【2005年】ブルックリンの公園のベンチで見つかった人、20年経っても名前が分からない

【2005年】ブルックリンの公園のベンチで見つかった人、20年経っても名前が分からない 行方不明・失踪

2005年11月6日、ニューヨーク市ブルックリンの小さな公園で、ベンチにもたれかかるような姿勢の人が見つかった。検視局の記録では、この人の死後経過時間は「recent(ごく最近)」とされている。つまり、亡くなってから発見されるまでにほとんど時間が空いていない。身元の手がかりが最も残りやすい状態で見つかったはずの人が、それから20年以上、名前の分からないまま「キングス郡ドウ」と呼ばれ続けている。

※ 死後経過時間:亡くなってから遺体が発見・検査されるまでに経過した時間。英語では postmortem interval と呼ばれる。身元照合や状況の推定を組み立てる際の起点になる数値で、これが短いほど、外見の特徴や着衣といった情報が生前に近い形で残っている。

公表されている情報は決して少なくない。推定年齢は40代から50代、身長165センチ、体重67キロ、目は茶色、20センチから25センチほどのウェーブがかった明るい茶色の髪。緑のジャケットに茶色のブラウス、ブルージーンズ、茶色のスニーカー。それだけの特徴が揃っていながら、記録の中でひとつだけ確定していない項目がある。性別の欄が、暫定的な推定のまま20年以上埋まっていない。死因と死亡に至った状況は、いずれも公表されていない。

事件の概要

🗓️ 発見日:2005年11月6日

🌫️ 場所:アメリカ・ニューヨーク州ブルックリン、イースト23丁目とアヴェニューPの交差点北東角にある公園

👤 発見された人:氏名不明。推定40〜50歳、白人、身長165cm、体重67kg

🔍 状況:公園のベンチにもたれかかるような姿勢で発見。死後経過時間は「ごく最近」とされる。死因・死亡状況はいずれも非公表

🕯️ 現状:ニューヨーク市検視局の身元不明者事案(ケース番号 K05-05522)として、20年以上未解決のまま

キングス郡というのは、ニューヨーク市ブルックリン区の行政上の呼び名である。アメリカでは身元の分からない故人を「ドウ」と呼び、発見された郡の名を冠して「キングス郡ドウ」のような仮の名を付けて管理する。名前が判明するまでのあいだ、この人はその呼び名で記録され続けることになる。

※ ドウ(Doe):英語圏で身元不明者や氏名を伏せる相手に用いる仮名。男性はジョン・ドウ、女性はジェーン・ドウとするのが慣習だが、性別が確定していない場合は単に「ドウ」とだけ記される。日本の「名無しの権兵衛」に近い使われ方をする。

発見現場は、観光地でも人けのない郊外でもない。ブルックリン南部の住宅地で、通りの角にベンチが並ぶだけの、住民が日常的に通り抜ける公園である。11月の初旬、平日の日常が流れている場所で発見され、しかもその時点で亡くなってから時間が経っていなかった。にもかかわらず、この人が誰なのかを知る人は現れなかった。

判明している事実

発見は2005年11月6日、ブルックリンの公園
場所はイースト23丁目とアヴェニューPの交差点、その北東角にある公園。ベンチにもたれかかるような姿勢で見つかった。死因、そして死亡に至った状況——事件性の有無を含めて——は、いずれも公表されていない。20年以上を経た現在も、公開されている資料からその点を読み取ることはできない。

公表されている身体的特徴
白人、推定年齢は40歳から50歳。身長は5フィート5インチ(165センチ)、体重は147ポンド(67キロ)。髪はウェーブがかった明るい茶色で、長さは8〜10インチ(20〜25センチ)。目は茶色。顎と上唇にはっきりとした髭がある。単位はいずれも原資料のヤード・ポンド法をメートル法に換算したもので、いわゆる中肉中背にあたる。

身につけていたもの
緑のジャケット、茶色のブラウス、ブルージーンズ、茶色のスニーカー。ブランド名や特徴的な装飾品といった、個体を絞り込める情報は公表されていない。財布や身分証の有無についても言及がない。11月上旬のニューヨークの気候に合った、ごく一般的な服装である。

