【2015年】「翌朝、棺は空だった」告別式のあと消えた25歳の遺体、10年以上見つからない

【2015年】「翌朝、棺は空だった」告別式のあと消えた25歳の遺体、10年以上見つからない 未解決事件

2015年8月16日の朝、テキサス州サンアントニオの葬儀場で、出勤してきた職員が異変に気づいた。前日に告別式を終え、火葬を待つはずだった棺が——空だったのだ。蝶番がひとつ壊れ、遺体を載せていた台は、出入口の近くで不自然な向きにひっくり返っていた。それなのに、ドアも窓もこじ開けられておらず、警備システムは一度も作動していなかった。

棺に納められていたのはジュリー・モットさん、25歳。生まれつきの難病である嚢胞性線維症と長く闘い、その年の夏に亡くなったばかりだった。前日の告別式には、家族も友人も集まっていた。警察は殺人事件と同じ体制で捜査に乗り出し、葬儀場は2万ドルの報奨金を出した。それでも、彼女の遺体は10年以上が過ぎた今も見つかっていない。

※ 嚢胞性線維症:粘液を分泌する腺の働きに障害が起きる遺伝性の難病。肺に濃い粘液がたまって感染を繰り返し、呼吸機能が少しずつ失われていく。欧米では比較的患者が多い一方、日本での発症例は非常に少なく、名前になじみのない病気である。

事件の概要

🗓️ 発生日:2015年8月15日の告別式後から、16日朝に発見されるまでのあいだ

🌫️ 場所:テキサス州サンアントニオ ミッションパーク葬儀場ノース

👤 被害者:ジュリー・モットさん(25歳)/嚢胞性線維症のため死去、火葬を待っていた

🔍 状況:棺の蝶番が1か所破損、遺体を支える台が出入口付近で転倒。侵入の痕跡なし、警報の作動もなし

🕯️ 現状:市警が殺人事件に準じる体制で捜査。周辺の捜索も多数の聴取も空振りに終わり、遺体は未発見

この事件を日本の感覚のまま読むと、そもそもの前提でつまずく。アメリカでは棺の蓋を開けたまま遺体と対面する「オープンカスケット」の告別式が広く行われており、その式が終わってから火葬や埋葬までに、数時間から数日の間が空くことが珍しくない。この日も告別式が終わって参列者が帰ったあと、ジュリーさんの遺体は火葬を待って館内に安置されたままになっていた。

※ オープンカスケット:棺の蓋を開けた状態で行う告別式。参列者は遺体と対面して別れを告げる。亡くなってから火葬までがほぼ一続きで進む日本と違い、米国では式と火葬・埋葬のあいだに空白の時間ができる。今回はその空白が、そのまま犯行可能な時間帯になった。

ミッションパークはサンアントニオ市内で複数の施設を運営する葬儀社で、地元では以前から名の知られた存在だった。現場になったのは、人目のない山中でも、厳重に施錠された倉庫でもない。街なかにある、ごく普通の葬儀場である。にもかかわらず、成人ひとりぶんの遺体が、壊れた蝶番ひとつだけを残して消えた。

判明している事実

壊れた蝶番と、出入口で倒れていた台
翌朝に見つかった現場の状態は、はっきり「持ち出された」と読める形をしていた。棺の蝶番は1か所が壊れ、遺体を支えていた台は、館内の出入口の近くで不自然な向きに倒れていた。誰かが棺の蓋をこじ開け、中の遺体を台ごと引き出して出入口へ向かい、途中で台だけを置き去りにした——そう考えると、残された痕跡はひととおりつながる。逆に言えば、持ち去った人物は館内を通って外へ出ていることになる。

こじ開けた跡はなく、警報も鳴らなかった
一方で、建物には侵入の痕跡がまったくなかった。ドアも窓も壊されておらず、警備システムは一度も作動していない。つまり犯人は、開いている場所を知っていたか、鍵を持っていたか、あるいは誰かが開けておいたことになる。「外から来た何者かが夜中に忍び込んだ」という筋書きは、この一点だけで相当に苦しくなる。

殺人事件と同じ体制で動いた市警
サンアントニオ市警は、遺体の窃盗という前例の少ない事案を、殺人事件に準じる重さで扱った。周辺一帯を繰り返し捜索し、多数の関係者から事情を聴いている。聴取の対象には、葬儀場と直接の関係がない人物も含まれていたという。それでも、遺体の行方につながる手がかりは何ひとつ出てこなかった。

