【2011年】「グレムリンと遊んでくる、30分で戻る」——ハリケーン直前に消えた17歳

【2011年】「グレムリンと遊んでくる、30分で戻る」——ハリケーン直前に消えた17歳 行方不明・失踪

2011年8月27日の午後、アメリカ・バーモント州の小さな町で、17歳の少年が自室のドアに一枚のメモを貼って出かけた。「フレンドリーなグレムリンたちと遊んでくる。20分か30分で戻る」。少年の名はマーブル・エース・アーヴィッドソン。数時間後にはガールフレンドとの約束が入っていて、帰らない理由はどこにもなかった。

※ グレムリン:ここでは架空の生き物や映画の話ではなく、マーブル本人が「友達と遊ぶ」という意味で使っていた独特の言い回し。家族によれば、彼はふだんから空想的で色鮮やかな言葉を好んで使う少年だったという。

その晩、ハリケーン・アイリーンがバーモントを直撃する。24時間で280ミリを超える雨が降り、州じゅうの川が溢れた。捜索は嵐の後片付けに埋もれ、川岸も林道も歩き尽くされたが、彼の痕跡は今日まで何ひとつ見つかっていない。そして、その日マーブルを家から連れ出した男が誰だったのかも、15年経った今なお分かっていない。

事件の概要

🗓️ 失踪日:2011年8月27日(土)午後

🌫️ 場所:米バーモント州ブラトルボロ(州南東部、コネチカット川沿いの町)

👤 行方不明者:マーブル・エース・アーヴィッドソン(当時17歳/身長約188センチ、体重約75キロ、金髪・青い目)

🔍 状況:訪ねてきた見知らぬ男を家に招き入れ、まもなく一緒に外出。「20〜30分で戻る」とメモを残したまま帰宅せず

🕯️ 現在:15年が経過。遺体も遺留品も発見されておらず、同行した男も特定されていない

当時マーブルは、実の母親との関係がうまくいかず、里親家庭で暮らしていた。周囲の話では最初に預けられた里親家族とはとても仲がよく、生活そのものは順調だったという。高校最終学年に進む直前で、大学への出願準備も始めていた。

※ 里親家庭:実の親と暮らせない事情のある子どもを、行政の委託を受けた一般の家庭が預かって育てる制度。アメリカでは施設よりこの形が主流で、複数の子どもと同居人が一つ屋根の下で暮らすことも珍しくない。

資料の上で、マーブルは「特別な支援を要する」と説明されている。ただし自立度は高く、成績も良かったとされる。この一言をどう受け取るかで少年の像そのものが変わってしまうため、元スレッドでも解釈をめぐる議論が長く続いた。

※ 特別な支援を要する(special needs):学習・発達・情緒などの面で何らかの配慮が必要な状態を広く指す言葉で、知的な遅れを意味するとは限らない。マーブルの場合、公表されている資料からその内訳までは特定できていない。

判明している事実

ドアに残された「20〜30分で戻る」のメモ
マーブルは自室のドアに書き置きを残して出ていった。内容は「フレンドリーなグレムリンたちと遊んでくる」「すぐ、20分か30分で戻る」というもの。彼にとってこの言い回しは友達と騒ぐことを指していたとされるが、20〜30分という自己申告と「友達と騒ぐ」という中身は、どう考えても噛み合わない。同じ日の数時間後にはガールフレンドとのデートの予定が入っていた。

家にいた同居人が聞いた、見知らぬ男の声
その日の午後、同じ家にいた同居人が、マーブルが玄関に応対し、見知らぬ男を家に招き入れるやり取りを声だけで聞いている。同居人はその声に聞き覚えがなかったが、会話の様子は友好的で、マーブルは相手を知っているように見えたと証言した。マーブルは間もなくその男と一緒に家を出ている。ただし男の姿を見た人物はおらず、この一人の証言がすべての起点になっている。

数時間後にバーモントを直撃したハリケーン・アイリーン
マーブルが家を出たその晩から翌日にかけて、ハリケーン・アイリーンがバーモント州を襲った。24時間で降った雨は11インチ超、約280ミリ。州内の広い範囲で道路と橋が流され、外部と行き来できなくなった集落も出た。ブラトルボロでも川が溢れ、町は浸水と損壊の後始末に追われることになる。行方不明者を探すには、考えうるかぎり最悪の条件が重なった。

