2006年7月、シアトル在住の小学校司書メアリー・クーパー(56歳)と娘スザンナ・ストッデン(27歳)は、母娘ふたりで日帰りハイキングに出かけた。当初予定していた山は雪で歩けず、急きょ車を走らせて向かったのが、スノホミッシュ郡のピナクル湖トレイル※。その日のうちに、二人は山道で頭部を撃たれた状態で別のハイカーに発見される。物盗りの形跡はなく、財布も携帯もそのまま。20年が経った今もなお、犯人は捕まっていない。
※ ピナクル湖トレイル:米ワシントン州スノホミッシュ郡の山中にある日帰り向けハイキングコース。標高約1,150mの小さな高山湖に至る片道2.5kmほどの道で、当時から地元では人気のコースだった。
事件の概要
🗓️ 発生日:2006年7月11日
🌫️ 場所:米ワシントン州スノホミッシュ郡、ピナクル湖トレイル
👤 被害者:メアリー・クーパー(56・小学校司書)/娘スザンナ・ストッデン(27)
🔍 状況:当日朝、急きょ行き先を変更してトレイルへ。徒歩2kmほど入った地点でふたりとも頭部を銃で撃たれた
🕯️ 発見/結末:同日午後、後続のハイカーが遺体を発見。20年経った今も逮捕者なし
メアリーは長く地元の小学校で司書を務めていた人物で、子どもたち一人ひとりに合う本を選んでくれる「みんなに愛された先生」として知られていた。娘のスザンナはアウトドアを愛する若手の社会人で、母娘で山に登るのはこの日が初めてではなかった。ふたりが向かったピナクル湖トレイルは、地元のハイカーにはおなじみの中級コース。事件当日も、駐車場には他に数台の車があり、銃声を聞いた釣り客の親子もいたという。
判明している事実
行き先は当日急きょ変更された
当初の目的地は別の山だったが、登山口がまだ雪で覆われていたため、ふたりは現地で行き先を切り替えた。家族にも友人にも「最終的にどのトレイルへ向かったか」を伝えていなかった。
頭部を撃たれた近距離射撃
ふたりとも頭部に銃創。後に地元メディアが伝えたところでは、ハンドガンによる近距離射撃で、捜査側は「計画的な待ち伏せ」と評している。物盗りの形跡はない。
スザンナの爪から男性の部分DNAが検出
解剖時、スザンナの爪から男性の部分DNAプロファイルが採取された。現時点で一致する人物は出ていないが、20年経った今も数少ない物証として残っている。
薬莢から銃の特定が進んだが非公開
現場から複数の薬莢が回収され、使用された銃の種類はある程度絞り込まれている。ただし捜査側は「自白者選別のため」として、この情報を公表していない
夫デビッドは2018年に正式に容疑から外れた
夫で父のデビッド・ストッデンは捜査初期に「重要参考人」とされ、ポリグラフ※を計3回受験。2回は判定保留に終わり、2018年の3回目で「クリア」と発表され、保安官事務所が公式に容疑から外したと発表した
※ ポリグラフ:いわゆる「うそ発見器」。脈拍・呼吸・皮膚電気反応などを測定するが、米国の裁判では証拠能力を持たないとされ、運用の妥当性については批判が多い。
主な仮説
仮説1:通りすがりの機会的犯行(地元の単独犯)
事件当日にふたりが向かった先は本人たちも直前まで決めていなかった——この事実が、もっとも素直に「計画的な人物を狙った犯行」を否定する根拠になる。地元住民・元ハイカーの間でもっとも有力視されているのが、もともとその山域にいた単独の人物が、たまたまふたりを見かけて凶行に及んだという見方だ。トレイル近くには射撃場もあり、銃を持って山に入っていた人間は当時珍しくなかった。
仮説2:性的目的に失敗した犯行