性別の欄は「暫定」のまま
死後経過時間が「ごく最近」とされたにもかかわらず、この人の性別は一義的に確定できなかったと記録されている。暫定的な推定として「出生時に女性とされた可能性が高い」と付記されているが、その判断がどの所見に基づくのかは公表されていない。確定した記載ではなく、あくまで推定の域を出ないという但し書きつきの情報である。

情報提供の窓口は今も開いている
ニューヨーク市検視局(Office of Chief Medical Examiner)が、ケース番号 K05-05522 として情報提供を受け付けている。全米の身元不明者データベースである NamUs にも登録されており、身体的特徴と着衣の記録は誰でも閲覧できる状態にある。逆に言えば、20年以上その状態が続いていて、なお照合が成立していない。

※ NamUs(ナムアス):米国司法省が運営する全米規模の行方不明者・身元不明者データベース。警察や検視機関の登録情報を一般にも公開しており、家族が自分で行方不明者を登録して未同定の記録と突き合わせることもできる。身元不明事案の照合はこの仕組みを軸に進む。

主な仮説

ここから先は、この事案を追っている人たちのあいだで語られている見方をまとめたものである。検視局や捜査当局が公式に示した見解ではない。

仮説1:検視局はあえて断定を避けた

スレッドで最も支持を集めたのがこの見方だった。解剖まで行っている以上、専門家が判断の材料をまったく持たなかったとは考えにくい。核型検査という手段もあり、実務上それが妨げられる理由は乏しい。にもかかわらず記録が「暫定」で止まっているのは、断定を公表することの副作用を避けた結果ではないか——という読み方である。特定の性別を明示して公開すれば、その記載に当てはまらない形でこの人を知っていた人は、自分の知り合いだと考えなくなる。照合の網を狭めないために、あえて幅を残した。そう解釈する声が複数あった。

※ 核型検査:血液や組織の細胞から染色体の本数・形を調べる検査。カリオタイピングとも呼ばれる。生まれつきの染色体構成を確認できるが、その人が生前どのように暮らし、周囲からどう認識されていたかまでは分からない。

仮説2:生前の呼ばれ方と、届出に書かれる情報が食い違っている

身元不明者の照合は、行方不明届に書かれた情報との突き合わせで進む。そして届を出すのは本人ではなく、家族・同居人・友人といった周囲の人間である。届出には「その人が周囲からどう認識されていたか」が書かれるのであって、記録上の情報がそのまま反映されるとは限らない。生前の認識と記録の記載がずれていた場合、両者はデータベース上で永久にすれ違い続ける。この人の場合、性別という照合で最初に効く項目そのものが確定していないため、そのずれが起きやすい条件が揃っている。

仮説3:そもそも行方不明届が出ていない

照合の相手が存在しない、という可能性である。身元不明者事案が長期化する典型的な理由がこれで、家族と疎遠だった、単身で暮らしていた、周囲が「しばらく姿を見ないだけ」と受け止めていた——といった事情があれば、届は出ないまま時間だけが過ぎる。40代から50代という推定年齢は、両親がすでに高齢か亡くなっており、かつ子どもがいなければ、日常的に安否を気にかける人が誰もいない状態になりやすい年代でもある。網の両端のうち片方が最初から張られていないのなら、20年かかっても掛からない。

仮説4:2005年当時の様式が、この人を書き込める形になっていなかった

スレッドでは、書式そのものを疑う声もあった。データベースの入力欄も、行方不明届の様式も、あらかじめ用意された選択肢の中から選ぶ形で作られている。想定外の項目に出会ったとき、記録は「不明」あるいは「暫定」という形でしか残せない。そして検索する側は、その曖昧な記載を手がかりに探すことになる。当時の様式が現在ほど幅を持っていなかったとすれば、この人の記録が20年間ほとんど動かなかったことにも説明がつく——という見方である。

海外の反応

1. 謎の名無しさん
「死後まもない状態で見つかったのに、性別が分からないまま20年」というのが、まず飲み込めなかった。解剖までしているのに、そこが確定しないことなんてあるのか。自分の理解が足りていないのは分かっているが、素朴に引っかかる。

2. 謎の名無しさん(>>1への返信)
投稿を最後まで読むと「暫定的に」としか書かれていない。断定できないことを断定できないと書いた、というのが正確なところだと思う。分からないと明示するのは、隠しているのとは違う。

3. 謎の名無しさん
普通は服装と身体的特徴からある程度は絞り込める。長い髪でスカートを履いていれば女性だろう、というふうに。この人の場合はその両方が一致しなかったから、調べた側も「これです」と言い切れなかった。それだけの話ではないのか。