2万ドルの報奨金と、埋まらない空白
葬儀場のディレクターは、遺体の発見につながる情報に2万ドルの報奨金を提示した。遺体の一部でも、埋められた場所の手がかりでも、何かが出てくれば捜査は動くはずだった。だが報奨金は誰にも支払われていない。10年以上が経った現在も、ジュリーさんの遺体はどこからも見つかっていない。

遺族の訴訟で表に出た館内の管理
スレッドで共有された地元報道によれば、遺族はのちに葬儀場を相手取って訴訟を起こし、2018年に陪審が約800万ドルの賠償を認めている。その過程で、営業時間外にも館内へ立ち入れる外部の遺体搬送業者が存在したこと、そしてその事実が当初は説明されていなかったことが表に出たとされる。同じ業者は数か月前にも別の遺体を取り違えたとして訴えられていた、とも報じられている。

主な仮説

この事件について確定していることは、実のところほとんどない。以下はいずれも、当時の報道やスレッドで語られてきた「見立て」にすぎない。なお、当時の交際相手だった男性については、捜査当局が関心を寄せる人物として名前が挙がったこと、告別式のあと葬儀場の職員に繰り返し接触したこと、のちに建物へ立ち入ろうとして不法侵入で訴追されたことが報じられている。ただし彼は遺体の消失そのものについて訴追されたことは一度もなく、結びつけるだけの証拠も示されていない。本記事では氏名を伏せ、以下の記述も「そう見ている人がいる」以上には踏み込まない。

仮説1:館内の事情を知る人間が関わっている

もっとも支持が多いのがこの見方である。侵入の痕跡がなく、警報も鳴らず、それでいて遺体だけが外へ出ている。この組み合わせを外部の人間だけで成立させるのは、そもそも難しい。誰かが扉を開けておいたのか、はじめから鍵を持っていたのか。遺族の訴訟で「時間外に出入りできる外部業者がいた」と明らかになったことは、この見方を一気に現実味のあるものにした。もっともそこから先——具体的に誰が、何のために——という肝心の部分は、まったく埋まっていない。

仮説2:故人に執着した人物が持ち去った

スレッドで繰り返し引き合いに出されたのが、1930年代のフロリダで実際に起きたカール・タンツラーの事件である。遺体そのものを目的に持ち去る人間が現実にいた以上、可能性としては消せない、という主張だ。ただしこの説には裏づけが一切ない。「過去にそういう人間がいた」というだけで、今回の関係者の誰かがそうだったという材料は何も出ていない。読み手として警戒すべきなのは、むしろ、いちばん不気味な仮説がいちばん記憶に残ってしまうことのほうかもしれない。

※ カール・タンツラー:1930年代に米フロリダ州キーウェストで、亡くなった女性患者の遺体を墓所から持ち出し、7年にわたって自宅に置いていた男。発覚後に世界的な話題となった実在の事件で、遺体の窃盗という主題ではいまも必ず名前が挙がる。

仮説3:葬儀場側の過失を隠すための「盗難」

取り違え、手違いによる先行火葬、遺灰の混同——業界の管理体制を疑う声から出てきた説である。実際、この葬儀場に出入りしていた業者が過去に遺体を取り違えて訴えられていたという報道もあり、疑う理由がないわけではない。ただしスレッドでは、この説に強い反論がついた。彼女はもともと火葬される予定だったのだ。手違いで先に火葬してしまったとしても、それは「予定より早かった」だけの話であり、遺体が盗まれたという前代未聞の説明をでっち上げるほうが、はるかに大きなリスクを背負い込むことになる。動機の説明が成り立たない、という指摘である。

仮説4:本人の望みを叶えるために連れ出された

「彼女は火葬を怖がっていて、土に埋めてほしいと言っていた。だから誰かがその望みを叶えるために連れ出した」——この事件が話題になるたび、10年以上ずっと書き込まれ続けてきた噂である。出どころははっきりせず、裏づけもない。そして仮にこれが本当だったとしても、ではその埋葬地はどこなのか、なぜ10年以上も誰ひとり口を割らないのか、という問いがそのまま残る。物語としてはいちばん救いのある筋書きだが、その救いは何にも支えられていない。

