【1994年】「英国の靴にフランスのズボン、まるで衣装だ」——北海に捨てられた長身の男は誰か

【1994年】「英国の靴にフランスのズボン、まるで衣装だ」——北海に捨てられた長身の男は誰か 未解決事件

1994年7月11日、ドイツ領の小さな島ヘルゴラントの西およそ20kmの北海で、国境警備の船が海面に浮かぶ男性の遺体を見つけた。身長は2メートル近く、推定45〜50歳。頭と上半身には生きているうちに受けた暴行の跡があり、体には重りがくくりつけられていた。その重りは、イギリス・ブリストルの業者の刻印が入った、戦前の古い鉄製の靴型だった。

※ ヘルゴラント:ドイツ北西部の沖合、北海に浮かぶ小島。ドイツ領で、観光地としても知られる。

身につけていたのはフランス製のズボンに、イギリスの老舗メーカーの革靴、そしてマークス&スペンサーのネクタイ。国のばらばらな服をまとった男は、のちに骨を分析したところ、人生の長い期間をオーストラリアで過ごしていた可能性が高いと分かった。それから30年以上がたった今も、どの国の行方不明者とも一致せず、名前すら分かっていない。海外掲示板Redditの r/UnsolvedMysteries で注目を集めた投稿をもとに、「ヘルゴラントの紳士」と呼ばれる男の謎をたどる。

※ マークス&スペンサー:イギリスの大手小売チェーン。衣料品や食品を扱い、イギリスでは誰もが知る定番の店。

事件の概要

🗓️ 発見日:1994年7月11日

🌫️ 場所:ドイツ・ヘルゴラント島の西約20kmの北海(国境警備の船が海上で収容)

👤 被害者:身元不明の白人男性。推定45〜50歳(1944〜49年ごろの生まれ)、身長約196〜197cm、推定体重70〜75kg

🔍 状況:頭部と上半身に生前の暴行の跡。鉄製の靴型2つ(各約3kg)を重りにして、海に沈められようとしていた

🕯️ 現状:2021年に遺体を掘り起こしてDNAを採取し、2022年の骨の分析でオーストラリアとのつながりが浮上。身元は今も分かっていない

「紳士」と呼ばれた長身の男

遺体を収容したのは、当時のドイツ連邦国境警備隊(現在の連邦警察)の船だった。男は身長がおよそ196〜197cmと際立って高く、推定体重70〜75kgの細身で、英語圏の出身と推定された。身なりがきちんとしていたことから、のちに「ザ・ジェントルマン(紳士)」という呼び名がついた。

国のそろわない服

服装は、国籍がまるでそろっていなかった。ズボンはフランス製の紺色。シャツは水色の長袖。紺地に斜めのストライプが入ったウール100%のネクタイはマークス&スペンサー製で、ラベルには英語とフランス語が併記されていた。英語圏とフランス語圏向けの品で、当時はカナダ向けにも作られていたという。

靴は、イギリスの高級紳士靴メーカー、チャーチ社のためにイタリアで作られた革のスリッポン。サイズはイギリス式の11で、日本なら30cm近い大きさになる。靴底は張り替えられ、かかとにはブリストルの会社の交換用ヒールが使われていた。この靴については、中古品だったのではないかという見方もある。元スレの投稿者は「イギリスの中古の靴に、フランスのズボン、マークス&スペンサーのネクタイ。まるで衣装みたいだ」と首をかしげている。

重りは戦前の婦人靴用の靴型

男を沈めるのに使われたのは、鋳鉄製の靴型2つだった。どちらも重さ約3kg、長さ約24.5cm。女性の足をかたどったもので、婦人靴の修理に使われていたとみられる。刻まれていた「AJK」の文字は、かつてブリストル郊外のキングスウッドにあった靴修理用品の業者、A・J・ジャクソンの商標だった。製造は1920〜30年代とみられ、事件の時点ですでに60年以上前の道具だったことになる。

