2026年4月8日、ニューヨーク州サフォーク郡の法廷で、長年「ロングアイランド連続殺人犯(LISK※)」と呼ばれてきたレックス・ヒューアマン被告が、それまで否認していた7人の女性殺害をすべて認めた。さらに、これまで起訴されていなかった8人目の被害者、カレン・ヴェルガータの殺害まで自白した。1993年から2010年までの17年間、米北東部の海岸に女性たちの遺体を捨て続けた男。逮捕から3年、最初の遺体発見から実に16年——ギルゴ・ビーチ事件はようやく一区切りを迎えた。
※ LISK:Long Island Serial Killer の略。ロングアイランドのギルゴ・ビーチ周辺で遺体が次々と見つかった連続殺人事件の犯人を指す呼称で、長年身元不明のまま語り継がれてきた。
事件の概要
🗓️ 発生期間:1993年〜2010年(殺害)/2010年12月(最初の遺体発見)
🌫️ 場所:米ニューヨーク州ロングアイランド南岸、ギルゴ・ビーチおよびオークビーチ周辺
👤 被害者:判明分8名(22〜34歳、多くがエスコート業に従事していた女性)
🔍 状況:1人の女性の失踪捜索中に偶然発見された遺体から、計4体の女性遺体がバラックに包まれて見つかり、その後も周辺で複数体が発見
🕯️ 結末:2023年7月にレックス・ヒューアマンを逮捕。2026年4月に本人が8件の殺害を認めて有罪答弁
発端は2010年5月、シャナン・ギルバートというエスコート業の女性が、オークビーチで「誰かに追われている」と911に通報したまま失踪したことだった。彼女を捜索する過程で、警察は同年12月、思いがけずバラック※に巻かれた女性遺体4体をギルゴ・ビーチで発見してしまう。これがすべての始まりだった。シャナン本人の遺体はその1年後、別の場所で発見されたが、彼女の死には事件性なしと結論づけられている。
※ バラック:粗い麻布で作られた袋状の素材。穀物袋や土嚢に使われる素材で、遺体の遺棄に用いられたことが捜査の特徴的な痕跡となった。
事件はそのまま「未解決」のラベルを貼られたまま13年が経つ。容疑者が浮かんだのは2022年、新設されたタスクフォースが古い証拠を再検証し始めてからだった。容疑者の車種、体格、携帯電話の通信履歴が一致し、最終的に現場のDNA試料との一致で2023年7月14日、マサペクア・パーク在住の建築家レックス・ヒューアマン(当時59歳)が自宅前で逮捕された。
判明している事実
8人の被害者、17年にわたる犯行
2026年時点で殺害が確認されたのは、メリッサ・バーセルミー(24歳、2009年7月失踪)、メーガン・ウォーターマン(22歳、2010年6月失踪)、アンバー・コステロ(27歳、2010年9月失踪)、モーリーン・ブレイナード=バーンズ(2007年)、ジェシカ・テイラー(2003年)、サンドラ・コスティーリャ(1993年)、ヴァレリー・マック(2000年)、そしてカレン・ヴェルガータ(1996年)の計8名。多くがエスコート業に従事しており、犯人は弱い立場にある女性を狙い続けていた。
家族の毛髪が決め手になった「家族性DNA鑑定」
逮捕の決定打となったのは、遺体を包んだバラックや拘束具から採取された毛髪のDNAだった。被告本人だけでなく、妻と娘の毛髪まで複数の現場から検出されており、家族性一致※で「この家の誰かが現場にいた」と特定できた。2010年当時は読み取り不可能だった微量の接触DNAが、2010年代後半の技術進歩でようやく解析可能になったことが捜査を動かした。
※ 家族性DNA一致:DNAサンプルが完全一致しなくても、近親者(親・子・兄弟)に由来する可能性が高いと判定する解析手法。容疑者本人のDNAが直接マッチしない場合でも、家族の遺伝情報から犯人を絞り込める。
5番街に事務所を構える建築家という顔
ヒューアマンは1987年からニューヨーク市内で建築家として働き、自身の事務所をマンハッタン5番街に構えていた。日常的に通勤電車で家とマンハッタンを往復する平凡な中年男性として、長年地域社会に紛れ込んでいた。一方で自宅は古びた未改装の小さな家。多額の収入をどこに使っていたのかは、いまも疑問として残っている。
