1982年3月15日の朝、ロサンゼルス郊外グラッセルパークの二世帯住宅で、母親のマーガレットは台所のテーブルに突っ伏して泣きじゃくる娘カルメンを見つけた。だが彼女は理由を尋ねなかった。その日の正午、カルメンは夫ディエゴと8歳の娘バーバラを乗せ、行き先も告げずに茶色のトヨタで走り去る。一ヶ月後、車だけが80キロ離れた山の谷底で見つかった。屋根は潰れ、5フィートの雪に埋もれ、車内には三人の姿も血痕もなかった。一家はどこへ消えたのか。
事件の概要
🗓️ 発生日:1982年3月15日(最後の目撃)
🌫️ 場所:米カリフォルニア州ロサンゼルス、グラッセルパーク地区
👤 被害者:カルメン・バーハンズ(40)、夫ディエゴ・ガルシア(28)、娘バーバラ(8)
🔍 状況:行き先を告げず車で外出、そのまま失踪。残された母マーガレットが間もなく通報
🕯️ 発見/結末:4月25日に車を発見も三人は不在。現在まで誰一人見つかっていない
一家はディビジョン・ストリートの二階建てに暮らし、カルメンの母マーガレット・ローマンは同じ家の別ユニットに住んでいた。カルメンは保険会社で働く一家の大黒柱で、失職中のディエゴと8歳のバーバラを養っていた。失踪の少し前、彼女はモルモン教※に改宗していたという。
※ モルモン教:正式名称は末日聖徒イエス・キリスト教会。19世紀の米国で生まれたキリスト教系の宗派で、独自の聖典「モルモン書」を持ち、活発な布教活動で知られる。
判明している事実
通行止め区間に残された車
車が見つかったのはロサンゼルスの北80キロ、サンガブリエル山地のビッグパインズ近くのルート2沿いの谷底だった。この区間は3月16日以降閉鎖されており、車が入れたのは失踪当日の3月15日しかありえない。
車内に争いの痕跡なし
屋根は大きく潰れていたが、車内に血痕や争った形跡はなかった。警察は、車を隠すため意図的に谷へ突き落とされたか、深い雪に埋もれた車を除雪車が誤って押し落とした可能性を検討した。
小切手と謎の生き鶏
失踪から5日後の3月20日、カルメンの口座から小切手が現金化されていた。受取人は「行方不明の女性に生きた鶏を売った」と語る高齢女性だった。さらに5月、ろうそく店主が「カルメンに数本のろうそくを売った」と証言している。
食い違う複数の目撃情報
4月中旬、元同級生がイーグルロックのモールでカルメンを見たと主張。年末には高齢者と花を買う姿を見たという証言も。だが、いずれの目撃にもディエゴと娘バーバラの姿はなかった。
主な仮説
仮説1:山中での不慮の事故
もっともシンプルな見立て。雪道でスリップして谷へ落ちる、あるいは立ち往生して車を捨て、助けを求めて歩くうちに三人とも遭難した、という説。三人が車内におらず争いの痕もないことと矛盾しない。南カリフォルニアでは「雪を見にいく日帰りドライブ」も珍しくなく、80キロという距離も不自然ではない。
仮説2:カルト・サンテリア絡みの失踪
母マーガレットが「娘は鶏を生贄にし、ろうそくを使う集団に関わっていた」と語ったことが発端。生き鶏とろうそくの符合は不気味だが、これはディエゴがキューバ出身であることから、サンテリア※という民間信仰を母が「カルト」と誤解した可能性が高いと見る向きも多い。
※ サンテリア:カリブ海地域、特にキューバで発展した宗教。西アフリカの信仰とカトリックが融合したもので、動物(鶏など)の供犠やろうそくを用いた儀式を行う。当事者にとっては正統な宗教だが、外部からは異質に映りやすい。
仮説3:第三者による殺害(債務・移民問題)
ディエゴの義父パスカル・ピノは「義理の息子は殺されたと思う」と語っている。ディエゴの借金の返済が滞ったためカルメンが処刑された、という未確認の噂もあった。当時のグラッセルパークが治安の悪い地域だったことを指摘する地元出身者もいる。
仮説4:自ら姿を消した(失踪の演出)
一家がまるごと西海岸を離れ、キューバ系住民の多いマイアミの「リトル・ハバナ」に移ったという噂も流れた。しかしフロリダでの捜索は空振りに終わっている。目撃証言にカルメン一人しか現れないことから、彼女だけが何らかの形で生き延びたとする見方もある。
海外の反応
1. 謎の名無しさん
「マーガレットは娘がなぜ泣いているのか尋ねなかった」って書いてあるけど、これを「やや奇妙」で済ませるの?やや、ってレベルの話じゃないでしょ。
2. 謎の名無しさん(>>1への返信)
いや、案外そうでもないと思う。うちの母も、僕が落ち込んでるのを見かけたら、自分から話すまでそっとしておくタイプだよ。気持ちが落ち着くまで放っておいてほしい人もいる。
3. 謎の名無しさん(>>1への返信)
表面的には奇妙に見えるけど、母娘の関係性も、カルメンが朝に台所で泣くのがどれだけ珍しいことだったのかも、私たちには分からないからね。
4. 謎の名無しさん
強い意見はないんだけど、泣いている娘を見て理由を聞かないっていうのは、やっぱり少し変だよね?
