【2024年】ダブリンの宿泊施設で亡くなった男性、パスポートの名も国籍も偽りだった

【2024年】ダブリンの宿泊施設で亡くなった男性、パスポートの名も国籍も偽りだった 行方不明・失踪

2024年1月、アイルランドの首都ダブリン。ホームレス向けの宿泊施設の一室で爆発が起き、そこで暮らしていた男性が亡くなった。何が起きたのかについては、警察の見立てはおおむね固まっている。分からないのは、亡くなったのが誰なのか、その一点だけである。男性が持っていたパスポートには「イゴール・ドミトロフ、リトアニア国籍」と記されていた。だがそれは偽造されたもので、名前も国籍も生年月日も、彼のものではなかった。彼は2006年からアイルランドで暮らしていた。18年間この国のどこかで確かに生活していた人物の輪郭が、亡くなった瞬間にまるごと消えてしまったのである。

※ ホームレス向けの宿泊施設(ホステル):アイルランドの自治体や慈善団体が運営する緊急宿泊施設。個室や相部屋に寝泊まりでき、医療や生活支援につながる窓口も兼ねている。日本の簡易宿泊所より行政サービスとの結びつきが強い。

事件の概要

🗓️ 発生:2024年1月

🌫️ 場所:アイルランド・ダブリン市内のホームレス向け宿泊施設の一室

👤 亡くなった男性:身元不明。推定34歳。偽造パスポート上は「イゴール・ドミトロフ」(リトアニア国籍・1985年6月12日生まれ=当時38歳)

🔍 状況:自作とみられる簡易な爆発物が室内で爆発。被害はその一室にとどまった

🕯️ 現状:2年半が経過した今も身元は判明せず、アイルランド警察が特定作業を続けている

捜査を担当しているのはガルダ。彼らが早い段階で直面したのは、犯人捜しではなく「この人は誰なのか」という問いだった。手元にあるのは偽造パスポート1通と、施設や医療機関に残された断片的な記録、そして携帯電話の通話履歴だけである。

※ ガルダ(Gardaí):アイルランドの国家警察「アン・ガルダ・シーホーナ」の通称。単数形はガルダ、複数形がガルダイ。

判明している事実

名前も国籍も、偽造パスポートに書かれていたもの
「イゴール・ドミトロフ」という名前と、リトアニア国籍という情報は、いずれも偽造パスポートに記載されていたものにすぎない。生年月日は1985年6月12日とされていたが、実際には34歳前後だったとみられている。つまり、公表されている個人情報のうち確かなものはひとつもない。この記事でも便宜上その名で呼ぶが、それは彼の名前ではない。

2006年から18年間、アイルランドで暮らしていた
彼がアイルランドに来たのは2006年。以後、ホームレス支援のサービスを断続的に利用しながら生活していた。18年という年月は決して短くない。施設の職員、医療関係者、同じ部屋や隣室で寝起きした人々——彼を「見ていた」人は確実に存在する。それでも身元にはたどり着けていない。

唯一の手がかりはドイツにいた知人の証言
携帯電話の記録から、ドイツ在住の男性が彼と連絡を取り合っていたことが分かった。この人物は彼を「イゴール」として認識していたが、リトアニア人ではなくウクライナ人だと思っていたと話している。国籍について、書類とは別方向を指す唯一の証言である。

爆発物は自作とみられ、ベッドの上に置かれていた
爆発したのは市販品ではなく、簡易に作られたものだった。それはベッドの上に、まるで枕のように置かれていたという。損壊は彼の部屋の内部にとどまり、外部から人が侵入した形跡は報じられていない。ガルダはこうした状況から、本人の意思によるものだったとの見方を強めている。

医療と支援の記録に残る長い困難
彼には統合失調症を含む精神疾患の既往があり、13歳のころから薬物の使用があったと記録されている。過去には自殺未遂の記録も残っていた。ただしこれらの経歴は本人の申告に基づく部分が大きいとみられ、生年すら確定していない以上、どこまで裏付けが取れているのかは明らかにされていない。

主な仮説

仮説1:本人の意思による行為だったという見方

ガルダがもっとも重く見ているのがこの筋である。爆発物が置かれていた位置、外部からの侵入の形跡がないこと、そして過去に自殺未遂の記録があったこと。これらを並べると、他の説明を持ち出さなくても筋が通ってしまう。実際、スレッドでも「不自然な点は特にない」とする意見が多数派だった。

仮説2:爆発物の扱いを誤った事故だったという見方

一方で、爆発物の威力が限定的で、被害が一室にとどまっていた点を挙げて「そもそも死ぬために作られたものではなかったのでは」と指摘する声もある。何らかの理由で所持していたものを扱い損ねた、という筋書きである。ただし、なぜそれを持っていたのかという疑問はそのまま残る。

