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【1998年】「飛行時間40秒」のジェットパックが呼んだ訴訟・誘拐・殺人——発明者撲殺の謎

【1998年】「飛行時間40秒」のジェットパックが呼んだ訴訟・誘拐・殺人——発明者撲殺の謎 未解決事件

たった40秒しか飛べない機械のために、男たちは法廷で争い、互いを裏切り、人を木箱に監禁し——そして一人が殺された。1990年代のアメリカで実際に起きた「ロケットベルト2000」を巡る事件である。共同発明者ジョー・ライトはハンマーで撲殺され、犯人は今も分かっていない。そして争いの火種となった装置そのものも行方不明のまま。在り処を知るたった一人の男は、四半世紀以上が過ぎた今も口を閉ざし続けている。

※ ロケットベルト:背中に背負う個人用のロケット推進装置(ジェットパック)。1950年代に米ベル・エアロシステムズ社が軍用に開発したが、飛行時間が30秒ほどしかなく採用は見送られ、その後はスタントショーや映画の世界で使われた。

事件の概要

🗓️ 発生日:1998年7月16日(ジョー・ライト殺害事件)

🌫️ 場所:アメリカ・テキサス州ヒューストン、ジョー・ライトの自宅

👤 被害者:ジョー・ライト(ジェットパック「ロケットベルト2000」の共同発明者)

🔍 状況:装置の権利を巡る民事裁判のわずか11日前に、ハンマーで撲殺された遺体で発見

🕯️ 発見/結末:警察は共同経営者2人を取り調べるも立件できず、殺人は現在も未解決。装置本体も行方不明のまま

物語は1950年代に始まる。米軍向けにベル・エアロシステムズ社が開発した「ベル・ロケットベルト」は、1962年にケネディ大統領の前でも披露された個人用飛行装置だった。しかし飛行時間はわずか30秒ほど。軍は実用性なしと判断して開発は打ち切られ、装置はスタントショーや映画の小道具として余生を送ることになる。

時は流れて1980年代。テキサス州の保険セールスマン、ブラッドリー・バーカーは、ロケットベルトを使うスタントマン、ビル・スーターのクルーで働き始める。やがて独立を決意した彼は1992年、機体製作に貢献したダグ・マレウィッキ、作業場を提供したジョー・ライト、資金を出したトーマス・”ラリー”・スタンリーとともに「アメリカン・ロケットベルト社」を設立。完成した新型機「ロケットベルト2000」は、当時の記録となる40秒の飛行に成功した。軍事的には相変わらずほぼ無用の長物だが、ブラッドリーの狙いは最初からスタントショーと映画出演で稼ぐことだった。そして装置の完成直後から、男たちの歯車は狂い始める。

判明している事実

発端は経費の水増し疑惑
装置の完成からまもなく、ジョー・ラリー・ブラッドリーの3人はカネと権利を巡って決裂した。ラリーと彼の弁護士マイケル・フォン・ブロンの主張によれば、ブラッドリーは材料費を水増しして差額を着服していたという。ラリーがブラッドリーを問い詰めると殴り合いに発展し、ブラッドリーはラリーの頭をハンマーで殴打。2人とも暴行容疑で立件された。ラリーは「装置の権利は自分にある」として、ブラッドリーを提訴する。

裁判のわずか11日前に起きた殺人
1998年7月16日、ジョー・ライトがヒューストンの自宅で、ハンマーで撲殺された遺体となって発見された。ロケットベルトの権利を争う裁判の、わずか11日前のことだった。ジョー自身は装置に執着しておらず、自分の取り分を受け取って手を引きたがっていたという。警察はブラッドリーとラリーの双方を取り調べたが、ブラッドリーは3日間の捜査でも証拠が見つからず釈放。事件は今日まで未解決のままだ。

判決はラリーの勝訴、しかし装置は消えた
その夏の裁判で判事はラリーの主張を認め、ブラッドリーに装置の引き渡しと1000万ドル超の支払いを命じた。ところがブラッドリーは従うどころか、ロケットベルト2000を持ったまま逃亡する。