5. 謎の名無しさん(>>4への返信)
かもね。でも関係性次第だよ。最近ケンカしてたとか。あと40歳が28歳と結婚してるのも少し引っかかる。この件、何もかもが妙なんだよな。
6. 謎の名無しさん(>>4への返信)
この件まるごと変だよ。マーガレットは何が起きていたか知っていたけど、警察に言うのが恥ずかしくて黙っていたんじゃないかと私は思ってる。
7. 謎の名無しさん
コメント欄が「母親が単独で一家三人を殺して捜査を操った」みたいな流れになってるから一応書くけど(笑)。私には、カルメンが何かに怯えていて、宗教的な行動はその結果に見える。そして一家はどこかへ向かい、そこで誰かに手にかけられたんだと思う。見つかって報われてほしい。
8. 謎の名無しさん(>>7への返信)
1982年でも指紋採取は普通にできてたよ。足りなかったのは全国規模のデータベースとコンピューター照合、それにDNA分析。ただ今でも、システムに登録されていない人間は誰も見つけられない。
9. 謎の名無しさん
私のお母さんは、私が台所で泣いてたら、目を逸らして黙って出ていくタイプ。そういうものなのよ。こういう親子関係も実際にあるってこと。
10. 謎の名無しさん
それは少し切ないね。こういう親子もいるって話だとは分かっているけど、あなたが今は気持ちを汲んでくれる人に囲まれていますように。
11. 謎の名無しさん
似たことを考えた。もしカルメンが普段から何かと「大騒ぎする人」「ドラマを抱えがちな人」だったなら、母親も「今日はもう勘弁して」と流したのかも。きっと一生後悔しただろうけど、二人の関係を知らない以上、責められない。
12. 謎の名無しさん
私の親は境界性パーソナリティ障害で、コールセンターの応対が見下していたとか、義理の家族の何気ない一言が数ヶ月後に侮辱だったと思い込んで号泣する人だった。だから私も、もし泣いてるのを見かけたら黙って立ち去っていたと思う。
13. 謎の名無しさん
そもそも「彼女は尋ねなかった」ってどうして分かるの?情報源は祖母マーガレットだよね。それが全てとは限らない。彼女の語った話が真実かどうかも怪しいと思ってる。
14. 謎の名無しさん
カルトの話、率直に言って「悪魔崇拝パニック※」の戯言に聞こえる。この記述を読む限り、「車をぶつけて、降りて、メイラ・マレーのように荒野で行方不明になった」以上に不気味なものを想定する理由が見当たらない。
※ 悪魔崇拝パニック:1980〜90年代の米国で広まった社会現象。各地で悪魔を崇拝する秘密のカルト集団が暗躍しているという根拠の薄い噂が、メディアを通じて拡散した。
15. 謎の名無しさん
事故で道路から滑り落ちて谷に転落し、助けを呼びに車を離れた後で寒さに力尽きた、そして遺体はまだ見つかっていない——という可能性はないのかな。警察は「突き落とされた」か「除雪車」って言うけど、なぜ単純な事故が候補から外れるのか分からない。
16. 謎の名無しさん(>>15への返信)
あるいは雪道で立ち往生して車を捨て、後から除雪車に押し落とされた、とかね。なぜそれが有効な説とされないのか私も疑問。確かに、なぜそこにいたのかは少し妙だけど、家から80キロであって800キロじゃない。南カリフォルニア民として言うと、突発的な「雪を見にいく」日帰りドライブは昔からよくあること。
17. 謎の名無しさん
キューバ人の夫がいたなら、母親が言う「カルト」はまずサンテリアのことだと思う。鶏は一般的な供物だし、ろうそくも使う。当事者でない女性が、しかも1982年にそれを見たら「カルト」と呼んでも不思議じゃない。
18. 謎の名無しさん(>>17への返信)
それだと「モルモン教に改宗した」という話とはずいぶん妙な組み合わせになるけど、まあ分からないものだね。ろうそくと鶏の供犠はサンテリアっぽいのに、モルモン教とはほぼ正反対なんだから。
19. 謎の名無しさん
カルトの話を持ち出したのは母親自身なんだよね。モルモン教改宗の情報源はおそらく別。だとすると二つは無関係かもしれないし、母親がモルモン教をよく知らず「鶏を生贄にする集団に入った」と表現しただけかも。とにかく彼女が気に入らなかった、ということなんだろう。
20. 謎の名無しさん
8歳のバーバラがこの件にどう収まるのかが気になる。3月15日は月曜日なのに、なぜ正午に学校にいなかったの?病気とも、振替休日とも、早退させたとも書かれていない。彼女はほとんど「ついでに連れて行かれた」扱いで、この事件の中で後回しにされている気がする。