※ 靴型:足の形をした型。鉄製のものは、靴底の張り替えなど修理のときに靴をかぶせて作業する台として使われる。

警察はこの靴型の存在を長く公にしておらず、明かしたのは2022年の公開捜査のときだった。元スレの投稿者は「28年も伏せていた理由は分からない。特定の手がかりを待っていたのかもしれない」と書いている。また警察は、遺体がヘルゴラントの沖で船から投げ込まれたのか、イギリスの方角から流れ着いたのかは分からないとしている。

判明している事実

生きているうちに暴行を受けていた
1994年の司法解剖で、男は生きているうちに頭部と上半身に暴行を受けていたことが分かった。重りをつけて海に沈めようとした形跡と合わせて、警察は殺人事件とみている。重りがくくりつけられていたにもかかわらず、遺体は海面に浮いた状態で見つかった。

2021年に遺体を掘り起こし、DNAを採取
事件は長く動かなかったが、2021年12月、捜査陣は埋葬されていた遺体を掘り起こした。2022年2月には、ドイツ北部ニーダーザクセン州の警察と検察が、イギリスの複数の大学や、身元不明者の特定を支援するイギリスの慈善団体ロケート・インターナショナルと組んで公開捜査に踏み切る。同年4月には完全なDNA型の検出に成功したと発表し、イギリスで作られた写真のような復顔画像も公開した。4月末までに50件を超える情報が寄せられたが、身元にはつながっていない。

骨が指したのはオーストラリア
2022年8月、西オーストラリア州パースのマードック大学の学生たちが骨の同位体分析を行い、男が人生の長い期間をオーストラリアで過ごしていた可能性が高いという結果を出した。オーストラリアの公共放送ABCの報道では、それまでオーストラリアとのつながりは考えられておらず、捜索は主にヨーロッパが中心だったとみられている。

※ 同位体分析:骨や歯に含まれる元素のわずかな違い(同位体の比率)を調べる手法。食べ物や水の成分は土地ごとに違うため、その人が長く暮らした地域を推定できる。

どの国の行方不明者とも一致しない
警察は、男がこれまでに届け出のあったどの行方不明者とも一致しなかったとしている。2023年3月にはオランダの公開捜査番組でも取り上げられた。2024年7月のABCの報道によると、イギリスから寄せられた有力な情報をもとに西オーストラリア州まで調べが及んだものの、確かな進展はなかった。元スレの投稿者によれば、確認できる最新の公開呼びかけは、2025年5月にロケート・インターナショナルを通じて出されたものだという。

次の一手は遺伝系譜調査
同じ2024年7月のABCの報道によると、ドイツの捜査陣は、市販のDNA検査サービスのデータベースから親族を探す遺伝系譜調査をこの事件に使うことを決めた。ただし、すぐには実施しないとされていた。2026年2月にはドイツの公共放送ZDFのドキュメンタリーでも取り上げられたが、執筆時点で身元が判明したという報道は見当たらない。

※ 遺伝系譜調査:一般の人が家系調べのために登録したDNAデータから遠い親戚を見つけ出し、家系図をたどって本人を特定する手法。米国では多くの未解決事件で身元の特定につながっている。

主な仮説

仮説1:偽りの身元で生きていた人物

元スレの投稿者が最初に挙げた説。船乗り、脱走兵、逃亡中の犯罪者など、行方不明の届けを出すと周囲にかえって面倒が生じるような立場の人物だったのではないか、という見方だ。この事件を追うポッドキャストでは、ちょうど同じころに姿を消した脱獄囚が、歯やあごの珍しい特徴が一致するとして候補に挙がった。ただしこの人物は失踪時30歳前後で、警察の推定年齢45〜50歳とは大きく離れている。

仮説2:故郷と疎遠になっていたオーストラリア育ちの男

同位体分析の結果と、イギリスやフランスの服を結びつける説。オーストラリアで育った男がヨーロッパへ渡り、あるいは親の出身地であるイギリスへ戻り、現地で事件に巻き込まれた。家族や友人は遠く離れたオーストラリアにいて、連絡が途絶えても「向こうで元気にやっているのだろう」と思い込み、行方不明だとは考えなかった、という筋書きだ。