父デビッドが地元局の取材で「ふたりの衣服が部分的に乱れていた」と語っており、性的暴行を試みた末に殺害した可能性が指摘されている。一方で捜査側は当初「性的暴行の明確な証拠はない」と発表していて、専門家のあいだでも見解は割れる。スザンナの爪から検出された男性DNAは、抵抗の痕跡だった可能性が高い。
仮説3:イスラエル・キーズ説
米国を渡り歩いた連続殺人犯イスラエル・キーズ※が、生前「2006年にワシントン州で2人殺した」と供述したことから、彼の犯行ではないかとする声が一部にある。ただしキーズは通常、遺体を隠す手口を取っており、その場に残したまま立ち去った今回の手口は「彼らしくない」とされる。FBIも関与は「可能性が低い」と説明している。
※ イスラエル・キーズ:2012年に逮捕された連続殺人犯。米国各地で「キル・キット」を埋めて回り、無関係な土地で犯行に及ぶ手口で知られる。2012年12月に勾留中に自殺した。
仮説4:何かを目撃してしまった「口封じ」
山中で違法行為(薬物取引、密漁、不法滞在者のキャンプなど)を目撃したため口封じに殺された——という説も繰り返し挙がる。ただし、地元住民の多くは「この人気トレイルで薬物取引は現実的でない」と否定的で、いまも有力な物証は出ていない。
海外の反応
1. 謎の名無しさん
メアリーは私の息子の小学校の司書だった。子どもひとりひとりに合う本をいつも見つけてくれる、本当に優しい人だった。あの記事は少し誤解を招く書き方をしてるけど、地元の人間で「夫がやった」と思っていた人はほぼいない。捜査が下手だったから夫に絞っただけ。
2. 謎の名無しさん(>>1への返信)
同じ学校に通ってた時期がかぶってるかも。デビッドが犯人なわけがない。鉄壁のアリバイがあったのに、その後「殺し屋を雇ったのでは」とか言い出してた。本気で恥ずかしい捜査だった。
3. 謎の名無しさん(>>2への返信)
夫には動機もなかった。生命保険の額は普通だったし、彼が再び誰かと付き合いはじめたのは事件から10年後だった。家庭内暴力の履歴も一切なし。
4. 謎の名無しさん
スノホミッシュ郡保安官事務所は、Netflixでドキュメンタリー化された「アンビリーバブル」のレイプ事件をめちゃくちゃに捜査した連中と同じ組織だぞ。優秀な捜査機関ではない。
5. 謎の名無しさん
こういう未解決の殺人のうち、どれくらいが計画的で、どれくらいが「たまたま人がいたから手を出した」のだろう。普段すれ違っている人々の中に、ただ機会を待っている人間がどれだけ紛れているか、考えると本当に怖い。
6. 謎の名無しさん(>>5への返信)
父親のインタビューでは衣服が部分的に乱れていたと話していた。たぶん「人気のない場所にふたりだけの女性ハイカーがいる」のを見つけた機会犯。やった後に他の犯罪歴がない静かな人生を送ってる可能性もあって、そっちの方が恐ろしい。
7. 謎の名無しさん
2018年に3回目のポリグラフでようやくクリア、って何だそれ。ポリグラフは嘘発見器じゃないって生理学を少しでも知ってればわかる話なのに、いまだに警察が「容疑除外」の道具として使っているのが信じられない。
8. 謎の名無しさん(>>7への返信)
本当にそれ。証拠としては採用されないのに、容疑者の絞り込みには使うっておかしい。「保留」だった2回も、たぶん盗聴の継続口実として使っていただけだと思う。
9. 謎の名無しさん
このトレイル、私も2回歩いたことがあるけど、上級者向けでも何でもない普通のコース。誰でも歩けるし、当日もそれなりに人がいたはず。だからこそ「待ち伏せ」が成立すること自体が不思議。
10. 謎の名無しさん
メアリーは私の友人で、子どもの学校の司書でもあった。今でも信じられない。あれだけ愛された人が、何の手がかりもないまま20年も放置されているなんて。
11. 謎の名無しさん
