2022年12月20日の夜、米オクラホマシティ北西部の集合住宅で、36歳の男が元交際相手の部屋の窓へ火炎瓶を次々に投げ込んだ。同じ部屋が狙われたのは、この日2度目だった。最後の1本を投げたところで銃声が響き、男は撃たれたまま車で逃げ、数ブロック先で道路を外れて止まった。病院で死亡が確認された。
警察は、撃ったのは元交際相手とは関係のない、同じ集合住宅にいた誰かだとみている。自宅を守ろうとした可能性もあると伝えられた。それでも撃った人物は名乗り出ず、警察が情報提供を呼びかけてから、目立った続報は出ていない。正当防衛に見える事件で、なぜ撃った人は姿を見せないのか。
事件の概要
🗓️ 発生日:2022年12月20日(火曜)早朝と夜の2回
🌫️ 場所:オクラホマ州オクラホマシティ北西部、フォレスト・クリーク・アパートメンツ(NW122丁目7201番地)
👤 死亡した男性:ディオン・プリンス(36歳)
🔍 状況:元交際相手の部屋に早朝と夜の2度、火炎瓶が投げ込まれた。夜、最後の1本を投げた直後に何者かに撃たれ、車で逃げる途中に力尽きた
🕯️ 結末:撃った人物は特定されておらず、名乗り出てもいない。2022年末以降、警察の新しい発表は報道では確認できない
地元紙オクラホマシティ・フリープレスによると、消防がこの部屋に出動したのは同じ日に2回。1回目は午前5時42分、2回目は午後10時15分で、どちらも窓から火のついた発火物※が投げ込まれていた。消防の広報担当、スコット・ダグラス隊長は、夜の出動は「同じ日の2回目」で、どちらも誰かが火炎瓶を投げ込んだものだと説明している。夜の出動とほぼ同時に、警察には「発砲があった」という通報が入った。
※ 発火物:報道や消防の発表では「incendiary device」。瓶にガソリンなどを入れて布で栓をした手製の火炎瓶(英語ではモロトフ・カクテルと呼ぶ)を指している。
警察が集合住宅に駆けつけた数分後、近くのロックウェル通りとNW115丁目の交差点付近で、道路を外れた車が見つかった。運転席の男性は撃たれており、病院へ運ばれたが死亡した。12月27日、警察は男性の身元をディオン・プリンスと発表した。この年のオクラホマシティで72件目の殺人事件※として数えられている。
※ 殺人事件:米国の統計でいう「homicide」は、人が人を死なせた事件をまとめて数える言葉で、正当防衛の可能性があるものも含まれる。日本語の「殺人罪」とは同じではない。
判明している事実
同じ部屋が1日に2度狙われた
早朝5時42分の1回目は、窓から火炎瓶が投げ込まれたあと、投げた人物は消防や警察が着く前に姿を消していた。夜にもう一度、同じ部屋の窓が狙われた。スレの投稿者によれば、プリンスは夜には火炎瓶を何本も用意して戻ってきており、その様子は同じ集合住宅の別の部屋の住人たちにも見られていた。
撃たれたのは最後の1本を投げたとき
フリープレスは、警察の見立てとして「最後の火炎瓶を部屋に投げ込んでいるところを、集合住宅にいた誰かに撃たれた」と伝えている。撃たれたあとも意識はあり、自分の車で走り去ったが、約8ブロック先で車が道路を外れ、そこで意識を失った。
警察は「家庭内のもめごと」とみた
地元テレビ局ニュース9の報道では、捜査当局は火炎瓶を投げた動機を、かつての交際相手との家庭内のもめごとによるものとみていた。撃った人物については「自宅を守ろうとしていた可能性がある」とされた。スレの投稿者は、プリンスに加重暴行や、首を絞める家庭内暴力の容疑での逮捕歴があったと書いている。
撃った人物は誰なのか分かっていない
警察は、撃ったのは元交際相手とのもめごとに関わっていない第三者だとみている。身元発表の時点で、ほかの関係者は特定されていなかった。警察と消防はどちらも捜査が続いているとし、殺人事件の情報提供ラインへの連絡を呼びかけた。投稿者によれば、2022年の終わりを最後に、この事件の続報は出ていない。
主な仮説