仮説3:服は本人のものではなかった

ちぐはぐな服装について、犯人が古着を集めて遺体に着せ、身元をごまかそうとしたのではないかという説がある。一方で、本人が単に古着を好んで買っていただけで、「紳士」という呼び名から想像されるほど裕福ではなかった、という見方もある。靴底やかかとが修理されていたことは、その靴を長く履き続けた誰かがいたことを示しているが、それが本人だったのかは分からない。

仮説4:周囲が「届け出ない」ことを選んだ

投稿者が挙げたもう一つの見方。家族が事情を知りながら口を閉ざした、あるいは閉鎖的な小さな共同体で暮らしていて、いなくなっても書類上の記録が残らなかった、という説だ。犯罪に関わる人間なら仲間は警察に届けない、という指摘もある。ただ、2メートル近い長身の男が消えて誰ひとり声を上げない状況を、この説だけで説明しきれるかは分からない。

海外の反応

1. 謎の名無しさん
知らない人のために言っておくと、この事件を扱った「The Mysterious Case of the Gentleman of Heligoland(ヘルゴラントの紳士の奇妙な事件)」っていうポッドキャストがすごくいい。はっきりした答えにはたどり着いてないと思うけど、つい聴き入ってしまう内容だった。

2. 謎の名無しさん
投稿者は「31年間、オーストラリアでもイギリスでもフランスでもドイツでも、この特徴に合う男の捜索願を誰も出していない。そこが納得いかない」と書いてるけど、それって身元不明の遺体ならどれにでも言えることでは? 身元が分かるまでは、届けが出ていないかどうかなんて確かめようがない。
照合にすぐ使えるのはせいぜい身長くらいで、服なんていなくなる前にいくらでも替えられる。それに、いなくなっても届けが出ない人はいろんな事情で大勢いるし、出された届けがすべて公開されるわけでもない。

3. 謎の名無しさん(>>2への返信)
実は「誰も」っていう言い方自体、正確じゃないんだ。ポッドキャストでは何人か候補を調べていて、中でも、わりと名の知れた脱獄囚がちょうどいい時期に姿を消していて、体格もおおむね合ってた。珍しい歯の特徴まで同じだったらしい。
本当に彼だったのかは誰にも分からないし、DNAで調べない限り永遠に分からない。候補が1人じゃ短いリストだけど、「誰もいない」よりは1人多い。

4. 謎の名無しさん(>>3への返信)
その脱獄囚、いなくなったときはまだ30歳くらいだったはず。警察の推定は45〜50歳だから、15歳以上ずれてる。ポッドキャストでも、この年齢の食い違いに1回まるごと使って頭を抱えてた記憶がある。

5. 謎の名無しさん(>>2への返信)
自分はそれほど意外だと思わない。脱獄囚じゃなかったとしても、家族や友達が海外に移ったり引っ越しを繰り返したりすると、連絡は自然と途切れて、行方が分からなくなっていることにすら気づかないものだよ。
この男はオーストラリア人だったかもしれないんだろう? 家族も友人もみんなオーストラリアにいて、本人だけヨーロッパに渡っていたなら、みんな「向こうで元気にしてる」と思い込んで、死んだとか行方不明だとかは考えもしないと思う。

6. 謎の名無しさん
捜索願が絶対に出されない人間って知ってる? 悪いことしてる奴らだよ。

7. 謎の名無しさん(>>6への返信)
悪い奴っていうか、犯罪に片足突っ込んでる人間ね。仲間は警察と関わりたくないから届けないし、家族も薄々察して黙ってる。

8. 謎の名無しさん
「誰があんな服装をするのか」って、犯人がチャリティーショップ(寄付品を売る慈善団体の店)の古着で死体に服を着せたんだと思う。じゃあ犯人は誰で、なぜオーストラリアの行方不明者データベースを調べても何も出てこないのか。オーストラリアで暮らしてたけど、自分の生まれ故郷か親の祖国に戻ってきて、まとまったお金で商売を始めようとしたところで事件に巻き込まれた、なんてこともありうる。自分の予想はイギリス。
実際にそういう事件はあって、「ロレックス殺人事件」がそう。アメリカの科学捜査ドキュメンタリー番組でも取り上げられてた。