おとりの仕事と8日間の監禁
装置を取り戻すためなら手段を選ばないと決めたラリーは、ブラッドリーと旧知のスタントマン、クリストファー・ジェームズ・ウェンツェルを抱き込み、ハリウッドでの偽の仕事をエサにブラッドリーをおびき出した。クリストファーの自宅に到着したブラッドリーは銃を持った3人の男に襲われ、猿ぐつわをかまされ、スキューバ用の木箱に押し込められる。襲撃者の中にはラリー本人もいた。彼らは装置の在り処と権利放棄の署名を要求したが、ブラッドリーは「教えれば殺される」と確信して拒否。8日後、監視が外れた隙に脱出し、最寄りの警察署へ駆け込んだ。

2002年、誘拐犯たちに有罪判決
2002年、ラリー・スタンリーとクリストファー・ジェームズ・ウェンツェルは誘拐・監禁・恐喝の罪で有罪となった。クリストファーは司法取引に応じて懲役7年、ラリーは終身刑。一方、ロケットベルト2000を最後に見た人間であるブラッドリーは、インタビューで「在り処は誰にも教えない」と公言している。

主な仮説

仮説1:ブラッドリーによる犯行

ジョーはラリー側の訴訟に協力しており、ブラッドリーには恨みを抱く動機があった。ジョーが生前ブラッドリーを恐れていたという話や、凶器が「ブラッドリーがかつてラリーを殴ったのと同じハンマー」という符合もこの説を後押しする。ただし警察の3日間の取り調べでは証拠が見つからず、起訴には至っていない。

仮説2:ラリーによる犯行と「ハンマーの偽装」

訴訟から手を引きたがっていたジョーは、ラリーに対して作業場の未払い賃料を請求していたとされる。支払いを免れたいラリーが殺害し、ブラッドリーに罪を着せるためにあえてハンマーを使った——という説。のちに誘拐・監禁を計画的に実行したラリーの暴力性を考えれば筋は通るが、こちらも物的証拠はなく、ラリーがこの殺人で訴追されたことはない。

仮説3:第三者による犯行

当事者全員が互いを憎み、それぞれが自分に都合よく話を脚色している可能性が高いこの事件では、そもそも客観的な検証が難しい。捜査情報もほとんど公開されていない以上、強盗など事件と無関係な第三者による犯行という線も、消去法的には排除できない。

仮説4:装置は今も「どこか」に眠っている

もう一つの謎であるロケットベルト2000の行方については、貸し倉庫説、解体・処分済み説、密かに売却された説などが語られている。確かなのは、ブラッドリーが最後の目撃者であり、本人が「誰にも教えない」と繰り返していることだけだ。

海外の反応

1. 謎の名無しさん
こういう全く聞いたことのない事件を深掘りできるのは最高だな。ジェットパックを巡って訴訟・誘拐・殺人って、字面だけなら完全に映画のあらすじなんだが、全部実話なのが恐ろしい。

2. 謎の名無しさん
とんでもない話だ…。装置が行方不明のままって、正直「最終的にアメリカ政府がこっそり回収したんじゃないか」とすら思えてくる。

3. 謎の名無しさん(>>2への返信)
35年前のモデルをベースにした、30秒ちょっとしか飛べない装置だぞ?政府がわざわざ回収する理由がどこにあるんだ。

4. 謎の名無しさん(>>3への返信)
「改良された、でも別物」というのが正解。米政府はだいぶ前に新型をテストしてたし、今はイギリス軍が艦船への乗り込みに使ってる。最新型はガス噴射じゃなくて、両手に2基ずつの小型ジェットエンジン式だ。ちなみに俺がジェットパックの歴史に詳しいのは、子供の頃に007を見すぎたせいだ。

5. 謎の名無しさん(>>4への返信)
直感的には、船にハシゴをかけた方が安くて安全な気がするんだが…。まあ、水たまりをまたいだだけで船酔いする俺の海事知識なんてアテにならんけど。

6. 謎の名無しさん(>>5への返信)
あれは一般部隊の移動手段じゃなくて、ロイヤルマリーンズ(英海兵隊)が艦から艦へ飛び移る「カッコいいオモチャ」として使ってるんだよ。気持ちは分かる、めちゃくちゃ楽しそうだもん。海の上なら墜落のリスクもだいぶ減るし。

7. 謎の名無しさん
ブラッドリーがラリーをハンマーで殴って、その後ジョーがハンマーで撲殺される。これ、ただの偶然で片付けていいのか?