司法取引と「FBI行動分析課への協力」
有罪答弁の交換条件として、ヒューアマンはFBI行動分析課(BAU)※への協力を約束したと、弁護人マイケル・ブラウンが発表した。これは過去の連続殺人犯研究と同じ枠組みで、彼自身の証言が将来のプロファイリングに活かされる可能性がある。一方で「協力」が新たな未解決事件の解明につながるかは未知数だ。
※ FBI行動分析課(BAU):連続殺人犯や連続性犯罪者の心理プロファイリングを行う部署。テッド・バンディや BTKキラーなど過去の連続殺人犯への聞き取りで知見を蓄積してきた組織。
主な仮説
仮説1:8件はまだ氷山の一角である
コメント欄でも警察関係者の間でも、もっとも強く支持されている見方。1993年から2010年までの17年間で、犯行は時期的に大きく偏っており、たとえば2007年から2010年の間に集中する一方、それ以前は数年に1件ペース。ヒューアマンは南カロライナ州に家族の家を、ラスベガスにタイムシェアを持っており、別の州にも犠牲者がいてもおかしくない。FBI協力で追加の事件が浮かび上がる可能性もある。
仮説2:「アジア系ジェーン・ドウ」は別の犯人
ギルゴ・ビーチで発見された遺体のうち、中国系で性別の特定(トランス女性の可能性が指摘される)も難航している通称「アジア系ジェーン・ドウ」は、現時点でヒューアマンの被害者とは認定されていない。捜査側からは「同一犯か別か明言しない」というスタンスが続いており、ロングアイランド南岸に別の連続殺人犯がいた、あるいは複数の遺棄者がいたという可能性も完全には否定できない。
仮説3:シャナン・ギルバートの死は事件性なし
捜査のきっかけとなったシャナン・ギルバートの死については、検視段階で「事件性なし」と結論づけられた。精神疾患の既往と当夜のパニック状態を踏まえれば、湿地で道に迷い低体温症で死亡した可能性が高いとされる。彼女の家族は今も納得していないが、ヒューアマンが彼女に手を下したことを示す物理証拠は出ていない。
仮説4:自宅のコンピュータと検索履歴がすべてを示していた
逮捕後の家宅捜索で押収されたコンピュータからは、被害者に関する詳細な検索履歴、捜査状況の追跡、犠牲者の家族の動向まで含む大量のファイルが見つかった。ヒューアマンが「捕まることを織り込みながら犯行を続けていた」可能性を指摘する意見もある。司法取引はこの圧倒的な物的証拠を前に、裁判で争う余地が乏しいと判断した結果と見られている。
海外の反応
1. 謎の名無しさん
ニュースで容疑者逮捕の見出しを見たときの衝撃、今でも覚えている。EAR/ONS※やローリー・ラフのときと同じだった——「絶対に解決しない」と思っていた事件が、ある日突然解決する瞬間の、あの不思議な感覚。
※ EAR/ONS:「東部地区強姦魔/オリジナル・ナイトストーカー」の略称。1970〜80年代カリフォルニアで連続強姦・殺人を犯した男で、2018年に元警官ジョセフ・ディアンジェロが逮捕され「ゴールデン・ステート・キラー」として知られるようになった。
2. 謎の名無しさん(>>1への返信)
ジョセフ・ディアンジェロが自分の家から車で15分の距離にずっと住んでたって事実が、今でも信じられない。スーパーや病院で何度もすれ違ってた可能性があるって考えると、本当にゾッとする。
3. 謎の名無しさん(>>1への返信)
EAR/ONS逮捕の朝、職場で興奮して喋り倒した。同僚はぽかんとしてたけど、自分にとっては歴史的瞬間だった。生きてるうちに解決を見られるとは思ってなかったんだ。今回のギルゴ・ビーチも同じ気持ち。
4. 謎の名無しさん
1993年から殺してたってこと?17年間野放しだった?落ち着けない事実だ。被害者のご家族のことを思うと、もっと早く動けなかったのかと胸が締め付けられる。
5. 謎の名無しさん
殺害の間隔がやけに不規則なのも気になる。何年も空いた後、2009年から2010年にかけて立て続けに3人。これが全部とは到底思えない。間の期間にも被害者がいたんじゃないか。
6. 謎の名無しさん(>>5への返信)
南カロライナの実家とラスベガスのタイムシェアに通ってた時期があると報道で読んだ。そっち方面でも犠牲者がいてもおかしくない。むしろ、いない方が不自然。