川岸と林道をたどった捜索、痕跡はゼロ
嵐が過ぎたあと、マーブルの叔母が中心となって有志の捜索隊を編成した。ボランティアたちは川岸を歩き、山あいの林道をたどった。だが衣服の切れ端ひとつ、持ち物のひとかけらも見つかっていない。一部の資料には、彼が登山用の靴を持って(あるいは履いて)出たと書かれているが、20〜30分で戻るつもりだった人物が本格的に山へ入る装備を整えていたとは考えにくい。

15年間、誰も名乗り出ていない
最大の空白は、マーブルを連れ出した男が今日まで一度も特定されていないことである。行方不明の報道は地元で繰り返し流れ、警察も情報提供を呼びかけ続けてきた。それでも「あの日、彼と一緒にいた」と申し出た人物はいない。同じ時期に該当しそうな行方不明者の届け出も確認されていない。男は現れないまま、事件の中心にぽっかりと穴が開いている。

主な仮説

仮説1:洪水と鉄砲水に巻き込まれた事故

元スレッドで最も支持を集めたのがこれである。バーモントは州のほぼ全域が山地で、川筋は狭く曲がりくねっている。平地がないぶん水位は一気に上がり、逃げ場がない。町なかにいても、少し歩けば森か川辺に出る土地柄で、若者が集まる場所はたいていその川沿いだ。マーブルが夕方までそうした場所にいたとすれば、雨が降り始めた時点で危険な位置にいたことになる。事件性を持ち出さなくても失踪は説明できてしまう、というのがこの説の強みであり、同時に救いのなさでもある。

仮説2:同行した男が失踪に関与している

一方で、男が名乗り出ないという一点は説明が付きにくい。地元で少年の行方不明が繰り返し報じられ、捜索まで行われている状況で、後ろ暗いところがなければ普通は警察に一言入れる。少なくとも「その日マーブルが何をするつもりだったか」を知っている唯一の人物なのだから、黙っている理由がない。ただし、この男が実際に何かをしたことを示す物証は現在まで一つも出ていない。関与を疑う根拠は「沈黙している」という状況だけであり、そこから先へは進めていない。

仮説3:ふたりとも嵐に呑まれ、結び付けられないまま残った

仮説1と2の中間に位置する見方で、スレッドでも複数の人が独立に思い付いていた。もし二人が一緒に川辺や森にいて、そろって水に流されたのだとしたら、「男が名乗り出ない」ことと「事件性の物証がない」ことが同時に説明できる。ただし、その男に対応する行方不明の届け出が確認されていないという弱点は残る。それでも、一件の事故ではなく二件の事故だったと考えるほうが、かえって筋が通ってしまうという逆説がここにはある。

仮説4:自分の意思で姿を消した

可能性としては挙がるが、支持は薄い。マーブルは高校最終学年を目前に控え、大学出願の準備を進めていた。里親家族との関係も良好で、その日の夜にはガールフレンドとの約束もあった。家族や友人は「彼が家出をするのは考えにくい」と一貫して話している。何より、15年のあいだ生存を示す形跡が一つも出ていない。自ら消えたのだとすれば、それを維持し続けた15年をどう説明するのか、という問題が残る。

海外の反応

1. 謎の名無しさん
アイリーンのときのバーモントの洪水は本当に酷かった。彼の身に起きたこととして一番ありそうなのは、鉄砲水に巻き込まれてそのまま流された、という筋書きだと思う。

2. 謎の名無しさん(>>1への返信)
リンクを読み比べると、彼が男と一緒に家を出たと書いてある記事と、男が来ていたとしか書いていない記事がある。そこが一致していない時点で、前提のところから怪しくなってくる。

3. 謎の名無しさん
先に何かに巻き込まれて、そのあとで遺体が水に流された、という順番も普通にありうる。洪水は人の命を奪う側にも、残された証拠を消してしまう側にも回るから厄介なんだ。