仮説3:偽名は「見つかりたくない事情」の裏返しだったという見方

偽造パスポートは安いものではない。それを用意してまで別人として生きたのなら、そこには理由があったはずだ——という見方である。在留資格の問題、母国で抱えていた事情、家族との断絶。いずれも推測の域を出ないが、少なくとも「偽名で通していた」という事実自体は、彼が自分の過去を切り離そうとしていた可能性を示している。

仮説4:バルト三国の住民を装ったウクライナ出身者だったという見方

ドイツの知人の証言を重く見る立場である。バルト三国には旧ソ連時代からのロシア語話者が多く暮らしており、ロシア語を話すウクライナ出身者がリトアニア人として振る舞うことは難しくない。もしこれが当たっているなら、照会先を間違えていた期間が長かったことになる。

海外の反応

1. 謎の名無しさん
ホームレスで、しかも一時的な宿泊施設で暮らしている人が、パイプ爆弾の材料をどこで手に入れるんだ。まずそこが分からない。

2. 謎の名無しさん(>>1への返信)
ネットでいくつか部品を買っていて、中に花火のような導火線が入っていたという話を読んだ。特別なつてがなくても揃うということなんだと思う。

3. 謎の名無しさん(>>1への返信)
子どものころに爆竹をばらして遊んだことのある人間として言うと、花火の中身はそのまま火薬になるし、金属のパイプや金具はホームセンターで普通に買える。技術的なハードルはそこまで高くない。

4. 謎の名無しさん
花火の火薬までは分かるが、硝石そのものは今どき簡単には手に入らないはずだ。もし通販で買っていたなら購入履歴が捜査で出てくるだろうし、材料の出どころは意外と絞れるんじゃないか。

5. 謎の名無しさん
アルミ粉と黒色火薬はネットで買えるし、混ぜてパイプに詰めて導火線をつければ形にはなる。軍用の高度な代物じゃない。カードと携帯があれば注文自体はできてしまう。ただ、なぜその方法だったのかは自分にも分からない。

6. 謎の名無しさん(>>5への返信)
本人の中でだけ意味が通っている行為だったのかもしれない。外から見て理解できない選択でも、当人に見えていた世界の中では筋が通っていた、ということは十分あり得る。

7. 謎の名無しさん
過去にも自殺未遂の記録があったという一文が重い。そこに至るまでにどれだけの時間があったのかと考えると、ただただやりきれない気持ちになる。

8. 謎の名無しさん(>>7への返信)
本当にそう思う。イゴールでも、そうでない本当の名前でも、どうか安らかに。誰かが彼を探しているのなら、せめてそこにだけはたどり着いてほしい。

9. 謎の名無しさん
イスダル・ウーマンとの共通点はほとんどないと思う。どこの誰であれ、この人には重い病があって、それが死に直結している。謎の組織がどうという種類の話ではない。

10. 謎の名無しさん(>>9への返信)
偽名で通していたこと、死に方が極端だったこと、自死の可能性が高いこと——その並びで連想しただけだと思う。事件の構造まで似ていると言いたいわけじゃない。

11. 謎の名無しさん
イスダルの件は、いまは自死だったという見方が主流なのか?睡眠薬が検出されたのは覚えているけれど、最後に目撃されたときは誰かと一緒だったはずで、単独行動ではなかったと記憶している。

12. 謎の名無しさん(>>11への返信)
情報が錯綜していて分かりにくいが、薬を飲んだあとに自分で焚いた火に倒れ込んだ可能性はあると言われている。周辺に謎の男たちがいたという証言も、結局どれも曖昧なままで終わっている。

13. 謎の名無しさん
ロシア語を話すウクライナ人なら、バルト三国のロシア系住民として振る舞うのは難しくない。アイルランドのウクライナ人コミュニティは戦争以降かなり大きくなったが、そこに彼を知っている人はいないのだろうか。顔写真が一枚も出回っていないのが痛い。

14. 謎の名無しさん(>>13への返信)
リトアニア人として通していたのなら、周囲もまさかウクライナ出身だとは思っていなかっただろう。コミュニティに聞き込んでも「そんな人は知らない」で終わってしまう。

15. 謎の名無しさん
その年代のウクライナ人がロシア語話者なのはまったく珍しくない。キーウでさえ2000年代まではロシア語が中心だったし、ウクライナ語がほとんど話せない30代の友人も何人かいる。

16. 謎の名無しさん
過去にも普通は選ばれない方法での自殺未遂があったのなら、今回のことも、その延長線上にあると考えるのが自然に思える。少なくとも警察がそう見ている理由は理解できる。

17. 謎の名無しさん
それでも引っかかるところはある。宿泊施設で暮らしている男性が、なぜ威力の限られた自作の爆発物を持っていたのか。組み立てられるほど手順を踏めた人が、なぜ扱いを誤るのか。どちらの説明も少しずつ足りない気がする。

18. 謎の名無しさん(>>17への返信)
重い病があれば、現実とずれた確信を持つこと自体は珍しくない。それに自作の爆発物で亡くなる人の大半は、扱いの失敗が原因だ。米国のジャック・パーソンズのように、経験を積んだ技術者ですら自宅の実験で事故を起こしている。