7. 謎の名無しさん
そろそろ「容疑者」って前置きを外していいよな?本人が認めたんだから。報道はずっと習慣で「alleged」を付けてるけど。
8. 謎の名無しさん
妻のことが気になって仕方ない。ずっと夫の無罪を信じて、被害者の遺体から自分の毛髪が出たって突きつけられても「夫は何もしていない」と言い張ってた人。今この瞬間、何を思ってるんだろう。
9. 謎の名無しさん
シャナン・ギルバートの存在がこの事件の最大の皮肉。彼女の失踪がなければギルゴ・ビーチの遺体は発見されず、ヒューアマンも逮捕されなかった。なのに彼女自身は被害者リストに入っていない。事故か事件か、それすら確定しないままだ。
10. 謎の名無しさん(>>9への返信)
彼女の家族の心情を考えると本当に辛い。当局は事件性なしと結論づけてるけど、家族はずっと納得してない。湿地で精神状態が悪化して亡くなった、というのは医学的には筋が通るんだけど、感情としては受け入れ難いだろう。
11. 謎の名無しさん
シャナンの死が無駄にならなかった——そう考えるしかない。彼女がいなければ何人もの女性たちの遺体は誰にも見つけてもらえないままだったし、家族が答えを得られることもなかった。
12. 謎の名無しさん
家族性DNAでの特定って、本当にすごい技術。被告本人のDNAじゃなく、妻と娘の毛髪が決め手って、10年前なら誰も想定していなかったやり方。劣化したサンプルから家族構成まで読み取る、地味だけど執念の労作。
13. 謎の名無しさん(>>12への返信)
接触DNAが実用化されたのが2010年代半ば以降。それ以前の証拠は「いつか読めるようになる」と信じて保管され続けてた。地道な保存作業がなければ、ここまで来なかった。
14. 謎の名無しさん
建築家として5番街に事務所構えてた人間が、家ではあの古びた未改装の家に住んでた。あの落差が一番不気味。お金は全部別のところに消えてた、ということなんだろう。
15. 謎の名無しさん(>>14への返信)
被害者の多くがエスコート業の女性。彼女たちに支払い続けていたのかもしれない。あるいは別の州の物件、別の用途——憶測しかできないけど、表向きの生活水準とお金の流れが噛み合わない。
16. 謎の名無しさん
被害者を「セックスワーカー」と一括りにして語られがちだけど、彼女たちは娘であり、姉妹であり、母親だった人もいる。社会的に弱い立場にあったからこそ狙われた。そのことを忘れたくない。
17. 謎の名無しさん
被害者をギルゴ・ビーチに集中して捨てていた点も特異。家から比較的近い、土地勘のある場所をあえて選び続けた——犯人にとっての「自分の領域」だったんだろう。
18. 謎の名無しさん
事件発覚直後、彼の隣人や同僚たちが「絶対にこの人がそんなことするはずがない」とテレビで連発していた。普通の家族持ちの建築家、毎日決まった時間に通勤電車に乗る男。それが20年以上女性を殺し続けていた。「隣の普通の人」が一番怖い、ということを改めて突きつけられた。
19. 謎の名無しさん
弁護人いわくFBI行動分析課に協力するとのこと。研究目的か、それとも他州での未解決事件と紐付ける狙いがあるのか。ニュージャージーや南カロライナでの未解決失踪事件にもつながる可能性がある、と専門家がコメントしていた。
20. 謎の名無しさん
8人目に追加されたカレン・ヴェルガータは、34歳で1996年のバレンタインデーに失踪、同年4月と2011年4月に遺体の一部が発見されながら、長らく「ファイヤー・アイランド・ジェーン・ドウ」として身元不明だった。2022年にようやく身元が判明。彼女のご家族がここまで26年待たされたかと思うと言葉を失う。
21. 謎の名無しさん
1人だけまだ身元が判明していない、ヒューアマンが関与を認めていない被害者がいる。中国系と推定される女性で、性自認も含めて分からない部分が多い「アジア系ジェーン・ドウ」。この方のご家族は、まだどこかで娘や姉妹を探し続けている。
22. 謎の名無しさん(>>21への返信)
