「2本の歯だけがはまった手作りらしい入れ歯」煙突の女性は、祖先までたどれたのに名前が分からない

「2本の歯だけがはまった手作りらしい入れ歯」煙突の女性は、祖先までたどれたのに名前が分からない 未解決事件

2005年10月の雨の朝、ボストン市ドーチェスター地区の集合住宅に、煙突掃除の職人の父子が呼ばれた。地下の暖房炉の調子が悪いので、掃除して直してほしいという依頼だった。ところが炉の奥の煙突は、コンクリートと板で塞がれていた。壊して煤をかき出していくと、詰まりの原因らしい物に手が触れた。引き抜くと、それは人の腕の骨だった。

煙突の中にいたのは、20代後半から30代とみられる女性だった。上の歯には、2本の歯だけがはまった手作りらしい入れ歯。のちにFBIの遺伝的系図調査※は、彼女の祖先をブラジルにたどったとされる。それでも21年がたった今、彼女の名前は分かっていない。

※ 遺伝的系図調査:身元不明者のDNAを家系図サイトなどのデータベースと照合し、遠い親戚を手がかりに家系図を組み立てて本人にたどり着く手法。2018年に米国の連続殺人事件の容疑者特定に使われて広く知られるようになった。

事件の概要

🗓️ 発見日:2005年10月14日

🌫️ 場所:米マサチューセッツ州ボストン市ドーチェスター地区(ミーティングハウス・ヒル)、ウィンター・ストリート17〜19番地の集合住宅の地下

👤 被害者:身元不明の女性。推定25〜35歳、身長約158cm、肩より長い暗い茶色〜黒の髪

🔍 状況:暖房炉の修理に来た煙突掃除の職人が、コンクリートと板で塞がれた煙突の中から遺骨を見つけた。遺体は白骨化していた

🕯️ 現状:同年12月に他殺と判断された。身元・犯人とも分かっていない

現場はボストン中心部から南へ数キロ、古い集合住宅が並ぶ住宅地だ。地元紙ボストン・グローブ(2024年)によると、見つけたのは元消防士の職人とその息子だった。2人は暖房炉の掃除を頼まれて地下に下り、煙突の掃除口を開けたところ、中がコンクリートで固められていた。その奥には加圧注入材(防腐処理をした木材)の板があり、どちらも比較的新しく見えたという。職人はのちに「誰かが流し込んだもの」だと振り返っている。

元スレのタイトルにある「サフォーク郡ジェーン・ドウ」※は、米国の身元不明者データベースでの呼び名だ。ボストン市はサフォーク郡に属しているので、郡の名前で呼ばれている。

※ ジェーン・ドウ:英語圏で、身元の分からない女性を指す仮の名前。男性は「ジョン・ドウ」。日本でいう「氏名不詳」にあたる。

判明している事実

1960年代に使われなくなった煙突
遺骨が見つかった煙突は、もとはゴミを燃やす焼却炉の煙突で、1960年代に使われなくなったとされる。のちに、遺骨が見つかった開口部の前にはエアコンの室外機が置かれていた。元スレや有志の身元不明者データベースによると、2002年1月から2005年1月にかけて、地下へ入るドアの1つに鍵がかかっていなかった。捜査当局は、遺体が隠されたのはその期間から発見の約3か月前までの間とみているという。

死後3か月〜5年、死因は「原因不明の暴力」
検視の結果、死亡したのは発見の3か月前から5年前までの間と推定された。ボストン市警は2005年12月20日、死因を「原因の特定できない暴力」、死の種類を他殺と発表している。全身の骨が回収されたが、生前の骨折の跡はなかった。骨盤の痕跡から、少なくとも1人は子どもを産んでいたとみられる。

