は別の場所へ向かった
誰かに自宅まで車で追走してもらい、自分の車を私道に置いてから、その人物の車に乗り換えて別の目的地へ向かった——という説。妙な角度の駐車も「急いで雑に停めた」と説明できる。ただしこの説には、車のキー・財布が部屋に戻っていた事実をどう説明するかという難点が残る。
仮説3:彼女の家で何かが起き、車と私物だけが偽装的に戻された
もっとも不穏な事件性の仮説。何者かがジョンの車を自宅に運び、私物を部屋に置き、センサーライトを避けるために窓から出た——とすれば、車は戻ったのに本人がいない状況に説明がつく。位置情報を消すために携帯電話が壊されたという話や、免許証が彼女宅に残っていた点も、この説では「持ち物を漁った痕跡」と解釈される。あくまで状況からの推測の域を出ない。
仮説4:自ら姿を消した、あるいは自死を選んだ
依存症と闘い、出廷も控えていた当時の状況を踏まえれば、本人が意図的に行方をくらました、あるいは自ら命を絶った可能性も否定できない。ベッドが整えられ、私物が丁寧に置かれていた点を「身辺整理」と読む見方もある。一方で、確たる遺書や目撃情報はなく、これも決め手を欠く。
海外の反応
1. 謎の名無しさん
一番引っかかるのは、午前2時の車と午前7時に見つかった車が「同じ角度」で停まっていたのかどうか。もし夜のうちに車が動かされていたなら、それこそが事件の核心になるはずなんだ。
2. 謎の名無しさん(>>1への返信)
鋭い指摘だけど、残念ながら確かめようがないと思う。母親は車のドアの音で目が覚めて、窓からちらっと見ただけ。駐車の角度なんて気に留めてなかっただろうし、記憶も曖昧だろう。
3. 謎の名無しさん(>>2への返信)
だよね。自分の見立ては、本人が自分の車で帰ってきて、そのまま徒歩で家を出ていった、というもの。その後に何があったかは永遠に分からない。彼女が「別れる前の様子に異変はなかったか」を語ってくれれば一番なんだが。
4. 謎の名無しさん
妙な角度で停まってたと聞いて、自分は単純に「帰ってきたとき酔っていた/キマっていた」んだと思った。午前2時に車のドアを荒々しく閉める若者なんて、むしろシラフのほうが珍しいくらいだ。
5. 謎の名無しさん(>>4への返信)
それが正解だとしたら、一番「地味な」結末になる。理由もなく外へ出て、どこかで動けなくなって、そのまま亡くなる。ドラマもなにもない、ただの不運。でも一番ありそうなんだよな。
6. 謎の名無しさん
個人的に引っかかるのは、タバコを部屋に置いていったこと。よほど酩酊していて忘れたのか、それとも「すぐ戻るつもり」だった証拠なのか。喫煙者があれを置いていくのは、けっこう不自然に感じる。
7. 謎の名無しさん(>>6への返信)
置いていったタバコは解釈が難しいんだよな。箱から数本抜いて持って出たのかもしれないし、車に別の箱があったのかもしれない。これだけで何かを断定するのは危うい気がする。
8. 謎の名無しさん
チャーリープロジェクト※には「玄関から出るとセンサーライトが点くから、親を起こさないように窓から出たのでは」と両親が考えている、と書かれている。でも車のドアをバタンと閉めておいて、今さら起こさないよう気を遣う?順番がちぐはぐで腑に落ちない。
※ チャーリープロジェクト:米国の行方不明者情報をまとめる非営利のデータベースサイト。事件ごとに既知の事実や家族のコメントを掲載している。
9. 謎の名無しさん(>>8への返信)
帰宅した時点では酔って何も考えてなかったけど、出ていくときは少し冷静になっていた、という可能性はあるかも。人の行動って、必ずしも筋が通るとは限らないし。
10. 謎の名無しさん
むしろ自然な推測は、彼女の家で何かが起きて、犯人が車と持ち物を自宅に戻して隠蔽した、というほうじゃないか。窓から出たのはセンサーライトを避けるため。携帯を壊したのは位置情報を消すため。全部つじつまが合う。
11. 謎の名無しさん
偶然かもしれないけど、読んでいて見落としていた点がある。財布は部屋に残っていたのに、運転免許証だけが彼女の家で見つかっていたらしい。財布から抜けた免許証が、なぜ別の場所に。
12. 謎の名無しさん(>>11への返信)
そこは深読みしすぎない方がいい気もする。それより、彼女の証言がどこにも出てこないのが気になる。1時半に生きていたジョンを確認できた唯一の人物は彼女なんだから。
13. 謎の名無しさん
本人は依存症の真っ只中だった。つまり周囲の人間も同じ世界にいた可能性が高い。免許証の件も、みんなで酔って身分証を使った何かの遊びをしていて、置き忘れただけ、ということもあり得る。
14. 謎の名無しさん
あるいは、免許証を粉末を刻むのに使っていただけかもしれない。あの界隈ではよくある話だし、それで身分証をどこかに置き忘れるのは珍しくない。
15. 謎の名無しさん