21. 謎の名無しさん(>>20への返信)
春休みだったんじゃない?私の地域の学校より少し早いけど、ありえなくはない。とはいえ、それなら誰かがそう言いそうなものだけどね。
22. 謎の名無しさん(>>20への返信)
カルトの話が母親から「促されずに自発的に」出てきたことを、私はむしろ自然だと思う。警察がカルトについて尋ねるわけがない。娘が消えて、思い当たる節があれば話すのが当然でしょ。
23. 謎の名無しさん
誰も言ってないから書くけど、自分はあの地域の出身。失踪当時のグラッセルパークはギャング、特にラテン系ギャングがはびこっていた。ディエゴが関わっていたとは言わないが、あの年代であの界隈に住んでいて全く接点がない方が珍しい。「郊外」と書かれていても、白い柵に囲まれた牧歌的な郊外じゃないんだ。
24. 謎の名無しさん
ディエゴ側の家族の方が何か知っているように思える。義父が「殺された」と思っているなら、そう考えるだけの理由があったはずだよね。本人たちが語らない事情がそこにある気がする。
25. 謎の名無しさん
「金目当て」説は無理がある。確かにカルメンが夫を経済的に支えていたとは書いてあるけど、彼の移民ステータスの正規化に関係していたのかも。キューバ人なら当時、特別な立場にあったはずだから。
26. 謎の名無しさん(>>25への返信)
1982年のロサンゼルスのシングルマザーに、いったいどれだけのお金があったというのか。財産目当てなら相手の選び方として最悪でしょ。年の差は当時さほどタブーでもなかったし、そこに動機を探すのは筋が悪い。
27. 謎の名無しさん
家族の四人のうち三人が消え、一人だけが残った。母親の方こそカルトに入っていた可能性はないのかな。鶏とろうそくはとても古い信仰体系の一部で、私の知る限り人間を生贄にはしない。家を独り占めしたかった——とまでは言わないが、少し疑ってしまう。確証はないけど。
28. 謎の名無しさん(>>27への返信)
それは本当に奇妙だよね、カルトの話を持ち出したのが当の母親なんだから。真偽は誰にも分からない。カルメンとディエゴが何か理由があって世間から離れて暮らそうとして、鶏も生贄じゃなく卵のために買ったのかもしれないし。無事でいてくれることを祈ってる。
29. 謎の名無しさん
邪悪なカルトの仕業、というのは母親にとって「無意味な偶然の事故」よりも受け入れやすい物語だったのかも。本当は何が起きたか全く分からないから、無意識にそういう説明を作り出した、という線も考えられる。
30. 謎の名無しさん(>>29への返信)
それあると思う。マンソン事件※の裁判から十数年しか経っていない時期だから。当時のLAは「郊外には堕落した薬物中毒の集団が潜み、町に出てきて誰彼構わず狙う」と信じ込まされていた。母親がカルトを真っ先に疑ったのも、時代の空気だったんだろう。
※ マンソン事件:1969年に米国でカルト的集団「マンソン・ファミリー」が起こした連続殺人事件。首謀者チャールズ・マンソンの裁判は大々的に報道され、米国社会にカルトへの強い恐怖を植え付けた。
未解決の謎
40年以上が過ぎた今も、カルメン・バーハンズ、ディエゴ・ガルシア、そして8歳のバーバラの行方は分かっていない。三人の痕跡は一つも見つかっていない。最大の謎は、なぜ家から80キロも離れた雪深い山中に、彼らが行く理由のないはずの場所に車があったのか、そしてなぜ車内に三人の姿も血痕もなかったのか、という点に尽きる。
コメント欄でも見立ては大きく割れた。「雪道での遭難事故」というシンプルな説を推す人々と、母親が語った「鶏を生贄にするカルト」の不気味さに引きずられる人々。後者については、夫がキューバ出身であることから、サンテリアという民間信仰を母親が誤解しただけ、という冷静な指摘も根強い。生き鶏とろうそくの符合は、不可解さと同時に、ごく日常的な説明をも許してしまう。
そしてもう一つ、見過ごせない違和感が残る。失踪後の目撃情報には、なぜかカルメン一人しか現れず、ディエゴと幼いバーバラの姿は一度も語られない。証言の信憑性そのものを疑うべきなのか、それとも三人のたどった運命がそれぞれ違ったことを示しているのか。あの朝、カルメンを泣かせていたものの正体さえ分からないまま、一家の消えた理由は雪解けの谷底に沈んだままになっている。