9. 謎の名無しさん(>>8への返信)
ロレックスの事件って、イギリス南西部の沖で漁船の網にかかった遺体の身元が、腕時計の修理記録から割れたやつだよね。あの事件の犯人も遺体に錨をくくりつけて海に沈めていて、しかも他人の名前を借りて暮らすカナダ人の詐欺師だった。偽の身元に、重りをつけて海へ。妙に重なる。

10. 謎の名無しさん
服がちぐはぐって言うけど、90年代のヨーロッパならフランス製のズボンにイギリスの靴なんて珍しくもない。うちの親父のクローゼットも、旅行先で買った服が国籍ばらばらで並んでた。これを「まるで衣装」と言うのは考えすぎだと思う。

11. 謎の名無しさん(>>10への返信)
国がばらばらなのは確かに普通。気になるのはむしろ組み合わせのほう。ネクタイは街の定番店のマークス&スペンサー、靴は高級メーカーのチャーチ、しかもその靴は底を張り替えた中古かもしれない。ちぐはぐなのは国籍じゃなくて、懐具合のほうじゃないか。

12. 謎の名無しさん
そもそも、その靴が中古だと考えられているのはなぜなんだろう。どこを見てそう判断したのか知りたい。

13. 謎の名無しさん(>>12への返信)
あのサイズの靴はなかなか見つからないし、新品で買えばたぶん高い。だから古着で見つけたものを履いてたんじゃないか、ってことだと思う。

14. 謎の名無しさん(>>12への返信)
一応の理屈はあって、かかと部分のシワの入り方から、履いていた人が靴べらを使っていなかったことが分かるんだって。1000ドルもする靴を買う人は大事に手入れして靴べらも使うはずだから、この人はそんな大金を払っていない、だから中古に決まってる、という理屈なんだそうだ。「決まってる」が多すぎる気もするけど。

15. 謎の名無しさん
靴が中古かもしれないなら、服も全部古着だったのかもしれない。オーストラリアでは当時から古着を買うのはごく普通のことだったし。みんなが思っているほど裕福な人じゃなかったのかも。

16. 謎の名無しさん
「紳士」って呼ばれてるけど、スーツを着てたわけでもないし、靴は中古かもしれないし、ネクタイは街の定番店のもの。本人が聞いたら「勝手に持ち上げないでくれ」って言いそうで、ちょっと気の毒になってくる。

17. 謎の名無しさん
完全に映画『ボーン・アイデンティティー』の世界だ。どこかの時点で身元を消されて、誰の目にも留まらない存在になってたんだろう。すごく興味深い事件。

18. 謎の名無しさん
それにしても背が高い。親やきょうだいも長身だったのかな。オーストラリアは広い国だけど、どうにかして地域を絞り込めないものか。

19. 謎の名無しさん
196cmもあったら、学校でも職場でも絶対に目立つ。小さな町ならあだ名がついて、町中が知ってたはず。復顔画像を見て「あのノッポの彼だ」と思い出す同級生が、まだどこかにいると思いたい。

20. 謎の名無しさん
ポッドキャストを聴いてこの事件にすっかりはまった。ただ、そこで学んだのは、同位体分析はかなり当たり外れがあるということ。オーストラリア育ちという結果は、話半分に聞いておいたほうがいいと思う。

21. 謎の名無しさん(>>20への返信)
当たり外れがあるのはその通りだと思う。でもドイツの捜査陣はそれまでオーストラリアをほとんど考えてなかったらしいから、探す範囲を広げたという意味では十分に価値があった。外れていたとしても、失うものは少ない。

22. 謎の名無しさん
体重の推定はまったく当てにならないと思う。196cmで70〜75kgなら、細身というより明らかな痩せすぎだ。自分は178cmで80kg、ウエストは84cmくらいで太ってはいない。ジムには通ってるけど71歳だからほどほどで、筋肉だるまってわけでもない。走り高跳びの世界記録保持者ソトマヨルでさえ、193cmで80kgを超えてた。高跳びの選手なんてみんな細いのに。捜索のときは、体重の推定は無視していいと思う。