海外の反応

1. 謎の名無しさん
中で働いている誰かは絶対に知っていると思う。あの規模の建物で、鍵ひとつ壊さずに大人ひとりぶんの遺体が外へ出ていくなんて、普通は起きない。

2. 謎の名無しさん(>>1への返信)
交際相手を疑いたくなる気持ちは分かるけど、現場の状況そのものが「内部の人間が関わっている」と叫んでいる。警報が鳴らない、こじ開けた跡もない。外から来た人間だけでできることじゃない。

3. 謎の名無しさん
少し古い記事なので補足すると、遺族はこの葬儀場を相手取って訴訟を起こしている。その裁判の過程で、営業時間外に館内へ入れる外部の搬送業者がいたことが出てきた。最初の説明にはその話が一切なかったらしい。

4. 謎の名無しさん(>>3への返信)
遺体を取り違える、どこに置いたか分からなくなる。そういうことが「うっかり」の一言で処理される業界だとしたら、それ自体がもう別の事件だと思う。

5. 謎の名無しさん
「まあ、ご遺体というのはそういうものでして」で済まされたらたまったものじゃない。預ける側は、そこを信用しているから預けているのに。

6. 謎の名無しさん(>>3への返信)
同じ業者は、その数か月前にも別の高齢女性の遺体を取り違えたとして訴えられていた、と地元紙が書いていた。和解で終わったらしいけど、偶然が続きすぎている。

7. 謎の名無しさん
交際相手が職員に食い下がっていたという話、順番はどっちなんだろう。遺体が消えたあとの話なら、大切な人の遺体をなくされた側の怒りとして、むしろ自然に思えるんだけど。

8. 謎の名無しさん(>>7への返信)
消えたあとだよ。1年後に葬儀場へ入ろうとして不法侵入で訴えられている。答えが欲しいだけだという見方と、行動が異様すぎるという見方で、当時から意見が真っ二つに割れていた。

9. 謎の名無しさん
疑いをかけられた側の立場で考えると、あの取り乱し方も理解はできる。恋人の遺体をなくされた上に、自分が持ち去ったと言われるわけだから。立件されていない以上、こちらが決めつけていい話ではない。

10. 謎の名無しさん
カール・タンツラーみたいな事例が頭をよぎってしまった。ああいう人間が現実にいた以上、可能性としては消せないんだよな。

11. 謎の名無しさん(>>10への返信)
その名前を検索した自分が悪かった。今日のインターネットはここで終わりにする。……いや、概要を読んだだけで相当だった。

12. 謎の名無しさん
館内にカメラが1台もなかったというのが信じられない。というより、警報が作動しなかったことのほうがもっと引っかかる。切られていたのか、そもそも設定されていなかったのか。

13. 謎の名無しさん(>>12への返信)
葬儀場に防犯カメラがないのは、実はそこまで珍しくないらしい。盗まれるものがない場所だと思われているから。今回のことが起きるまでは、たぶん誰もそこを疑っていなかった。

14. 謎の名無しさん
火葬の直前という時間帯が引っかかる。葬儀場側のミスを覆い隠すための偽装だとしたら、いちばん都合のいいタイミングではあるよね。

15. 謎の名無しさん(>>14への返信)
でも、もともと火葬する予定だったわけで。間違えて先に火葬してしまったところで「予定より早かった」だけになる。それを隠すために遺体が盗まれたことにする、というのは動機として成立しない。

16. 謎の名無しさん
警察は告別式の終了から3時間以内に運び出されたと見ていた、という記事を読んだ記憶がある。つまり昼下がりだ。誰にも見られずに大人ひとりを運び出して車に載せるほうが、夜中にやるよりよほど難しい。

17. 謎の名無しさん
アイダホ州ポカテロの葬儀場が摘発された件を思い出した。火葬されるはずの遺体が何体も放置されていて、大学に届くはずの献体も届いていなかった。管理がここまで崩れることが現実にある業界だ、というのは覚えておいたほうがいい。

18. 謎の名無しさん
知り合いの知り合いだった。詳しい事情までは知らないけれど、親族の多くは交際相手の仕業だと思っている、という話は聞いた。ただ、思っていることと証明されたことは別だからね。

19. 謎の名無しさん
遺体を最後まで送り届けるのが仕事なら、まずなくさないことが仕事のほぼ全部だと思う。それができていない時点で、ほかの説明が何であれ話が始まらない。