自宅のすぐそばに池があるんだよね。そこに入ってしまったんじゃないかと思う。携帯が壊れていたという話も、水に浸かったと考えれば自然に説明がつく。
16. 謎の名無しさん(>>15への返信)
裏手には何エーカーもの森も広がってる。ふらっと迷い込んで低体温症で亡くなった可能性もある。警察は森も水域も捜したらしいけど、森で遺体を見落とすのは本当に簡単なんだ。
17. 謎の名無しさん
仮に車を置きに帰っただけで、別の車で出かけたとしても、それなら車のキーと財布が地下の部屋にちゃんと戻っていた説明がつかない。それらは普段、在宅時に置いておく場所だったわけで。
18. 謎の名無しさん
家族が二日も通報しなかったうえに、窓の外の裏庭を熊手で片付けてしまったのが本当に痛い。悪気がないのは分かるけど、初動で消えた手がかりは取り返しがつかない。
19. 謎の名無しさん(>>18への返信)
窓やキー、網戸がちゃんと指紋やDNAを採取されていればいいんだけど。2005年なら技術的には十分可能だったはず。捜査資料が公開されていないから何とも言えないのがもどかしい。
20. 謎の名無しさん
2000年代半ばって、ちょうど誰もがスマホを持つ少し前。あと数年ずれていれば、位置情報や防犯カメラであっさり追えたはずの事件が、この時代にはまだ多い。惜しいタイミングだ。
21. 謎の名無しさん
近隣で見つかった身元不明遺体と照合してみる価値はあると思う。失踪地からそう遠くない海沿いの町で、過去に部分的な白骨遺体が見つかった例もあると聞く。あくまで可能性の一つだけど、距離の近さは気になる。
22. 謎の名無しさん(>>21への返信)
ジョンは混血だったはず。白骨遺体の人種推定だけで候補から外すのは早計だと思う。骨からの人種判定は統計的な傾向にすぎないし、後からDNAで覆ることも多い。
23. 謎の名無しさん(>>22への返信)
同感。古い身元不明遺体が、近年のDNA鑑定で人種どころか性別まで訂正された例もある。数センチの身長差や人種推定だけで安易に除外しないでほしい。
24. 謎の名無しさん
携帯が「失踪直後に壊された」という話が本当なら、それが一番不気味だ。もし何者かに殺されたなら、車に乗り込んだ直後に冷静に携帯を破壊する余裕があるだろうか。むしろ自宅近くの池に入った、と考える方がまだ筋が通る気がする。
25. 謎の名無しさん
当時の彼の精神状態が分からないのがつらい。断酒・断薬を頑張っていて、それに耐えきれなかったとしたら、自死という可能性も視野に入る。整えられたベッドが、どうしてもそれを連想させてしまう。
26. 謎の名無しさん(>>25への返信)
手元の情報だけでは、事故なのか自死なのか本当に区別がつかない。だからこそ、別れる直前のジョンの様子を彼女がどう語ったのかが知りたい。警察はとっくに聴取しているはずだけど。
27. 謎の名無しさん
この手の古い事件は、カメラか携帯が一台あれば一発で解けていたものばかり。2005年でもギリギリ間に合わなかった。技術の進歩が、ほんの少しだけ遅かった。
28. 謎の名無しさん
マサチューセッツの一部の事件では、警察の対応に疑問符がつくケースが正直ある。だから家族が「ちゃんと捜してもらえたのか」と感じてしまうのも分からなくはない。
29. 謎の名無しさん(>>28への返信)
それでも、ここまで物証が乏しいと、警察が有能でも難しかったと思う。報告は二日遅れ、現場は片付けられ、唯一の目撃者の証言も表に出ていない。誰が担当しても袋小路だっただろう。
30. 謎の名無しさん
結局、確かなのは「車だけが私道に戻り、持ち主は二度と現れなかった」という一点だけ。20年が過ぎても、母マリアが聞いたあのドアの音が、誰の手で閉められたのかは分からないままだ。
未解決の謎
この事件の薄気味悪さは、すべて「車は帰ってきたのに、本人は家に入らなかった」という一点に凝縮されている。母マリアは確かに車のドアの音を聞き、私道に停まった息子の車を見た。だが、ジョン本人がその扉をくぐる姿は誰も見ていない。あの音を立てたのは本当にジョン自身だったのか、それとも別の誰かだったのか。たった数メートル先の私道で起きたはずの出来事が、20年経った今も闇に沈んでいる。
もっとも蓋然性が高いのは、酩酊状態で帰宅したジョンが理由もなく外へさまよい出て、近くの池か森で命を落とした——という、ドラマも犯人もいない不運の連鎖だろう。だが、内側から押し出された網戸、財布から抜けて彼女宅に残った免許証、壊されたという携帯電話、そして二日遅れの通報と熊手で均された裏庭。いくつかのピースは、その平凡な結末にどうしてもきれいに収まらない。
家族は今も事件性を疑いつつ、3万ドルの懸賞金を掲げて情報を待ち続けている。私道に残されたのは一台の車と、その音の記憶だけ。ジョン・リマが今どこにいるのか、その答えはいまだ誰も知らない。