19. 謎の名無しさん
警察は本人が作ったと見ていて、それが頭の近くに置かれていたことも根拠にしている。方向としてはそうなんだろうと思う。ただ、自分は専門家ではないので断言まではできない。

20. 謎の名無しさん
そもそも本名も生年も分かっていない人について、「13歳のころから薬物を使っていた」という情報はどこから出てきたんだ。2006年に来た時点で13歳より上なのは確実なんだから、本人以外に知りようがないだろう。

21. 謎の名無しさん(>>20への返信)
支援機関や治療の窓口で、本人が語った内容が記録として残っているんだと思う。アイルランドに来る前の話なら、そもそも裏を取れる相手がこの国にいない。

22. 謎の名無しさん
施設の職員は毎日のように顔を合わせていたはずで、その人たちの記憶がいちばん濃い手がかりだと思う。18年もいた人が誰の記憶にも残っていない、ということはないはずだ。

23. 謎の名無しさん
2006年から18年もこの国にいたのに、顔写真が一枚も出てこないのが不思議でならない。役所の手続きや病院の記録に、顔が残っていてもよさそうなものなのに。

24. 謎の名無しさん(>>23への返信)
偽造書類で通していたなら、記録に残っている写真もすべて偽名に紐づいているだけだ。名前で検索する限り「イゴール・ドミトロフ」しか出てこない。照合の起点がない、というのはそういうことだと思う。

25. 謎の名無しさん
ピーター・バーグマンの件もアイルランドだった。自分の意思で身元を消した人を、あとから復元するのがどれだけ難しいかを思い知らされる。

26. 謎の名無しさん
どこかに家族がいるかもしれない、という一文がいちばんこたえる。連絡が途絶えたまま20年近く待っている人がいるかもしれないわけで。

27. 謎の名無しさん(>>26への返信)
東欧のどこかで「働きに出たきり帰ってこない息子」として記憶されている可能性はある。行方不明届が出ていたとしても、国をまたぐと照合はそう簡単には進まない。

28. 謎の名無しさん
国際的なDNA照会はどこまでやったんだろう。ヨーロッパの中なら国をまたいで照合する枠組みがあるはずだけど、その方面の続報はあまり出てきていない。

29. 謎の名無しさん
照合は相手側にデータが登録されていて初めて当たるものだ。前科もなく、行方不明者としての届け出も出ていない人だと、どれだけ良い試料があってもヒットしない。

30. 謎の名無しさん
この件は「どう亡くなったか」にはほぼ答えが出ていて、「誰が亡くなったのか」だけが残っている。逆のパターンの未解決事件は山ほどあるのに、これはやるせなさの質が違う気がする。

未解決の謎

この事件で解けていないのは、動機でも犯人でもない。名前である。ガルダは早い段階で状況の説明にたどり着いており、そこに大きな異論は出ていない。それでも事件が閉じないのは、亡くなった人が誰なのか、いまだに書けないからだ。死亡届にも、墓標にも、書くべき名前がない。

身元不明のまま残されるケースは、ヨーロッパにいくつも例がある。1970年にノルウェーで見つかったイスダル・ウーマン、2009年にアイルランド北西部の海岸で見つかったピーター・バーグマン。どちらも本人が意図的に痕跡を消していた点で共通している。今回の男性も、偽造パスポート1通で18年間を通し切った。手がかりを消す作業は、本人がとうに終えてしまっている。

※ イスダル・ウーマン:1970年11月にノルウェー・ベルゲン近郊のイスダーレン渓谷で遺体が見つかった身元不明女性の通称。複数の偽名の身分証を所持し、いまも身元は判明していない。

※ ピーター・バーグマン:2009年6月にアイルランド北西部スライゴの海岸で遺体が見つかった身元不明男性の通称。ホテルの宿帳に記した名前も住所も実在しなかった。

残された唯一の外部証言は、ドイツにいた知人が語った「ウクライナ人だと思っていた」という一言だけだ。国籍がひとつずれるだけで、照会をかける先も、探すべきコミュニティも変わってくる。もしその印象が正しかったのなら、2024年以降アイルランドで大きくなったウクライナ人コミュニティの誰かが、彼の顔を覚えている可能性は残る。ただし公開できる顔写真がないという壁が、そこにも立ちはだかっている。

元の投稿者が最後に書いていたのは、捜査の見通しではなかった。どこかに家族か、疎遠になった友人がいて、その人たちはいまも「あの男がどうなったのか」を知らないままかもしれない、という一文である。彼を彼として知っていた誰かが名乗り出るまで、この事件は終わらない。

※ この記事には自死に関する内容が含まれます。ご自身や身近な方のことで悩みを抱えている場合は、厚生労働省が案内している各種の相談窓口を利用できます。

出典:r/UnresolvedMysteries 元スレThe Irish Times

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