4. 謎の名無しさん
染色体を調べれば一発で分かるのでは、と最初は思った。ただ下のコメントを読んでいるうちに、自分がその質問をするときに何を前提にしていたのかが見えてきた。恥ずかしながら初めて知ることばかりだ。

5. 謎の名無しさん(>>4への返信)
染色体の構成が外見や本人の認識と一致しない人は、思っているよりずっと多い。ほとんどの人は一生検査を受けないから、気づかないまま生きているだけだ。たとえば完全アンドロゲン不応症では、XY染色体を持ちながら生まれたときから外見も生活も一貫して女性、という人がいる。仮にその人が身元不明で見つかって、DNAだけを根拠に「男性」と記録されたら、生前を知る人は誰一人として自分の知り合いだと結び付けない。染色体を調べれば済む、という話ではないのだ。

6. 謎の名無しさん(>>5への返信)
この説明でようやく腑に落ちた。染色体イコール性別、と単純に置き換えていたのは自分のほうだった。具体例まで添えてくれて助かる。

7. 謎の名無しさん
そもそも自分の染色体を知っている人がどれだけいるだろう。家族の分となればなおさらだ。身元照合で本当に必要なのは「周りからどう見られていたか」で、そこは血液検査からは出てこない。

8. 謎の名無しさん
公開されている除外条件を見る限り、出生時に女性とされた可能性が高いという推定には、それなりの根拠があるように読める。ただ、その先については何も書かれていない。

9. 謎の名無しさん(>>8への返信)
可能性が高いというだけで確定ではない。実務としては男性側の行方不明者とも突き合わせるはずで、片方に絞り込んだ時点で見落としが出る。

10. 謎の名無しさん
分からないままだと照合の範囲が広がりすぎて、手がかりがどんどん薄まっていく。それ以前に、近しい人に知らせることができない。20年間、誰のもとにも連絡が行っていないというのがいちばんつらい。

11. 謎の名無しさん(>>10への返信)
自分はちょうどその頃、同じ地域で性別移行をしたトランス男性だ。もしこの人が当時こちらのコミュニティにいたのなら、知り合いの誰かが顔を覚えている可能性はある。狭い世界なので、話が回れば案外近いところまで届く気がしている。

12. 謎の名無しさん
2005年当時は、今のような医療にアクセスできる人ばかりではなかった。事情は人それぞれで、外からは分からない。分かっているのは、一人の人が亡くなっていて、探している人がどこかにいるかもしれない、ということだけだ。名前と尊厳を返してほしい。

13. 謎の名無しさん
検視官がこの手の身体的特徴を知らなかった、とは考えにくい。2005年でも医療現場では十分に知られていた話だ。むしろ解剖で何かが分かったうえで、公表する情報をあえて絞ったと考えるほうが自然だと思う。

14. 謎の名無しさん(>>13への返信)
同感だ。おそらく分かっているが、断定を公表すると照合の網が一気に狭まる。「男性です」と発表した瞬間、女性として知っていた人からの連絡は途絶える。伏せたのは合理的な判断だったと思う。

15. 謎の名無しさん
多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)でテストステロンが上がることはあるが、性別の判定が揺れるほどの水準にはならないはずだ。髭が生えることの説明にはなっても、記録が暫定のまま止まっていることの説明にはならない。

16. 謎の名無しさん(>>15への返信)
半分は同意する。自分も薬を始める前はかなり濃い頬髭が生えていたので、髭だけなら説明はつく。ただホルモンの話をどう積み上げても、核型を調べること自体が妨げられるわけではない。だから伏せた理由はホルモンではなく、別のところにあると思っている。

17. 謎の名無しさん
生前どう呼ばれていたかと、届出に書かれる情報がずれていると、照合は構造的に外れる。同居人が届を出したなら、その人が知っていたとおりに登録されるわけで、本人の実際と一致するとは限らない。

18. 謎の名無しさん
「男性を探しています」と出した瞬間、女性として知っていた人は自分の知り合いだと思わなくなる。逆も同じだ。だから断定しないという選択には意味がある。詳しい根拠を公表しないことにも。

