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【1996年】エベレストの道標になった凍結遺体——グリーンブーツの謎

行方不明・失踪

エベレスト山頂への北ルート、標高8500メートル付近に小さな洞窟がある。そこには何十年もの間、ライムグリーンのブーツを履いた男が眠り続けていた。「グリーンブーツ」と呼ばれたその凍結遺体は、頂上を目指す登山家たちが必ず通り過ぎるランドマークになった。男は誰なのか——そして、なぜ彼は正式に識別されないまま、世界最高峰の山の標識になったのか。

🔍 事件の概要

1996年5月10日、インド・チベット国境警察(ITBP)の精鋭登山隊がエベレストへの北ルートから山頂を目指していた。インド人として初めてエベレスト北壁から登頂を達成しようとするこの挑戦に、28歳のツェワン・パルジョル(ツェワン・パジョルとも表記)も参加していた。

その日、エベレストでは嵐が発生し、南ルートを登っていた別のパーティーから8人が死亡する惨事となった。北ルートのITBP隊でもパルジョルを含む3人が帰らぬ人となった。パルジョルは嵐を逃れようと岩の窪みに入り込み、そのまま低体温症で意識を失ったとみられる。

それ以来、彼の遺体はエベレストの北ルートに残された。凍結状態で奇跡的に保存されたその遺体は、ライムグリーンのブーツが特徴的で、登山者たちに「グリーンブーツ」の愛称で呼ばれるようになった。ノースコル上部のルート脇に位置し、標高8500メートルの過酷な環境で何十年もランドマークとして機能した。

📋 判明している事実

ツェワン・パルジョルと強く考えられるが公式未識別
ほぼ全ての専門家と関係者は、グリーンブーツがITBP隊のツェワン・パルジョルであると考えている。しかし長年にわたり公式な身元確認は行われず、インド政府もITBPも正式な声明を避け続けた。家族は本人だと信じているが、遺体が凍結状態のため通常の確認手段が使えないという事情もある。

1996年のエベレスト最悪級の惨事
グリーンブーツが死亡した1996年5月10日は、エベレスト史上最も多くの登山者が一度に亡くなった日の一つ。南ルートではロブ・ホール(ニュージーランド人登山家)、スコット・フィッシャー(米国人登山家)ら8人が嵐で死亡。この悲劇は後にジョン・クラカワーの著書『空へ——エベレストの悲劇はなぜ起きたか』(原題:Into Thin Air)に詳述された。

20年以上、登山者の「道標」として
グリーンブーツの遺体はルート沿いの非常に目立つ位置にあり、長年にわたって「グリーンブーツの洞窟を過ぎたら頂上まであと少し」という実用的な道標として機能した。ルートを通過するすべての登山者がこの遺体を目撃し、またはその横を通り過ぎることを余儀なくされた。

遺体の搬出は事実上不可能
標高8500メートル以上は「デスゾーン」と呼ばれ、補助酸素なしでは人間は数時間しか生存できない。遺体1体の搬出には10人以上の作業員と莫大な費用と危険を伴うため、エベレストで命を落とした多くの登山者の遺体は現地に残されたままになっている。

現在は視認困難になった可能性
2010年代後半以降、「グリーンブーツの遺体が見えなくなった」という報告が相次いでいる。インド政府の要請で非公式に遺体が動かされた、または洞窟の奥に押し込まれたという説があるが、公式な発表はない。一方で「位置が少し変わっただけで今もある」という報告もある。

💡 主な仮説

仮説① ツェワン・パルジョル本人である(最有力)
同日に北ルートから頂上を目指し行方不明になったITBP隊員はパルジョルを含む3人。遺体が発見された場所、時期、体格など全てが一致する。生き残った隊員たちが「あの遺体が誰か確認できない」と証言したことが公式識別を妨げたが、ほぼ全ての専門家がパルジョルだと確信している。

仮説② 同隊の別の隊員
パルジョルと同じ日に同じルートで死亡した他の2人のITBP隊員のうちの1人という可能性。ただし発見された洞窟の位置と状況から、パルジョル説が圧倒的に優勢。

仮説③ 身元確認を妨げた政治的事情
インド政府が遺体の回収・識別に積極的でなかった背景には、軍の威信をかけた遠征で惨事が起きたことへの対応方針や、遺族への配慮があったと言われる。一部からは「識別できないのではなく、識別したくなかった」という見方も出ている。

仮説④ 家族の望み:「山に眠らせてほしい」
パルジョルの母タシ・アンモは「息子を連れ帰れないなら、山に眠らせてほしい」と語ったという。遺体を識別し「確定」することで改めて死を突きつけられることへの家族の複雑な感情が、識別を遅らせた面もあるかもしれない。