仮説1:別の部屋の住人が窓から撃った
スレの投稿者が最初に挙げた見方。火炎瓶は燃え広がれば、同じ建物のほかの部屋も危ない。物音に気づいた住人が自分の部屋から撃ち、そのまま黙っていたのなら、薬莢※を片づけるのも簡単で、大勢の住人の中から1人を絞り込むのは難しい。見ていた住人がいても、撃った人をかばって口を閉ざしたのかもしれない。警察の「自宅を守ろうとした可能性」という言い方とも合う。
※ 薬莢:銃弾を撃ったあとに銃から出る金属の筒。残っていれば銃の種類や、撃った場所の手がかりになる。
仮説2:元交際相手の家族や友人が、朝の放火のあと守りに来ていた
投稿者が挙げたもう1つの見方。早朝の1回目のあと、元交際相手が身内や友人、今の恋人などを呼び、その人が夜に戻ってきたプリンスを撃って、警察が来る前に立ち去ったという筋書き。待ち構えていたと見られれば、正当防衛の主張がややこしくなると考えて、名乗り出なかったという読みだ。ただ、警察は撃った人物を「もめごととは無関係の第三者」とみており、この説を裏づける発表はない。
仮説3:銃を持ってはいけない立場の人だった
撃ったこと自体は正当防衛でも、重罪の前科があって銃を持つことが禁じられていたり、調べられると困る別の事情(違法薬物など)を抱えていたりすれば、名乗り出れば自分が捕まる。投稿者によれば、近くのタルサでは、正当防衛と判断されて殺人では起訴されなかったものの、前科があって銃を持てない立場だったため、銃の所持で重罪に問われた例がある。コメント欄でも、この説を「いちばんありそう」と見る声が多かった。
仮説4:単に警察と関わりたくなかった
法を犯していなくても、正当防衛が認められる保証はない。弁護士を雇えばお金もかかり、事件の当事者として名前が出れば、相手の身内から仕返しされるおそれもある。オクラホマ州には、身に危険が迫ったときに退かずに反撃してよいと定めた「スタンド・ユア・グラウンド法」※があるが、それでも自分から警察に出向く理由がない、と考える人は多いという見方だ。
※ スタンド・ユア・グラウンド法:その場から逃げる義務を負わずに、命や重大なけがを防ぐために反撃してよいとする州法。他人を守るための反撃も対象になりうる。ただし、本人がそのとき違法な行為をしていた場合は守られないとする判例もあり、どこまで認められるかは事件ごとに判断される。
海外の反応
1. 謎の名無しさん
これ、ケン・マッケルロイ※の件と同じ匂いがする。正直、このまま謎で終わってもいいかなと思ってしまう。
※ ケン・マッケルロイ:1981年、米ミズーリ州の小さな町スキッドモアで、住民を長年脅していた男が白昼の大通りで射殺された事件。数十人がその場にいたとされるが、誰も撃った人物を証言せず、起訴された人はいない。
2. 謎の名無しさん(>>1への返信)
俺も最初にそれを思い出した。自警団みたいな話はたいてい悲惨な結末になるけど、ごくたまにマッケルロイみたいなケースが出てくるんだよな。
3. 謎の名無しさん
マッケルロイの件を持ち出すのは分かるけど、あれは町ぐるみで口を閉ざした話でもある。今回は撃った人の事情が何ひとつ分かってないのに、美談みたいに語るのはちょっと怖い。
4. 謎の名無しさん
これは本当に興味深い。投稿者の挙げた理由はどれもありそうだけど、ほかにもいくらでも考えられる。相手の身内からの仕返しが怖い、銃とは関係ない件で警察に目をつけられたくない、注目されたくない。オクラホマの田舎の近くに住んでたことがあるけど、「銃を持った善人」に憧れてる連中なら、正体を明かさずに去っていく名無しのカウボーイなんて、むしろ本望だろうね。今ごろオクラホマのあちこちのバーで10人くらいが「撃ったのは俺だ」って自慢してて、そのうち9人は嘘なんだと思う。
5. 謎の名無しさん(>>4への返信)
こういう事件だと、警察がまだ捜査してるのがむしろ腹立たしい。正当防衛で罪は無いと判断したなら、なんで罪の無い人をまだ探してるんだ?