歯科医の作ったものではない入れ歯
下の奥歯は抜けていたが、前歯は残っていた。上には部分入れ歯があり、3本分の枠に陶製の歯が2本だけはまっていた。土台はアクリル製だが、残っていた歯の溝から、もとは金属の土台を使っていて、途中で替えたと考えられている。協力した歯科の専門家は、作りの様式から正規の歯科医の製品ではないと見た。カリブ海の国で作られたか、米北東部でジャマイカやハイチ出身の無資格の歯科医が作った可能性があるとされる。

身につけていた物
チェロキーのデニムのストレッチパンツ(サイズ12A)、ジョリー・インティメイツのベージュの下着、白い靴下。指には赤いプラスチックの付け爪をしていた。指紋は遺体の状態から採れなかったとされる。

遺伝的系図調査は祖先をブラジルへ
当局は当初、彼女を複数のルーツを持つ女性とみていた。白人の可能性が高いが、黒人やアジア系の祖先が混じっている可能性もあるという見立てだ。その後、FBIの遺伝的系図調査で、祖先の出身地がブラジルにたどられたとされる。ただ、調査がいつ行われ、どこまで家系をたどれたのかは公表されていない。生まれ年は1965〜1980年とみられ、子どもがいたなら、その子は今18歳を超えている。

主な仮説

仮説1:建物をよく知る人物が、近くで殺害して隠した

捜査当局がもっとも重く見ているのがこの線だ。使われなくなった焼却炉の煙突があること、その開口部の場所、鍵の開いていたドア。こうしたことを知っていたのは、住人か建物で働く人、あるいはそのどちらかと親しい人物だろうと当局はみている。コンクリートを流し込み、板で塞ぐには時間も道具もいる。人の出入りがある集合住宅で、遺体を車まで運び出すより、地下に隠すほうが危険が少ないと考えたのではないか、という見方もある。

仮説2:本人はポルトガル語圏かカリブ系の人々の中で暮らしていた

手作りらしい入れ歯と、ブラジルにたどられた祖先。この2つから、彼女が移住者か、その家族と暮らしていた人だった可能性は高いと考えられている。ボストン周辺にはブラジル系やカーボベルデ※系の大きな人々の集まりがあり、現場のドーチェスターはとくにカーボベルデ系の人が多い地域だ。正規の在留資格がなかったり、家族が国外にいたりすれば、行方不明の届が米国内で出ていない可能性もある。ただし、これは状況からの推測にとどまる。

※ カーボベルデ:アフリカ大陸の西沖、大西洋に浮かぶ島国。ブラジルと同じく旧ポルトガル領で、マサチューセッツ州には19世紀から移住者の集まりがある。

仮説3:別の場所で殺害され、鍵の開いた地下へ運び込まれた

地下のドアは3年ほど開いたままだったとされ、建物と縁のない人物でも入ろうと思えば入れた。とはいえ、外から遺体を運び込み、煙突の構造を知ったうえでコンクリートまで流し込むのは手間がかかりすぎる。建物の事情を知らない人物には難しいとして、この見方を取る人は少ない。

海外の反応

1. 謎の名無しさん
AIで作ったんじゃない長文の投稿を見ると、それだけでうれしくなる。資料を読み込んでまとめてくれた投稿者に、まずはお礼を言いたい。

2. 謎の名無しさん(>>1への返信)
本当にそれ。最近はどこを見てもAIの文章ばかりでうんざりしてる。調べて、考えて、書くのが一番楽しいところなのに、なんでそこを人任せにするんだろう。

3. 謎の名無しさん
細かいけど訂正。元の投稿では下着のブランドが「ジョリー・インメイツ(受刑者)」になってるけど、正しくは「ジョリー・インティメイツ(肌着)」。刑務所で支給された下着だと思った人がいたら困るから一応ね。

4. 謎の名無しさん(>>3への返信)
英語が母語じゃないから、最初に読んだとき「受刑者」って名前の反抗的なファッションブランドなんだと思ってた。男物の作業着でそういう名前のブランドがあるから。訂正ありがとう。