23. 謎の名無しさん(>>22への返信)
逆に、推定が正しかったとしたら、それはそれで気になる。そこまで痩せていたなら、病気だったか、まともに食べられない暮らしをしていたのかもしれない。「紳士」のイメージとは真逆の生活だった可能性もある。

24. 謎の名無しさん
ヘルゴラントの沖で見つかったからといって、そこで海に捨てられたとは限らない。警察も、近くで船から投げ込まれたのか、イギリスの方から流れてきたのか分からないと言ってる。重りがブリストル製なのは、案外そのまま「現場はイギリス」って意味なのかも。

25. 謎の名無しさん(>>24への返信)
イギリスから北海を横切ってドイツの沖まで? 重りを2つもつけた遺体がそこまで流れるとは思えない。そもそも6kgで大人の男を沈めようとした時点で、犯人は海のことをよく知らない素人だった気がする。

26. 謎の名無しさん
オーストラリアはもともと移民の国で、戦後はイギリスから一家で移り住んだ人がすごく多かった。1940年代後半の生まれなら、子どものころに親に連れられて渡った可能性は十分ある。育ったのはオーストラリアでも、ルーツはイギリスってことは普通にありえる。

27. 謎の名無しさん(>>26への返信)
それならイギリスの靴にもイギリスのネクタイにも説明がつく。大人になって親の故郷に戻ってきたか、仕事でヨーロッパを回っていたところで、何かに巻き込まれた。オーストラリアの家族は「イギリスでうまくやってる」と思い込んでいた。今のところ、この筋書きが一番しっくりくる。

28. 謎の名無しさん
靴型のことを28年も伏せていたのは、犯人しか知らない情報として取っておいたからだと思う。誰かが「実は…」と名乗り出てきたときに、本物かどうかを見分ける決め手になるから。それを公開したってことは、待っていても犯人は出てこないと判断したんだろうな。

29. 謎の名無しさん
ウェールズのクラーウェン貯水池で見つかった男性の件を思い出した。ウェットスーツ姿で見つかったのに、どうやってそこに来たのかすらまったく分かっていないやつ。

30. 謎の名無しさん
ドイツ警察が、家系図サイトのDNAから親戚を探す手法を使う方針だという記事を読んだ。オーストラリアの遠い親戚が一人でも登録していれば、名前が戻る日が来るかもしれない。30年以上たっても、この人は誰かの息子で、誰かの家族だったはずなんだから。

未解決の謎

ヘルゴラントの紳士の謎は、手がかりが少ないから解けないのではない。むしろ手がかりは多すぎるほどある。フランス製のズボン、イタリアで作られたイギリスのブランドの靴、英語とフランス語のラベルがついたネクタイ、ブリストルの業者の靴型、そしてオーストラリアを指す骨。どれも具体的なのに、一本の線にはつながらない。

もっとも筋が通りそうなのは、オーストラリアで育った男がヨーロッパに渡り、故郷の家族や友人とは疎遠なまま事件に巻き込まれた、という見方だろう。遠くにいる家族にとって、連絡が来ないことは「元気にしている」のと区別がつかない。2メートル近い長身の男でも、そもそも「いなくなった」と気づかれなければ、捜索願は出されない。

それでも残る違和感がある。なぜ犯人は、1920〜30年代に作られた婦人靴用の古い靴型を重りに選んだのか。靴型が手元にあったのは、犯人が靴の修理に関わる場所にいたからなのか、それとも古道具として出回っていたものをたまたま使っただけなのか。男が殺されたのはドイツの近くか、それともイギリスか。遺体がどこから流れてきたのかさえ、警察は分からないとしている。

2021年に採取されたDNAは、今も照合の相手を待っている。家系図サイトのDNAから親族をたどる調査が実を結べば、名前が戻る日は来るかもしれない。北海から引き上げられて30年以上。彼のことを覚えている人が、どこかにまだいるかもしれない。

出典:r/UnsolvedMysteries 元スレ / オルデンブルク警察本部(公開捜査ページ) / ABC News(2022年8月) / ABC News(2024年7月) / Wikipedia

Comments