🌍 海外の反応

1. 謎の名無しさん
「20年以上あの高度に置かれているのに、服まで驚くほどきれいな状態なのが信じられない。エベレストの環境が完璧な冷凍庫になっているということか。」

2. 謎の名無しさん
「実はそこまで謎でもない。専門家はほぼ全員パルジョルだと確信している。ただ『公式に』識別されていないというだけで。」

(>>2への返信)「ジョン・クラカワーの『空へ』を読んだ人なら分かるけど、あの日の嵐のタイミングは本当に紙一重だった。30分早かったら犠牲者は出なかったと彼は書いている。」

3. 謎の名無しさん
「パルジョルの生涯についての記事を読んで心が痛くなった。5人兄弟の次男、シャイで彼女を作ったことがなく、家族のために人生を捧げようとしていた。お母さんに『別の山に登りに行く』と嘘をついてエベレストへ向かった。」

4. 謎の名無しさん
「ハイキングの途中で死体を跨いで進まないといけないとなったら、私は即引き返す。」

(>>4への返信)「エベレストってそういう場所なんだよ。亡くなった人たちが何年も何十年も山の道標になってる。それが普通の光景になってしまっている。」

5. 謎の名無しさん
「識別が困難な理由の一つは、身元を確認するには近づいて顔を確認する必要があるが、あの標高でそんな余裕のある登山者はほとんどいないということ。生存優先で登山者は通り過ぎるしかない。」

6. 謎の名無しさん
「グリーンブーツはその場にある理由があった——登山者の生存ナビゲーションに使われていた。変な言い方だけど、彼は死んでから何千人もの命を助けたかもしれない。」

(>>6への返信)「誰かが削除されたコメントにそれを書いていた。『死後に大きな目的のために使われた』という意味では、彼の夢の一部が叶ったのかもしれない。」

7. 謎の名無しさん
「パルジョルの家族がインタビューで『遺体を連れ帰れないなら山に眠らせてほしい』と言ったという話が、不思議なほど穏やかで美しかった。その言葉が胸に残っている。」

8. 謎の名無しさん
「遺体が識別されない最大の理由は二つ——あの高度では誰も立ち止まる余裕がないことと、そもそも家族はもう本人だと知っているから確認のための動きをする必要がないこと。」

(>>8への返信)「公式に識別されないことで遺族への通知や補償が遅れたという問題もあったと聞く。インド政府の対応は批判されている。」

9. 謎の名無しさん
「2019年のシーズンに渋滞でエベレストが話題になった時、グリーンブーツの存在を初めて知った。そこから一気にエベレストの歴史を調べて眠れなくなった夜を過ごした。」

10. 謎の名無しさん
「お母さんに嘘をついて最高峰に向かい、そのまま帰れなかった。家族の生活のためにと、少年が夢に向かった話として読むと涙が出てくる。」

(>>10への返信)「彼は照れ屋で一度も彼女を作ったことがなく、家族のことしか考えていなかったというのが、さらに胸に刺さる。」

11. 謎の名無しさん
「ロブ・ホールやスコット・フィッシャーが有名になりすぎて、同じ日に北ルートで亡くなったインド人たちのことは語られることが少ない。彼らの存在が忘れられていくのが残念。」

12. 謎の名無しさん
「エベレストで他の人が倒れているのに助けも呼べず素通りしなければならない状況が、どれほど人間の精神を傷つけるか想像もしたくない。」

(>>12への返信)「あの標高では判断力も低下し、一人を助けようとして自分まで死ぬリスクがある。知識では理解できるが、心では受け入れにくい現実だよ。」

13. 謎の名無しさん
「不思議なのは、グリーンブーツが登山者の安全に役立っていたとしたら、むしろ彼の最後の使命がそこにあったとも言える。本人が知ったら何と言うだろう。」

14. 謎の名無しさん
「遺体が今は見えなくなったという報告が出ている。インド政府が非公式に移動させたという説が有力。それはそれで彼への敬意だと思いたい。」

(>>14への返信)「公式発表がないのはいつものことだけど、少なくとも彼が長年道標として使われ続けた状態が終わったなら、少しホッとする。」

15. 謎の名無しさん
「エベレストには今200体以上の遺体が残されているという。彼一人だけの問題じゃない。あの山全体が巨大な墓地になっている。」

16. 謎の名無しさん
「Redditにこういうスレが立って、世界中の人がパルジョルのことを調べるようになる。彼の名前が忘れられずにいるのはそのおかげだよ。」

(>>16への返信)「SNS時代の良い側面だと思う。世界の片隅で語られることのなかった人の話が、一夜で何万人に届く。」

17. 謎の名無しさん
「命がけでエベレストに登る人たちには本当に敬意しかないが、金持ちのトロフィーハンターが無秩序に登って現地シェルパを危険に晒しているのは問題だと思う。」