8. 謎の名無しさん(>>7への返信)
この件には大きく2つの説がある。①ジョーはラリーの訴訟に協力してたから、ブラッドリーが恨みを募らせて殺した説。実際ジョーは生前ブラッドリーを恐れて、一刻も早く訴訟から手を引きたがってたらしい。②手を引く際にジョーがラリーへ作業場の未払い賃料を請求していて、払いたくないラリーが殺し、ブラッドリーに罪を着せるためにわざとハンマーを使った説。俺は後者寄りだ。なにせジェットパックのために人を誘拐したサイコパスだぞ。

9. 謎の名無しさん
凶器がハンマーなのが引っかかるんだよな。ブラッドリーには「ハンマーでラリーを殴った」前歴があるから、罪を着せるなら完璧な選択。でも逆に、本当にブラッドリーが犯人なら、自分の名刺代わりみたいな凶器をわざわざ使うか?という疑問も残る。

10. 謎の名無しさん
暴力沙汰が3件(殺人含む)あって、共通項が1人(ラリー)なのに、警察は「うーん、誰がやったか分かりません」って…。せめて誘拐で塀の中に入ったのが救いだ。調べたら2022年に亡くなってるんだが、訃報に堂々とこの会社への関わりが書いてあるの、ある意味すごい度胸だよ。

11. 謎の名無しさん(>>10への返信)
いや、警察はちゃんと目をつけてたぞ。ブラッドリーを3日間も勾留して調べてる。ただ検察が「この証拠じゃ公判を維持できない」と判断したら起訴できない、それだけの話だ。

12. 謎の名無しさん
一番気の毒なのはダグだろ。ただカッコいいジェットパックを作りたかっただけなのに、気づいたら「史上最悪のグループプロジェクト」のど真ん中にいた男。

13. 謎の名無しさん(>>12への返信)
しかも機体製作で一番まともに貢献してたのに、カネと権利の争いには一切関わってないんだよな。あの4人の中で一番賢かったのは間違いなくダグだ。

14. 謎の名無しさん
ちなみに実際の飛行映像はちゃんと残ってる。1995年にはヒューストンのNBAの試合でデモ飛行までやってるんだ。観客の前を飛んだその機械が、3年後には殺人事件の中心にあるなんて、誰が想像した?

15. 謎の名無しさん
興味深い話だった。で、結論なんだが——賭けてもいい、あれは今ごろどこかの貸し倉庫で埃をかぶってるよ(笑)。

16. 謎の名無しさん(>>15への返信)
貸し倉庫だとしたら、賃料滞納で中身が競売にかけられて、事情を知らない誰かが「変な背負い式の機械」を二束三文で落札してる可能性まであるな。本人が黙ったまま死んだら、最悪ガラクタとして処分されて終わりだ。

17. 謎の名無しさん
冷静に考えてくれ。「35年前のモデルより10秒長く飛べる」ってだけの機械だぞ。そのために1000万ドル請求して、人を誘拐して、挙句に人がひとり死んでる。冗談だろ?

18. 謎の名無しさん(>>17への返信)
でも誇大広告があったわけじゃないんだよな。「40秒飛べる」と言って、実際に40秒飛んだ。スペック詐欺で揉めたんじゃなく、純粋に人間の欲だけでここまで転がり落ちた。そこがこの事件の一番怖いところだと思う。

19. 謎の名無しさん
子供の頃『パイロットウイングス』でジェットパックを乗り回してた身としては、現実のジェットパック界がこんな修羅場だったなんて知りたくなかったよ…。