4. 謎の名無しさん
なぜその男は名乗り出なかったんだろう。地元で行方不明の騒ぎになれば嫌でも耳に入るはずで、後ろ暗いところがないなら普通は警察に一言入れると思うんだが。

5. 謎の名無しさん(>>4への返信)
二人とも流されて、別々の話として処理されたまま結び付けられていない、という可能性もある気がする。同じ日に同じ場所で消えているのに、誰もその二つを並べて見ていないだけなのかもしれない。

6. 謎の名無しさん(>>5への返信)
自分も真っ先にそれを考えた。事故が一件ではなく二件だったと考えるほうが、誰も名乗り出ないことの説明としてはずっと素直だよ。

7. 謎の名無しさん
メモがどうにも引っかかる。同じ家にいる相手に直接言わず、ドアに紙を貼って、20分か30分で戻ると書いて出ていく。友達と騒ぐつもりだったなら、その時間で終わるわけがないと本人も分かっていたはずだ。

8. 謎の名無しさん(>>7への返信)
「支援は必要だが自立度は高い」という説明で腑に落ちた。自分の周りにも、ごく普通の用事をやたら独特の言い回しで表現する人が何人かいる。そういう人はだいたい時間感覚も大雑把なんだ。

9. 謎の名無しさん(>>8への返信)
そもそも名前からして独特だからね。マーブル・エースというのは、英語の感覚でもかなり詩的で耳に残る響きだ。言葉の選び方は、家の中で受け継がれるものなのかもしれない。

10. 謎の名無しさん
20〜30分という見積もりなら、酒か何かを買いに行くとか、外で一服してくるとか、そのくらいの用事だったんじゃないか。それなら家の人にわざわざ説明しないのも分かる。

11. 謎の名無しさん
自分が引っかかるのは、その日彼と会う約束をしていたと名乗り出た人が一人もいないことだ。集まりがあったなら、来た来ないの話くらいは誰かの口から出てきそうなものなんだが。

12. 謎の名無しさん
バーモントはほぼ全体が山で、川筋は狭くて曲がりくねっている。平地がないから水位は一気に上がるし、上がったときに逃げ場がない。斜面の土も薄くて、その下は崩れやすい岩盤だ。

13. 謎の名無しさん(>>12への返信)
アイリーンのとき、近所の家が丸ごと持ち上げられて斜面を流されていくのを実際に見た。その残骸は何年も川底に転がったままだったよ。あの下に何が埋まっているかは、誰にも分からない。

14. 謎の名無しさん
「遊んでくる」という言い方は、自分の感覚だとある程度は歩き回ることを含んでいる。公園を歩く、川沿いを歩く、街をぶらつく。嵐の日にそれをやったら、事件性なんてなくても悲劇は起きる。

15. 謎の名無しさん
時系列を整理したい。彼が消えたのは午後で、洪水が本格化したのは翌日だ。つまり嵐のピークが来る前にはもう家にいなかったことになる。この順番は無視できないと思う。

16. 謎の名無しさん(>>15への返信)
ただ、その日の夕方にはもう雨が降り始めている。翌日が氾濫のピークだったというだけで、日が落ちるころに川べりにいたなら、その時点ですでにかなり危ない。

17. 謎の名無しさん
誰かを疑うつもりはないんだが、資料の書き方は「同居人の一人が、彼が玄関に出て見知らぬ男を招き入れるのを聞いた」なんだよね。つまり謎の男の存在は、たった一人の証言の上に乗っている。

18. 謎の名無しさん(>>17への返信)
そこは自分も気になっていた。男の姿を見た人はいないし、声を聞いたという人が一人いるだけだ。そこから先の話は全部、その一言の上に組み立てられている。

19. 謎の名無しさん
行方不明として届けが出るまでに何日かかかったという話も読んだ。もし本当なら、その数日はまるごと失われていて、しかもその間に町ごと水をかぶっているわけだ。

20. 謎の名無しさん
やはり男の存在が引っかかる。名乗り出ない、誰も知らない、対応する行方不明届も出ていない。仮に彼に何もしていなかったとしても、その日マーブルが何をするつもりだったかは知っているはずなんだ。