18. 謎の名無しさん
「パルジョルが嵐を避けて洞窟に入り、そこで意識を失った。最後の瞬間、彼は何を思っていたんだろうかと、ずっと考えてしまう。」

(>>18への返信)「低体温症の末期には穏やかな感覚が来るという研究がある。もしそうなら、少しだけ安心できる。」

19. 謎の名無しさん
「グリーンブーツの横に別の死者(デイビッド・シャープ)が2006年に横たわっているのが発見されたとき、登山界で大きな議論が起きた。生きている人間がその横を通り過ぎた、という事実が告発された。」

20. 謎の名無しさん
「エベレスト商業登山化への批判は続いているが、少なくとも今の方が装備・通信技術が上がって生存率は高い。それでも毎シーズン誰かが亡くなっている。」

(>>20への返信)「それでも山が人を惹きつけ続けるのは、人間の本質的な何かに触れる体験があるからなんだろう。危険と知ってなお行く人たちを責める気にはなれない。」

21. 謎の名無しさん
「登山家として言えば、グリーンブーツの話は伝説的だった。現地の登山コミュニティでは皆が知っている話で、彼を「見た」人たちの証言が語り継がれていた。」

22. 謎の名無しさん
「凍結した遺体が一切腐敗せず、服まで状態が良いというのは科学的に興味深い。あの標高・気温・乾燥という条件が完璧な保存状態を作り出している。」

(>>22への返信)「BBCの記事でも服の状態の良さが強調されていたね。それがまた不気味にリアルで、生きているように見えるという証言にもつながる。」

23. 謎の名無しさん
「ロブ・ホールやスコット・フィッシャーは著書や映画で名を残したが、パルジョルは長年「グリーンブーツ」という匿名の存在だった。やっと名前が広まってきていることが少し救いだ。」

24. 謎の名無しさん
「本人が生前に『エベレストに登ることで家族に貢献したい』と語っていたのを知ると、結果として何万人もの命を救う道標になったことは、ある意味で使命の完成だったかもしれない。」

(>>24への返信)「辛い解釈だけど、その見方があの場所への敬意になっていると感じる。彼はそこで何かを達成したのだと。」

25. 謎の名無しさん
「家族への連絡手段も補償も十分でなかったインドのあの時代のシステムを思うと、パルジョルの死が遺族に伝わったのがどんな形だったのかも気になる。」

26. 謎の名無しさん
「登山を語る時、しばしばロマン化されるが、グリーンブーツの存在はその危険性のリアルな側面を突きつける。道標が死体というのは、人間の行為の極限を象徴している。」

27. 謎の名無しさん
「エベレストの遺体問題は倫理的なジレンマの塊だ。遺族の感情、宗教的慣習、技術的な危険、費用——全部が絡み合って、簡単な答えが出ない。」

(>>27への返信)「それでもせめて名前くらいは呼んであげたい。グリーンブーツじゃなく、ツェワン・パルジョルと。」

28. 謎の名無しさん
「今この瞬間も誰かがエベレストを登っていて、彼がかつてあった洞窟のそばを通り過ぎているかもしれない。それを思うと妙に現実感がある。」

29. 謎の名無しさん
「ただ安らかに眠っていてほしい。世界で一番高い場所で、一番静かな夜を過ごしている——それがパルジョルにとって悪い場所ではないと信じたい。」

(>>29への返信)「安らかに、ツェワン・パルジョル。」

30. 謎の名無しさん
「こういうスレに何千もの「いいね」がつくのは、みんながただ事実を知りたいからじゃない。誰かに覚えていてほしいからだと思う。私たちは今日、彼のことを覚えた。」

❓ 未解決の謎

「グリーンブーツ」の最大の謎は、身元確認が技術的に不可能だったのか、政治的に行われなかったのかという点だ。ほぼ全ての状況証拠がツェワン・パルジョルを指し示しているにもかかわらず、インド政府はなぜ数十年にわたって公式発表を避けてきたのか。また、遺体が現在も北ルートに存在するのか、あるいはひっそりと動かされたのかも明らかになっていない。もし動かされたとしたら、誰の判断で、どこへ移されたのか。28歳で命を落とし、生前から家族のために生きることを誓っていた青年が、死後も世界の屋根で無名のまま道標となった——この事実の重さは、エベレスト登山が抱える倫理的問題を静かに問い続けている。

出典: r/UnresolvedMysteries「Who really is the still unidentified frozen corpse on Mt. Everest…」/ BBC Future「The tragic story of Mt. Everest’s most famous dead body」/ Jon Krakauer『Into Thin Air』