19. 謎の名無しさん
自分はトランス当事者で、普段は他人の身体のことが公共の議題になること自体に反対している。ただ、身元不明の人を家に帰す話になると天秤の傾き方が変わる。生前の何割をどう見られて過ごしたかによって、照合すべき相手そのものが変わってしまうからだ。

20. 謎の名無しさん(>>19への返信)
その線引きは本当に難しい。倫理として踏み込むべきでないことと、実務として書かないと前に進まないことが、この件では正面からぶつかっている。

21. 謎の名無しさん
議論に出てくる用語が難しかったので調べた。性分化疾患というのは、生まれつき身体の性的な発達が典型と異なる状態をまとめて指す医学用語なのだそうだ。知らない言葉のまま読み流していた。

22. 謎の名無しさん
「出生時に割り当てられた性別」という言い方は、生まれたときに医師や親が判断して記録した性別、という意味でしかない。特定の立場の人だけが使う言葉ではないので、そこで身構える必要はないと思う。

23. 謎の名無しさん(>>22への返信)
自分も一度、意味を取り違えたまま反論を書いてしまった。用語の理解がずれたまま議論すると、全員が別のことを言い合う羽目になる。

24. 謎の名無しさん
一般向けに出す資料は、正確さを追い込むことより「何を思い出せばいいか」が伝わることが優先されると思う。専門用語を並べたら、それだけで大半の人が読むのをやめてしまう。

25. 謎の名無しさん
この記載はむしろ、できるだけ広い網をかけるためのものだと読んだ。ひとつの属性に絞り込むためではなく、複数のどの形で記憶している人にも引っかかるように書いてある。

26. 謎の名無しさん
自分も長いこと、自分の身体について引っかかっているところがある。剃っても剃っても追いつかない時期があった。近しい家族しか知らないことだ。もし自分が身元不明で見つかったら、書類にどう書かれるのだろうと考えてしまう。

27. 謎の名無しさん(>>26への返信)
一度きちんと診てもらったほうがいい。ホルモン値を測るだけでも分かることはあるし、原因が分かれば対処のしようもある。自分も長く放置してから調べて、もっと早く行けばよかったと思った。

28. 謎の名無しさん
公表されている服装は、緑のジャケットに茶色のブラウス、ジーンズ、茶色のスニーカー。特別なところが何もない、11月の普通の格好だ。それだけに、この人が誰かの日常の中にいたということがはっきり伝わってくる。

29. 謎の名無しさん(>>28への返信)
20年も経つと、当時の知り合いも散り散りになる。「そういえばあの公園で人が見つかったことがあった」という記憶だけが、どこかの誰かに残っている可能性はあると思う。こういう記事が回るのはそのためだ。

30. 謎の名無しさん
コメント欄が用語の話ばかりになってしまったが、結局のところ願うのはひとつだけだ。この人に名前が戻って、大切に思っていた人が、その後どこにいたのかを知ることができればいい。それ以外のことは、この人を知っていた誰かが決めることだ。

未解決の謎

身元不明者の事案は、遺体の状態が悪いほど難しくなる。白骨化していれば顔立ちは分からず、着衣も残らず、推定できるのは骨格から読める大枠だけになる。だからこの事案は、条件だけを見れば有利なはずだった。亡くなってから時間が経っておらず、髪の色も長さも目の色も分かっていて、着ていた服まで一点ずつ記録されている。それでも20年以上、誰の記憶とも結び付いていない。

行き詰まりの原因が、性別の欄が埋まらなかったことそのものにあるのかは分からない。照合の起点として最初に効く項目が確定していない以上、絞り込みの効率が落ちるのは確かだ。ただし、届を出す人が最初からいなかったのであれば、記載の精度は結果を変えない。データベースは、探されている人と見つかった人を突き合わせる仕組みであって、探す人がいない側には手が届かない。

スレッドの議論は途中から用語の応酬になり、それを苦々しく見ている書き込みも複数あった。それでも最後には、立場の違う参加者がほぼ同じことを書いていた。この人の生前について外側から結論を出すことはできないし、その必要もない。必要なのは、緑のジャケットを着た40代から50代の人物に心当たりのある誰かが、20年前の記憶を思い出すことだけである。

ニューヨーク市検視局は、ケース番号 K05-05522 として今も情報提供を受け付けている。公園のベンチで見つかったその人は、いまだ「キングス郡ドウ」という仮の名で呼ばれ続けている。

出典:r/UnresolvedMysteries 元スレ

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