イスラエル・キーズが「2006年にワシントンで2人殺した」と供述していたという情報がずっと頭に残っている。彼は遺体を隠す手口だったから違うという反論もわかるけど、地理的・時期的にはあまりに一致しすぎてる。
12. 謎の名無しさん(>>11への返信)
ただ、キーズは登山口や駐車場の下見をする習慣があったとされている。仮説として完全に消す必要もない。FBIは「可能性は低い」としか言っておらず「ゼロ」とも言っていない。
13. 謎の名無しさん
近年のDNA系図学のおかげで、「一度きりの犯行で普通の人生に戻る」タイプの殺人犯が思っていたより多いことがわかってきた。連続殺人犯より、こういう「一発犯」のほうが捕まりにくい。本件もたぶんそっちのパターン。
14. 謎の名無しさん
PNW※には人気のない美しい山道が無数にある。ひとりで何時間も歩いてもすれ違う人がほとんどいない場所も多い。だからこそ、こういう事件が起こりうる。考えるだけで気が滅入る。
※ PNW:Pacific Northwestの略。米国北西部(ワシントン州・オレゴン州など)を指す呼び方で、原生林と山岳地帯が広がるエリア。
15. 謎の名無しさん
本当のところを言うと、ハイキング中の事件として何が一番怖いかというと、「現場で目撃者を集めようがない」点。銃声を聞いた人はいても、姿は見ていない。広い森の中で、誰が来たかは森しか知らない。
16. 謎の名無しさん
近くにバックウッズの非公式射撃場がある、という地元情報を見たことがある。私も一度、別のトレイルから道を間違えてそこへ出てしまい、ぞっとして引き返した。レクリエーション射撃のついでに山に入ったやつが、ふと魔が差したのかもしれない。
17. 謎の名無しさん(>>16への返信)
このスレッドに貼られた地元紙の記事には、近距離からのハンドガン射撃で、計画的な待ち伏せだった可能性が高いと書かれていた。射撃場帰りの偶発犯にしては、手口が落ち着きすぎている気もする。
18. 謎の名無しさん
2003〜2005年にかけて、アリゾナ、カリフォルニア、オレゴンの山道で似たような「動機不明・カップル襲撃」事件が連続している(カリフォルニアの件は後に解決済み)。同じ犯人とは限らないが、当時の米西海岸でこの種の犯行が連鎖していた可能性は無視できない。
19. 謎の名無しさん
父親のデビッドが、いまもひとりで犯人を探し続けているという地元局のドキュメンタリーを見た。妻と娘を一度に失って、そのうえ捜査の初期に自分が疑われた。それでも怒り狂わずに調べ続けている。胸が締めつけられる話だった。
20. 謎の名無しさん
シアトル周辺で育ったが、地元の人間は誰かが薬物取引してても見て見ぬふりをする文化(いわゆる「シアトル・フリーズ」)。だから「目撃してしまったから口封じ」説はあまりピンとこない。あの土地で、わざわざ人気トレイルで取引する理由がない。
21. 謎の名無しさん
被害者がふたりとも頭部を撃たれているのに、犯人は何の物的証拠もほぼ残していない。爪のDNA片以外、20年たっても新情報がないというのは、地元か準地元の人間で土地勘があった可能性を強く示唆する。
22. 謎の名無しさん(>>21への返信)
同感。土地勘がない人間がここまで「逃げ切る」のは難しい。逆にいえば、犯人は今もスノホミッシュ郡周辺で普通に暮らしている可能性が高い。隣人かもしれないと考えると、本当に恐ろしい。
23. 謎の名無しさん
被害者の遺族が望んでいるのは、誰かを刑務所に送ることより、まず「何が起きたのか」を知ること、というインタビューを読んだ。20年も曖昧なままだと、悲しみより前に「説明されない」苦しみがあるんだと思う。
24. 謎の名無しさん