20. 謎の名無しさん
彼女は火葬を怖がっていて、土に埋めてほしいと言っていた。だからその望みを叶えるために連れ出したんだ——という噂が昔からある。この事件が話題になるたび、必ず誰かが書き込む。

21. 謎の名無しさん(>>20への返信)
その話が本当だとして、ではその墓はどこにあるのか。10年以上、誰にも気づかれずに埋めたまま黙っていられるものだろうか。噂としては綺麗にまとまりすぎている気もする。

22. 謎の名無しさん
遺灰が別の人と混ざってしまった可能性も考えていたけど、冷たい言い方をすると、混ざっていても遺族には分からない。分からないことを隠すために「盗まれました」と言い出すほうが、よほどリスクが高い。

23. 謎の名無しさん(>>22への返信)
遺灰はそのまま骨壺に入れて渡すものではなくて、あいだに処理の工程が入る。だから火葬のタイミングをごまかせる余地は、思われているほど大きくないはず。

24. 謎の名無しさん
身も蓋もないけれど、「何者かに盗まれました」のほうが「失くしました」より外聞がいい。だからこそ、盗難という説明が最初に出てきたこと自体を疑う人がいるのは分かる気がする。

25. 謎の名無しさん
遺族が起こした裁判では、賠償としてかなりの金額が認められたと報じられている。金額の大きさは、館内の管理がどれだけ緩かったと判断されたかの裏返しでもあるよね。

26. 謎の名無しさん(>>25への返信)
それでも、遺族が本当に取り戻したかったものは戻ってこない。金額の話になると、いつもそこが抜け落ちてしまう。

27. 謎の名無しさん
10年以上経っても手がかりがゼロというのが、この事件のいちばん不気味なところだと思う。目撃者も、匿名の通報も、密告めいた噂話ひとつ出てこない。報奨金まで出ているのに、誰も何も言わないままなのが逆に怖い。

28. 謎の名無しさん
告別式が終わってから火葬まで日が空く、という前提が自分の感覚だと理解しづらかった。逆に言えば、その空白がなければこんなことは起きようがなかったわけで。

29. 謎の名無しさん(>>28への返信)
遺体と対面する式をやって、それから火葬場の予約に合わせて何日か置く。こちらでは珍しいことじゃない。ただ、その間の遺体を誰がどう守るのかという話は、たしかにずっと曖昧なままだと思う。

30. 謎の名無しさん
持ち去ったのが誰であれ、彼女がいまもどこかに置き去りにされているのだとしたら、それがいちばん耐えがたい。せめて家族のところに帰してあげてほしい。

未解決の謎

この事件が10年以上ほどけないままなのは、手がかりが少なすぎるからではない。むしろ逆で、現場に残された状況は「館内の事情を知る人間が関わった」と、これ以上ないほどはっきり示している。壊れた蝶番、出入口の近くで倒れていた台、そして一度も鳴らなかった警報。ここまで揃っていながら、その先へ進むための一点——誰が、どこへ運んだのか——だけが空白のまま残されている。

捜査は殺人事件と同じ重さで行われ、報奨金も提示された。遺族が起こした訴訟では、館内の管理が言われていたほど厳格ではなかったことが表に出た。それでも遺体そのものは一度も見つかっていない。人ひとりぶんの遺体は、埋めるにも隠すにも簡単な大きさではない。にもかかわらず、あれから一度たりとも、どこからも出てきていない。

そして、この事件にはもうひとつ扱いの難しい点がある。名前が取り沙汰されてきた人物は、遺体の消失について一度も訴追されていない。結びつける証拠が示されなかったからだ。それでも彼は、インターネット上で長いあいだ「犯人」として語られ続けてきた。もし本当に無関係だったとすれば、恋人の遺体をなくされた上に、自分がそれを盗んだと十年以上言われ続けてきたことになる。この事件で損なわれたものを数えるとき、そこも勘定に入れておく必要がある。

残るのは、ひとつの単純な事実だけである。2015年8月15日、告別式を終えた時点で、ジュリー・モットさんの遺体は棺の中にあった。翌朝、そこにはなかった。そのあいだに何が起きたのかを知っている人間が、この世界のどこかに必ずいる。

出典:r/UnresolvedMysteries 元スレThe Independent

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