21. 謎の名無しさん
その男が車で来ていたかどうかが気になる。家から車で10分ほどのところに貯水池があるらしい。若い連中が集まる場所というのは、だいたいそういうところなんだよ。

22. 謎の名無しさん(>>21への返信)
自分の国でも、貯水池は十代のたまり場だった。そして残念なことに、そういう場所で亡くなった人の話も何度か聞いている。水辺というのは、本当に一瞬で危ないほうへ転ぶ。

23. 謎の名無しさん
この件で有名な連続殺人犯の名前を持ち出す人が定期的に現れるけれど、裏づけになる証拠は何ひとつ出ていない。ポッドキャスト発の噂話が、いつの間にか事実の顔をして一人歩きしているだけだ。

24. 謎の名無しさん(>>23への返信)
「うちのおじいちゃんが実はあの有名な殺人犯だった」の類と同じレベルの話だよね。持ち出すたびに信用が下がっていくのも当然だと思う。

25. 謎の名無しさん
20〜30分という見積もりは、たぶん大幅に外れていたんだと思う。自分の友人にも、7時集合と言っておいて9時に現れる男がいる。午後の早い時間に出たのなら、夜の約束までは十分に余裕がある計算だ。

26. 謎の名無しさん
登山用の靴を持って出たという記述が引っかかっている。ただ、20〜30分で戻るつもりの人間が本格的に山へ入る装備を整えるとも思えない。単にその靴を履いていた、という程度の話かもしれない。

27. 謎の名無しさん
洪水のあとの捜索がどれだけ絶望的か、経験のない人には伝わりにくいと思う。川筋そのものが変わり、道は崩れ、木と泥が全部動いている。地形が入れ替わった土地で人を探すのは、別の場所を探しているのとほとんど変わらない。

28. 謎の名無しさん
写真を見ると、いかにも人懐っこそうな子だ。進級して大学に出願する準備をしていたという話を読むと、余計に胸が詰まる。家族がいつか答えを受け取れることを願っている。

29. 謎の名無しさん(>>28への返信)
あの名前を初めて見たとき、いい名前だなと素直に思った。本人にも家族にも、こんな終わり方はふさわしくない。せめて何が起きたのかだけでも分かってほしい。

30. 謎の名無しさん
15年前の身元不明の男を今から特定するとしたら、当時の通信記録を洗い直すか、その界隈にいた人間の記憶を一人ずつ当たっていくしかない。どちらも時間が経つほど薄くなる。この手の事件は、最初の数日でほとんど決まってしまう。

未解決の謎

この事件がここまで動かない理由は、じつのところ単純である。手がかりが乏しいのではなく、手がかりが物理的に洗い流された可能性が高いからだ。マーブルが家を出てから半日と経たないうちに、州全体が歴史に残る規模の豪雨と洪水に見舞われた。足跡も、落とし物も、目撃者の記憶に残るはずだった風景も、まとめて水の下に入った。捜索が本格化したときには、川筋そのものが別の形になっていた。

それでも一点だけ、水では説明の付かないものが残っている。同行した男である。彼が事件に関わっていようといまいと、その日マーブルがどこへ向かい、何をするつもりだったかを知る唯一の人物であることは変わらない。にもかかわらず、15年ものあいだ一度も現れない。この沈黙が事故説をきれいに終わらせてくれず、かといって事件性の証拠にもならないまま、宙に浮き続けている。

加えて、その男の存在自体が同居人一人の証言にぶら下がっている、という指摘も見過ごせない。声を聞いた人がいるだけで、姿を見た人はいない。ここが揺らぐと、事件の骨組み全体が組み直しになる。とはいえ、その証言を疑う具体的な材料もまた出てきていない。

17歳の少年は、20分か30分で戻ると書き置きして出ていった。大学出願の準備をしていて、その夜には人と会う約束があった。帰らない理由を、彼は一つも持っていなかった。残っているのは、ドアに貼られた一枚の紙に書かれた陽気な言い回しと、その言葉が指していた午後の行き先が誰にも分からない、という事実だけである。

出典:r/UnresolvedMysteries 元スレバーモント州警察 未解決・行方不明者情報

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