※ パイロットウイングス:任天堂のフライトシミュレーションゲーム。ジェットパックを操作するステージがある。

20. 謎の名無しさん
これ絶対に映画化すべきだろ!脚本家が「さすがにリアリティがない」って没にするレベルの展開が、全部実話なんだぞ。

21. 謎の名無しさん(>>20への返信)
それがもう作られてるんだな、これが。この事件をモデルにした映画がとっくに存在する。現実が先に映画を超えてたパターンだよ。

22. 謎の名無しさん
映画と聞いて、子供の頃の記憶を頼りに『ロケッティア』のことかと思った。あの映画の記憶、もう「ジェットパックが出てくる」しか残ってないけど。

23. 謎の名無しさん
ドラマ『NCIS』にも、この事件が元ネタのエピソードがあるぞ。脚本家たちに「出来すぎた事件」として目をつけられてるってことだ。

24. 謎の名無しさん
それにしても、銃を突きつけられてスキューバ用の木箱に詰められて、8日間監禁されても口を割らなかったブラッドリーの胆力よ。「言ったら殺される」という読みは正しかったのかもしれないが、普通は折れるだろ。

25. 謎の名無しさん(>>24への返信)
実際、あそこで口を割ってたら「ジェットパックの在り処」という保険を失って消されてた可能性は高いと思う。彼にとって隠し場所は文字通り命綱だった。だからこそ、これから先も絶対に言わないだろうな。

26. 謎の名無しさん
面白い事件だけど、ちょっと切なくもある。昔の人たちは「未来にはこんなクールな技術が当たり前になる」と思ってたのに、ジェットパックは結局実用化されないまま。まあ、ターミネーターみたいな未来にならなかっただけマシか…。

27. 謎の名無しさん
よく考えるとラリーって、裁判には勝ってるんだよな。1000万ドル超の賠償と装置の引き渡しを勝ち取った。でも実際には1セントも装置も手に入らず、自力で取り返そうとして終身刑。「法廷で勝った男」が、結果的に一番すべてを失ってる。

28. 謎の名無しさん(>>27への返信)
ジョーは殺され、ラリーは終身刑のまま世を去り、ブラッドリーは逃亡と監禁の末に沈黙。結局あのジェットパックは誰のものにもならなかった。「全員が欲しがり、誰の手にも残らなかった」って、寓話としてよく出来すぎてる。

29. 謎の名無しさん
良いまとめをありがとう。未解決事件って読後感の重い話が多いから、たまにこういう「人間の欲が全部悪い」系の、バカバカしくもどこか物悲しい事件を読むと妙な味わいがあるな。

30. 謎の名無しさん
ブラッドリーが本当に秘密を墓まで持っていったら、ロケットベルト2000は「存在したことは確かなのに、誰も二度と見ることのない機械」になる。ジョー・ライト殺害の真相と装置の行方——2つの謎がセットで永遠に封印されるかもしれないと思うと、静かにゾッとするよ。

未解決の謎

ジョー・ライト殺害事件は、発生から四半世紀以上が過ぎた今も未解決のままだ。容疑者として取り調べを受けた2人のうち、ラリー・スタンリーは誘拐事件で終身刑となり、スレッドのコメントによれば2022年にこの世を去ったという。もし彼が犯人だったのなら、真相はすでに墓の中ということになる。

そしてもう一つの謎、ロケットベルト2000そのものの行方。1995年にNBAの試合で観客の前を飛んだ姿が映像に残るこの機械を、その後に見た人間はただ一人しかいない。そのブラッドリー・バーカーは、8日間の監禁という代償を払ってまで秘密を守り抜き、今も沈黙を続けている。

たった40秒の飛行のために、一人が殺され、一人が終身刑になり、一人が木箱に閉じ込められた。装置の実用性を考えれば、あまりにも割に合わない結末だ。それでも男たちが最後まで手放せなかったのは、機械そのものではなく「空を飛ぶ夢の所有権」だったのかもしれない。

殺人の真相と、装置の在り処。2つの謎は今、たった一人の男の沈黙の中に封じ込められている。

出典:r/UnresolvedMysteries 元スレLos Angeles TimesHouston Press