5. 謎の名無しさん
マサチューセッツの海沿いは、ポルトガル語を話す人がすごく多い。19世紀に捕鯨の仕事を求めて、アゾレス諸島からニューベッドフォードあたりに大勢移ってきた。その集まりができたおかげで、カーボベルデやブラジルの人もあとに続いた。

6. 謎の名無しさん
サウスショア育ちだけど、うちにもブラジル出身の家族ぐるみの知り合いがいて、たしかドーチェスターかその近くに住んでた。旅行のたびに犬を預かってくれた人。2016年ごろまでは連絡があったから、この人ではないけど、投稿を読んで思い出した。

7. 謎の名無しさん
住所の「1719番地」は間違いだと思う。正しくは17番地と19番地で、2棟の集合住宅がつながった建物。地図で見ると分かる。

8. 謎の名無しさん(>>7への返信)
そのとおり。市の不動産記録でも確認できる。そもそもあの通りは4桁の番地が付くほど長くない。ボストンは碁盤の目じゃなくて、だいたいどの通りも1番地から数え始めるんだよ。

9. 謎の名無しさん
17番地と19番地の2棟だけなら、住人も管理の関係者もかなり限られる。当時の住人を洗い出せば、建物を知っていた人物はそう多くないはず。

10. 謎の名無しさん
なんてこった。煙突掃除の職人が、仕事中にこんな物を見つけるとは思わないよな。

11. 謎の名無しさん(>>10への返信)
職人さんたちが気の毒で。煙突の中で死んだ動物ならよく見るんだろうけど、まさか人だとは。亡くなった女性がかわいそうなのはもちろんだけど、見つけた2人のことも心配になる。

12. 謎の名無しさん
煙突掃除といえば『メリー・ポピンズ』の「チム・チム・チェリー」。あの歌が短調で物悲しい理由が、初めて分かった気がした。

13. 謎の名無しさん
今度歯医者に行ったら、先生のことを「民間の歯科の専門家」って呼んでやろう。妙にかっこいい肩書きだよな。

14. 謎の名無しさん(>>13への返信)
入れ歯に闇市場があるなんて知らなかった。でも考えてみれば当然かも。歯の治療は本当に高いし、保険がまず効かないから。

※注:米国では歯科の費用が公的な医療保険の対象外になることが多く、民間の歯科保険がないと全額自己負担になる。入れ歯のような治療は高額になりやすい。

15. 謎の名無しさん
マサチューセッツで生まれ育ったけど、この事件は聞いた覚えがまったくない。20年たってもまだ名前が分からないなんて悲しすぎる。まとめてくれてありがとう。

16. 謎の名無しさん
「傷跡やタトゥーはなかった」ってあるけど、白骨化してたなら分かるはずなくない? 肌が残ってないのに、どうやって確かめたんだろう。

17. 謎の名無しさん(>>16への返信)
ドラマの『BONES』だと、そういう傷は骨に跡が残っていて法医人類学者が読み取ってた。本当かどうかは知らないけど、少しは根拠があるんじゃないかな。

18. 謎の名無しさん
手とか顔みたいに皮膚の薄いところなら、骨に跡が残ることもありそう。でも太ももみたいに肉の厚いところのタトゥーや犬に噛まれた傷が、死後に骨から分かるとは思えない。

19. 謎の名無しさん
単に記録の入力の問題じゃない? 「タトゥーがないと確認した」と「タトゥーがあったかどうか分からない」を区別できない書式になっていて、どっちも「なし」で登録されたとか。データベースではよくある話。

20. 謎の名無しさん
ドーチェスターにはカーボベルデ系の人が多い。カーボベルデとブラジル、DNAで見ると重なる部分があるんじゃないかな。人の流れがどこかで交わってるとか。

21. 謎の名無しさん(>>20への返信)
どっちもポルトガルの植民地だったから、ありうると思う。ただブラジル系の人が多いのはミルフォードやフレーミングハムみたいな郊外で、現場のすぐ周りはカーボベルデ系の中心地なんだよね。