6. 謎の名無しさん(>>5への返信)
解決してないものは閉じられないってだけでしょ。2022年から何の動きもないんだから、本気で捜査してるとは思えない。誰かの棚か引き出しに入ったままの未解決ファイルってだけだよ。
7. 謎の名無しさん(>>5への返信)
正当防衛かどうかを最後に決めるのは警察じゃなくて検察や裁判所だよ。撃ったときにもう逃げかけてたのか、どこから何発撃ったのかで話は変わる。撃った人に話を聞かないことには、そもそも正当防衛だったと言い切れないんだと思う。
8. 謎の名無しさん
「いいえ、お巡りさん。私は何も見てません」
集合住宅の住人全員がこう答えてる光景しか浮かばない。
9. 謎の名無しさん
言わせてもらえば、問題は勝手に片づいたってことだ。二度目の火炎瓶で部屋の中に人がいたら、と思うとね。
10. 謎の名無しさん
投稿者の「撃った人は前科があって銃を持てない立場だったか、薬物みたいな別件の証拠を抱えてたのかもしれない」ってところ、自分はこれがいちばんありそうだと思う。この男を撃ったこと自体で罪に問われる人はいないだろうし。
11. 謎の名無しさん(>>10への返信)
そもそも名乗り出る必要がない。名乗り出ても自分には何ひとついいことがないんだから。無関係の誰かが疑われて起訴されでもしない限りは、黙ってるのが一番だよ。
12. 謎の名無しさん
「撃ったこと自体で罪に問われる人はいない」とは限らないよ。投稿者が書いてるタルサの例みたいに、正当防衛でも、銃を持っちゃいけない立場なら銃の所持で重罪になる※。トラブルになる人は実際にいる。
※ 米国では連邦法・州法で、重罪の前科がある人などの銃の所持が禁じられている。人を守るために撃った場合でも、所持そのものが罪に問われることがある。
13. 謎の名無しさん
撃った人が名乗り出なかったのは、まあ不思議でもなんでもない。気の毒な元恋人が殺されていたかもしれないのを防いだんだから、よくやったと思う。
14. 謎の名無しさん(>>13への返信)
こういう状況なら私も名乗り出ないと思う。法律はちゃんと守って暮らしてる年寄りだけど、警察とはなるべく関わらないようにしてる。警察とのやり取りは、ちょっとしたことであっという間におかしな方向に転がるから。
15. 謎の名無しさん
自分から出ていって「人を殺しました」なんて絶対に言わない。たとえ危ない目に遭ってる誰かを守るためだったとしてもね。殺人じゃなくても何かしらの罪に問われない保証なんてどこにもない。割に合わないよ。
16. 謎の名無しさん(>>15への返信)
同感。撃った人が裁判沙汰にならなかったはず、って考え方は楽観的すぎる。公平に扱われればそうだろうけど、正当防衛なのに重い刑を受けた例だっていくらでもある。少なくとも弁護士なしで警察に話すのは賢くないし、弁護士を雇えばかなりの出費になる。
17. 謎の名無しさん
この「被害者」のために、これ以上税金を一円も使わないでほしい。
18. 謎の名無しさん(>>17への返信)
気持ちは分かるけど、それは違うと思う。何をした人であれ、撃たれて死んだ以上は何があったのか調べるのが筋でしょ。それに捜査は撃った人のためでもある。正当防衛だったとはっきりすれば、その人は一生びくびくしなくて済むんだから。
19. 謎の名無しさん
前科があるとか、警察に正しく扱ってもらえると思えない立場の人だったんじゃないかな。自分は警察を信用してないから、同じ状況なら同じことをしたと思う。責める気にはなれない。
20. 謎の名無しさん
これは殺人じゃない。この男は犯罪の被害者なんかじゃないよ。警察や司法を信用できない人は多いし、そういう人は警察と関わらずに済むならなんだってする。それも無理はない。
21. 謎の名無しさん(>>20への返信)
一応言っておくと、統計上の「殺人事件」は、人が人を死なせた事件をまとめて数えてるだけで、撃った側に罪があるって意味じゃない。72件目って数字だけ見て、悪質な殺人だと思わないほうがいい。
22. 謎の名無しさん
「何も見てないっすよ。だいたい俺、左目はほぼ見えないし右目も半分ちょっとしか見えないんで。ていうか今、お巡りさんのことも見えてないっす」
23. 謎の名無しさん