最初の家宅捜索で押収された資料に、彼女と関連しそうな検索ワードがあったって話を読んだ記憶があるけど、続報は出てこない。捜査機関が同一犯と断定できる材料がないのか、それとも別の方針があるのか。
23. 謎の名無しさん
有罪答弁の動機が気になる。証拠が圧倒的で勝てる見込みがなかったから、なのか、それとも残された家族のために裁判の長期化を避けたかったのか。本人がそこまで考えるとは思えないが、弁護人の進言ではあったんだろう。
24. 謎の名無しさん
被害者の多くが小柄な女性だったのも、犯人の体格を考えれば「制圧しやすい相手を選んでいた」ということ。冷静に狙いを定める手口で、衝動的犯行ではない。長期間捕まらなかった理由もそこにある。
25. 謎の名無しさん
法廷でのヒューアマンの表情、ニュース映像で見たが薄ら笑いを浮かべているように見えた。8人もの女性の命を奪った人間が、被害者遺族の前であの顔ができる。人の精神構造は時に本当に分からない。
26. 謎の名無しさん(>>25への返信)
法廷の場で初めて公の場で罪を認めたわけだから、本人にとっては「終わり」の瞬間でもあるはず。それでもあの表情というのは、何かを楽しんでいるのか、あるいは現実を受け入れていないのか。
27. 謎の名無しさん
被害者の中には、当時まだ20代前半の人もいた。それぞれに人生の続きがあったはずで、ご家族はもう何度もその「あったはずの未来」を想像してきたんだろう。せめてご遺族の心に少しでも落ち着きが戻りますように。
28. 謎の名無しさん
コンピュータから出てきたファイルが本当に異様だった。被害者一人一人のプロファイル、捜査の進捗、家族の動向まで記録していた。犯人にとって「ゲーム」のような側面があったとしか思えない。
29. 謎の名無しさん(>>28への返信)
押収資料の総量がとんでもないらしい。FBIが時間をかけて解析すれば、まだ警察がつかんでいない事件が浮かび上がる可能性は十分ある。これからの数年で、まだ何か出てくる気がする。
30. 謎の名無しさん
16年。最初の遺体発見から、被告人が罪を認めるまで16年かかった。被害者のご家族にとっては気の遠くなる時間だったはず。「ようやく終わった」と言える今日が来たことに、心から安堵している。亡くなった方々が、どうか安らかでありますように。
未解決の謎
ヒューアマンが司法取引で罪を認めたことで、ギルゴ・ビーチ事件の主要部分には一応の決着がついた。だが、いくつもの問いが残されたままだ。
まず、判明している8人の被害者は本当に「全員」なのか。1993年のサンドラ・コスティーリャから2010年のアンバー・コステロまで17年間、犯行ペースには不自然な空白が複数ある。南カロライナの実家とラスベガスのタイムシェアという、犯人が定期的に通っていた別の土地。同時期にそれらの地域で起きた未解決の失踪事件にヒューアマンが関与していないと言い切れる材料は、いまのところ存在しない。FBI行動分析課への協力が、今後どこまで真相を掘り起こせるのか。
もう一つの大きな謎は、ギルゴ・ビーチで発見された遺体のうち、いまも身元が判明していない通称「アジア系ジェーン・ドウ」だ。中国系と推定される女性で、性自認についても確定できていない。捜査機関はヒューアマンとの関連を明言していないが、別の遺棄犯がいた可能性を完全に否定しているわけでもない。彼女のご家族がいまだに誰かを探し続けているかもしれない、という事実が、この事件の解決を「半分」のものに留めている。
そして犯行の動機。8人の女性を17年にわたって殺し続けた精神構造、押収されたコンピュータに残された膨大な記録が示す「計画性」と「執着」。建築家として5番街に事務所を構え、家族と暮らしながらもう一つの顔を持ち続けた男。法廷で語られるべきことは、まだ多く残っている。
被害者の女性たちは、それぞれに名前があり、家族があり、人生の続きがあった。ようやく訪れた解決のニュースの裏側で、彼女たちの存在を改めて静かに思い起こしたい。
出典:r/UnresolvedMysteries 元スレ / New York Times: Gilgo Beach Plea Deal Coverage / Wikipedia: Long Island serial killer