ふたりとも頭部を一発で撃たれているなら、犯人はそれなりに銃に慣れている人物。狩猟か軍歴か、長く射撃をしてきた人だろう。アマチュアの突発犯行で、頭を狙ってきれいに当てるのは難しい。
25. 謎の名無しさん
個人的に一番引っかかるのが、ふたりが行き先を当日変更したという点。これがあるかぎり「特定の人物を狙った計画殺人」は成立しにくい。あの場所にいた誰かが、彼女たちを見て「やろう」と決めた——その瞬間の決断だったのだと思う。
26. 謎の名無しさん
ポリグラフを3回も受けさせられた父親の気持ちを考えると胸が痛い。妻と娘の遺体確認の直後から「お前を疑っている」と接される人生。地元紙の取材で「保安官事務所はポリグラフを受けないと捜査をやめると脅した」と語っていて、もう捜査機関としての体をなしていない。
27. 謎の名無しさん
DNA系図学が進めば、いつかは突破口になるかもしれない。爪の下に残った微量のDNAは、遠縁でも家系図にヒットすれば一気に絞り込める。犯人本人がデータベースに登録していなくても、その親戚の誰かがGEDmatchに登録していれば見つかる時代になった。
28. 謎の名無しさん(>>27への返信)
それでも20年間ヒットしていないのは、犯人の家系に欧州系の親戚があまり登録していないか、そもそもDNAが分解されすぎて使える解析にたどり着けていないかのどちらか。新技術が出てくるたびに少しずつ進むはず。
29. 謎の名無しさん(>>27への返信)
ゴールデン・ステート・キラー※もそうやって40年以上経ってから捕まった。この事件もまだ「いつ解けてもおかしくない」フェーズにあると思う。あきらめないでほしい。
※ ゴールデン・ステート・キラー:1970〜80年代の米カリフォルニアで多数の殺人・性的暴行を行った連続犯。2018年、家系図DNA解析を端緒に元警官のジョセフ・デアンジェロが特定・逮捕された。
30. 謎の名無しさん
ふたりが家を出る朝の話を読むと、「日帰りでちょっと山にね」というだけの普通の朝だったとわかる。なのに、その日が二人の最後の日になった。私たちが当たり前だと思っている「ハイキングに行って戻ってくる」という連続性が、ある瞬間に何の理由もなく断たれる——その理不尽さに、ずっと向き合わされる事件だと思う。
未解決の謎
20年経ったいま、この事件で残されている物証はそれほど多くない。スザンナの爪から採取された男性の部分DNA、現場に落ちていた薬莢、そしてふたりが「当日急きょ行き先を変えた」という事実——主な手がかりはほぼこの3点に尽きる。にもかかわらず、20年間ヒットしないということは、犯人がDNAデータベースに直接登録されていない人物であり、かつ家系に登録者の少ない家庭の出身だった可能性が高い。
もっとも厄介なのは、犯人と被害者の間に「動機」と呼べる結びつきがほぼ存在しないことだ。物盗りでも、痴情のもつれでも、家族間トラブルでもない。残されているのは「あの日、あの森に、銃を持った誰かがいた」というシンプルな事実だけ。動機が薄いほど、現代的な捜査手法は届きにくい。捜査側がいま望みをかけているのも、結局のところ「DNAの新しい解析」だけだ。
地元の人々の多くは、犯人がいまも近くで普通に暮らしているのではないかと感じている。土地勘があり、銃に慣れ、20年間身辺整理を続けられる人物。それが隣人なのか、すでに別の罪で塀の中なのか、もう生きていないのか——その答えだけが、メアリーとスザンナを愛したすべての人々の前に、いまも宙づりのまま残されている。
出典:r/UnresolvedMysteries 元スレ / KING5ニュース「19 years on the Snohomish County trail murders」