自分は元恋人の身内か友人だと思う。この男はあきらかに彼女に暴力をふるってきた過去があって、その日、誰かが「彼女がやられるか、こいつがやられるかだ」と腹をくくったんじゃないか。それなら名乗り出ないのも筋が通る。待ち構えていたなら計画的で、正当防衛じゃないと言われかねないから。
24. 謎の名無しさん(>>23への返信)
計画していても、正当防衛や他人を守るための反撃にはなりうるよ。「あいつがまた妹の部屋に火炎瓶を投げに来たら撃つ」と決めて待っていても、相手がまさに火炎瓶を投げ込もうとしてる最中に撃ったなら、それは他人を守るための反撃でしょ。
25. 謎の名無しさん(>>24への返信)
理屈は分かるけど、実際にそう判断されるかは別の話だと思う。銃を持って待ってたってことは、検察から見れば「最初から撃つつもりだった」とも取れる。州によって線引きも違うし、本人が不安になって黙るのは理解できる。
26. 謎の名無しさん
忘れられがちだけど、集合住宅で火炎瓶だからね。燃え広がれば元恋人の部屋だけじゃなく、壁一枚向こうの家族も焼け出される。撃った人は他人を守ったんじゃなくて、まず自分の家を守ったのかもしれない。警察も「自宅を守ろうとした可能性」って言ってるし。
27. 謎の名無しさん
地元の者だけど、115丁目は住宅街の小さな通りで、122丁目と北のヘフナー通りのあいだでロックウェル通りと交わってる。撃たれてから8ブロックくらい走ったことになるね。
28. 謎の名無しさん
いちばん引っかかるのは、朝5時台に1回目が起きてるのに、夜にまた同じ部屋に来られたことなんだよな。その間に身柄を押さえられなかったのか。元恋人は丸一日、怯えながら過ごしてたはず。
29. 謎の名無しさん(>>28への返信)
1回目は消防が着く前に逃げてたらしいし、報道を見る限り、夜までに捕まったという話は出てない。結局、その日の夜に彼女のそばにいたのは警察じゃなくて、名前も分からない誰かだったってことだよね。
30. 謎の名無しさん
いなくなってせいせいした、というのが正直な感想。ただ、元恋人の方は窓を2度割られて火を投げ込まれたんだから、この先も何年も夜の物音に怯えるんだろうなと思うと、すっきりした話でもない。
未解決の謎
この事件で分かっていないのは、ほぼ1点だけだ。誰が撃ったのか。警察の見立てでは、撃ったのは元交際相手とのもめごとに関わっていない、集合住宅にいた誰かで、自宅を守ろうとしていた可能性もある。状況だけを見れば正当防衛に近い。それでも撃った人は名乗り出ず、警察は殺人事件として情報提供を呼びかけたまま、少なくとも報道で確かめられる範囲では、2022年の暮れから新しい発表をしていない。
名乗り出ない理由は、コメント欄でも大きく割れた。銃を持てない立場だった、別の事情で警察に調べられたくなかった、待ち構えていたと思われるのが怖かった、相手の身内の仕返しが怖かった、単に警察を信用していない。どれもありうるが、どれも推測にすぎない。撃った人が黙っている限り、その時に何が起きたのか、たとえば逃げかけていた相手を撃ったのか、まさに火炎瓶を投げ込もうとしている最中だったのかは、確かめようがない。
コメント欄では「このまま謎でいい」「問題は勝手に片づいた」という声が目立った一方、「何をした人であれ、死んだ以上は調べるべきだ」「撃った人自身のためにも、はっきりさせたほうがいい」という反論も出た。正当防衛かどうかを決めるのは、本来は撃った人の話を聞いたうえでの捜査と司法の仕事で、名乗り出ないままでは、その判断そのものが宙に浮く。
そしてもう一つ、話の外に置かれがちなのが、同じ日に2度、窓から火炎瓶を投げ込まれた元交際相手のことだ。朝の1回目のあと、夜までのあいだに男の身柄が押さえられることはなかった。最後に彼女の部屋を守る形になったのは、警察ではなく、今も名前の分からない誰かだった。
出典:r/UnresolvedMysteries 元スレ / オクラホマシティ・フリープレス(2022年12月21日、27日更新) / KOCO(2022年12月27日) / ニュース9


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