22. 謎の名無しさん
地下のドアがちょうど3年間ずっと開いてたって、なんでそこまで分かるんだろう。理由をすごく知りたい。

23. 謎の名無しさん(>>22への返信)
管理のずさんなアパートに何度か住んだことがある。たぶん鍵が壊れたまま何年も直されてなくて、住人への聞き取りで出てきたんだと思う。みんなの記憶を突き合わせて時期を割り出したんじゃないかな。

24. 謎の名無しさん
悪夢みたいな話だ。建物の中、とくに人が住んでいる家の中から遺体が見つかる事件はほかよりずっと怖い。自分の部屋の真下にいたかもしれないんだから。

25. 謎の名無しさん
DNAを最後に調べたのはいつなんだろう。遺伝的系図調査が進んだ今なら、ブラジルの先までたどれる気がする。親戚が1人でもデータベースに登録していれば一気に進むのに。

26. 謎の名無しさん
当時、あの地域で行方不明の届が出ていた女性は調べたのかな。推定の死亡時期に5年近い幅があるとはいえ、照らし合わせる価値はあるはず。

27. 謎の名無しさん(>>26への返信)
届自体が出ていない可能性もあると思う。家族が国外にいたら、連絡が途切れても米国の警察には行かないかもしれない。だからこそDNAの線が一番頼りになるんだろうね。

28. 謎の名無しさん
わざわざ建物に忍び込んで煙突に入れて、コンクリートまで流すなんて手間がかかりすぎる。森に埋めたほうが簡単なのに。何か儀式めいた理由でもあったのかと考えてしまう。

29. 謎の名無しさん(>>28への返信)
儀式ではないと思う。犯人は近くで殺してしまって、暖房炉のことを知っていたから、車に乗せて運ぶより危険が少ないと考えたんじゃないかな。集合住宅は夜中でも誰かしら起きてるから。

30. 謎の名無しさん(>>25への返信)
地元に住んでて、報道されたときからずっと気になってる事件。ただ入れ歯の見立ては、あくまで1人の専門家の意見だよね。そこに引っ張られすぎず、DNAで家系をたどる作業に誰かが費用を出してくれたらと思う。

未解決の謎

この事件でまず分からないのは、彼女が誰なのかということだ。身長、髪の色、付け爪、下着のブランドまで記録が残り、歯科医の作ったものではない入れ歯という、ほかに例の少ない手がかりもある。それでも20年あまり、名前にはたどり着けていない。手作りらしい入れ歯とブラジルにたどられた祖先は、彼女が公の記録に残りにくい暮らしをしていた可能性を示している。誰も行方不明の届を出していないのだとすれば、照らし合わせる相手がいないまま時間だけが過ぎていることになる。

もう1つの謎は、隠し方の手間だ。使われなくなった煙突を選び、コンクリートを流し込み、板で塞ぐ。そこまでしたのは、建物を知り尽くした人物だったからなのか。それとも、そうでなければならない理由があったのか。鍵の開いていた3年間のどこかで、誰かがあの地下に下りたことだけは確かだ。地方検事局の広報担当者は、死の詳しい経緯は「犯人しか知らないかもしれない」と話している。

遺伝的系図調査は、祖先の出身地までは示した。次の一歩は、彼女の親戚がDNAのデータベースに現れることだ。生まれ年は1965〜1980年とみられ、少なくとも1人いたとされる子どもは、もう大人になっている。その子が母親を探してDNA検査を受ける日が来れば、煙突の中の女性に名前が戻るかもしれない。情報はボストン市警殺人課(617-343-4470)が受け付けている。

出典:r/UnresolvedMysteries 元スレ / NamUs(UP11734) / FBI ViCAP / 参考:ボストン・グローブ(2024年1月29日)、ボストン市警発表(2005年12月20日)、The Doe Network

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